在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Vinitaly Colle Stefano tappo a vite e tappo di sughero

2013-04-12 09:02:12 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Vivitはなかなか面白い。
コンパクトにまとまっている。
今回行ったcereaもいいが、vinitalyの中にあるのが嬉しい。
そして、無料なので出たり入ったりが自由である。
人の多い時間帯は、入場するのに列ができていたほどの人気ブース。
もちろん、vinitalyの会場は広いので、飲む価値のあるワインがここだけに集中しているわけではなく、5分も待てば入れるのもうれしい。
ただ、人の多い時間は、vivit内がかなり混んでいるので、やはりゆっくり試飲しようと思えば空いている時間の方がよい。



さて、もうずいぶん昔になってしまったが、ワイナリーを訪れ、個人的に大好きなワイナリーとなった、colle stefanoには、人がいなかった。飲む人ではなく、ワイナリーの人のことである。
ブースに3種、ワインだけ開けて、置いてある。
昼過ぎで、きっと何処かに食べに行っているのだろう。
こうなったら、セルフサービスでワインを次ぐ。
さて、最初は、どうして2012年のワインが2本に2011年が1本開けてあるのだろうと思った。
しかし、2012年のものは、よく見ると、手書きで、コルクとスクリューと書いてある。
これは、面白い。
2012年のものでは、ボトル詰めしてまだあまり時間がたっていないので、大きな違いは見られないかも知れないと思ったが、置いてあるということは違うということでもある。
他でも、同じ実験をしているところがあるのは知っているが、なかなかできない経験の一つ。
さて、スクリューの方は、酸がものすごく際立つ。
若干バランスが悪いが、フレッシュなワインが好きな人、スッキリさっぱりのワインがいい場合にはいい。また、理論的には熟成がかなり遅いはずなので、この酸味が何年もたった後、きれいに残るのかもしれない。
コルクの方は、もともと酸の多いワインとは言え、つまり、これだけを飲むと酸がきつく感じると思うが、スクリューのあとに飲むとだいぶ落ち着いて感じる。
そして、スクリューでは、酸とフレッシュさが際立つので、あまり頭をよぎらないのだが、コルクは、ミネラル、スパイシーさもあるのが見えてくる。
本当に微妙な違いなのだが、12年でこれだけ違うということは、数年経ったらかなり大きな違いになんだろう。
これは、買って、保存、数年後に試してみるしかない。

Chianti Avignonesi 86, P Nero 98 La Palazzola, Carbone, Monsupello, Giscours e Condrieu

2013-02-25 08:40:16 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Chianti 1986 Avignonesi ートスカーナ州
Pinot Nero 1998 La Palazzola -ウンブリア州
Aglianico del Vulture 2007 Carbone -バジリカータ州
Les Ravines Condrieu 2011 Niero -コンドリュー
Senso 2004 Monsupello -ロンバルディア州
Chateau Giscours 2005 ーマルゴー








少し前に、友人ルカのグループのFBのコメントに何人かがそれぞれの意見を述べ、それをつなげて、某オンラインのニュースレターに自分の記事として載せた人がいる。
某オンラインは結構有名だし、イタリアのワイン会は広いようで狭いし、当然、すぐに気がついた人がいて、小さな話題になった。
記事になる前に、FBでのやり取りを読んでいたのだが、非常に面白いものだった。だから、記事にして載せたくなる気持ちもわからないではない。
そして、見事につなげてきれいに記事にしていたので、ある意味、大変有意義な記事であった。
(この件に関しては、そういう意見がある、と述べた上で、そしてグループの代表、ルカの了解を得て記事にすれば問題はなかったと思うのであるが・・・)

論争で提起された問題は、ブラインドでのテイスティングに慣れている人はラベルを見てもテイスティングはできるが、ラベルを見てテイスティングをしている人はブラインドでテイスティングができない、それは何故か?というものだった。

ワインは難しい。特にイタリアワインは。そして、テイスティングは難しい。
テイスティングをやらなければいけなかったころ、よくやっていたなぁと思うし、いろいろな失敗もある。
AISでブラインドでの試飲会を始めたころ(基本はブラインドではない)当てようにもあたらなく、落ち込んだこともある。ブラインドの試飲会には参加したくない、という人も気持ちがわかることもあった。しかし、必ずブラインドでの試飲をする某会に通うようになって、慣れてきた。そして、今は基本、ブラインド以外では、本当は試飲はしたくない、と思う。
ラベルに影響されたくないからだ。
バローロと見て、やっぱりね~とか、南のワインと見て、やっぱり南らしいね~とか思いたくない。なぜバローロなのか、なぜ南なのかを理解したいと思う。いったいあと何年(何十年?)かかるかと思いつつ。

友人との夕食の席で、みんなワイン関係だったこともあり、非常に面白いワインが揃っていた。ちょっとしたレストランなので、料理も非常においしく、そこに大変興味深いワインが何本も揃っていて、最高のシチュエーションだった。

ウンブリアのピノ・ネーロ。ブラインドでは絶対にわからないと思う。色がピノ・ネーロにしては、濃い目であることに始まり、比較的華やかな香りで、当然暖かい地域なのでこうなるのだろうが、絶対に当てられないと思う。最も南で造っているピノ・ネーロの1本だろう。そういえば、ウンブリアでも造ってね、と思った。


ヴィオニエは、コンドリューのもので、フランスとわかっていれば理解できるが、イタリアのものだと信じきっていれば、やはりわからない。ゲヴルツのような華やかな香りだが、ライチの香りがあるわけではないので、ちょっと違う、と思う。

センソは、実に面白かった。モンスペッロはスプマンテを時々飲むが、結構好きなワイナリーで、なんと20種類ものワインを造っているらしく(まるでプーリアのワイナリー・・・)そのうちの1本。品種はシャルドネ。2004年だったと思う(写真がうまく撮れなかった・・・)が、これまたシャルドネらしくない。古いシャルドネに慣れていればわかるのかもしれないが、フランスの古いシャルドネとも違う。


アリアニコ。これはヴィンテージが特に古いわけでもなく、理解できた。

アヴィニョネージのキャンティは、92年ごろに生産をやめ、もう造っていないものだが、懐かしい、そういえば、こんなラベルあったよね。86年。ただのキャンティ(クラシコではない)で、なかなか持っている。というか、アヴィニョネージだから持っているとも言える。タンニンは、すっかりまろやかになり、酸が際立つわけでもないが、懐かしい味と香りで、非常に好感が持てた。プーリアの大変素晴らしい魚専門のレストラン、Tuccinoのオーナー、パスクアーレ氏が、まだ何本かあるよ、とFBに書いてくれたが、今度は魚と一緒に飲んでみたい。


そして、ジスクールの2005年。
ちょっとこれはわけありでノーコメント。

Terre Silvate, Verdicchio dei Castelli di Jesi 2011-La Distesa

2012-06-12 19:01:01 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
"テッレ・シルヴァーテ、ヴェルディッキオ・デイ・カステッロ・ディイエージ2011”ラ・ディステーザ -マルケ州

少し前の試飲のメモから。個人的にローマ1だと思うエノテカ、ブルツォーニに行った時のこと。

再びブルツォーニ。
自然派ワインが中心なので、クセになる。。。

ヴェルディッキオにしては濃いめの色。
3種あったうちで、真ん中にあたるリゼルヴァを頼もうと思った。
暑くなってきて、白が美味しい季節になったので、どう?とお店の人に聞いたところ、一番下のクラスで十分とのこと。
飲んでみて、なるほど、納得。
クラスが上になると当然ボディが重たくなる。
これで、すでにかなりの色。正解だった、というより、もっと下のクラスがあればそれでもいいくらいのボディだった。
個人的に、ヴェルディッキオは好きな品種である。
リゼルヴァなど、どっしりしたタイプも好きだが、さっぱりしたタイプも好き。
香りは 割とニュートラルな感じで、白い花、よく塾した柑橘、ミネラルがたっぷり。
味は 自然派らしく一口目が優しい。そして酸。ボディはあるのだが、どんと重たくはない。そして若干硬めのミネラル。持続性はそれほどあるわけではないが、自然派好きには良いと思う。(83点)

Terre Silvate, Verdicchio dei Castelli di Jesi 2011 -La Distesa
All’Enoteca Bulzoni a Roma.
Colore intense. I sentori un po’ tenui; fiori bianchi, agrumi maturi, spicca minerale. All’impatto generoso poi evidente freschezza, discreta PAI(83/100)

”ゲレカンテ 2008” アルナルド・カプライ

2009-05-17 01:46:39 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Grecante 2008” Arnaldo Caprai -Umbria(点数7.5)
白2種を飲んだ。もう1種があまりにさらっとした感じで、存在感に乏しかったからか(しかし、値段は安い)、こちらは、しっかりした味わいが印象的だった。
もちろん、昔は時々飲んだものだが、久しぶり。

品種はグレケット100%。ウンブリアらしい品種である。
香りは、良く熟した白いフルーツに、わずか柑橘の香り、花の香り、そして、ナッツの香り、ミネラル臭たっぷりという感じで、モダンでなおかつはっきりしている。
デリケートというより、ボリュームのあるワイン。
味は、酸が多いわけではなく、むしろ塩辛さがあり、酸を隠している。そして、グレケットによくあるほろ苦さがきれい。欲を言えば、もう少しきりっとした酸が欲しいが、それより、まろやかさ、塩辛さが前面に出ている感じは中部イタリアのワインらしいと言える。アルコールもしっかりあり、白ワインにしてはちゃんとボディがある。最後、もっと苦味が出るかと思ったら、そうでもなく、心地よく残る。
夏は、よーく冷やして飲むといいし、魚と言うより、白身の肉の方が合うくらい。

若干モダンすぎだが、しっかりした感じが広く受けると思う。
今度は、1年くらい置いて、どうなるか飲んでみたい。


”モンテファルコ・ロッソ 2006” アルナルド・カプライ

2009-05-13 02:42:39 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Montefalco Rosso 2006”Arnaldo Caprai -Umbria(点数8)

カプライと言えば、ルンガロッティと共に、今のウンブリアのワインの歴史を築いたワイナリーと言える。特に、サグランティーノに関しては、カプライの努力なくしては、今のようにはならなかったかも、と言ってもオーバーではないと思う。
さて、早くから知られているモダンでインターナショナルなカプライのワインを久々に飲んだ。

リゼルヴァもあるが、そうでないベースのもの。
モンテファルコ・ロッソはサンジョヴェーゼがベースである。
名前が似ていて紛らわしいかもしれないが、サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(またはモンテファルコ・サグランティーノ)がサグランティーノで造ったワインである。
間違えないように。(試験に出しますよー!)

品種は、サンジョヴェーゼ70%、サグランティーノ15%、メルロー15%。
香りは、良く熟したフルーツの香りがきれいで、他、甘いスパイスの香り。他のワインにも共通しているが、昔に比べて、バニラがドーンとでなくなったような気がする。しかし、しばらくするとバニラがほのかに漂ってくる。
まろやかで、フルーツがきれいで、ボディがある、ややアルコールが上がる感じがあり、モダンで、酸味がやや抑えられた感じ、だから、飲みやすいと言える。(長く飲んでいるとやや飽きるが)心地よい、明るいイメージの後味が残る。

カプライはすっかり大御所になったが、全体に良くできていると思う。
モダンだが、丁寧に作ってあるし、ワインにのみ慣れていない人には、お勧めして喜ばれるワインだろう。

”フォビアーノ 1997” ラ・カライア

2009-03-23 02:50:06 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Fobiano 1997” La Carraia –Umbria(点数7)
ワインを知っている友達と気さくに飲むときは、できるだけ古いワインを飲むようにしている。
新しいものはいつでも誰とでも飲めるし、古くてちょっとダメ?と思っても、ワインを知っている人なら、貴重な体験と思って飲んでくれるし、ワインを知らない人は、これ何?これなんか変じゃない?となることもあるし、それでは、せっかく古いものを開けてももったいない。
で、少し前から、いったいどうなっていることやら?と気になっていたフォビアーノを開けてみた。
ワイナリーのラ・カライアは、一時期、結構話題で、有名(今でも、と言わなきゃいけない?)、フォビアーノは3ビッキエーリを獲得し、当時のモダンワインの一つの例だった。
なにせ、当時、有名だった(今でも、と言わなきゃいけないだろうな。。。)コタレッラ氏(リッカルド氏の方)がエノロゴ(醸造家)で、コタレッラ・ファミリーが経営者に連なっている。

この1997年は3ビッキエーリを獲得しているはずである。
今現在、品種は、メルロー70%、カベルネ・ソーヴィニオン30%だが、97年はどうだったかわからない。(似たようなものだと思うが)
新しいものを開けると、まさにルビー色で、色は濃く、熟したフルーツの香りぷんぷん、アルコールは結構あり、まろやか、インテーナショナル、という感じのワインである。
それが、約12年(正確には11年ちょっと)たつと、色は、相変わらず割と濃いが、ガーネット色を超えて、オレンジも超えた感じで、茶系の色が結構出ている。澱はない。
香りは、しょうゆ系の香り、と言いたい。(イタリア人には理解できないが)
煮物、奈良漬風、ブラッドオレンジ、森の木の実のミックスコンフィなど。そして、土っぽい感じ、スパイスミックスもある。
味はまろやか。古いワインはよく酸が際立つ感じが多いが、そうではない。タンニンは完全に丸くなっている。だから、全体に甘さが出て、フルーツのコンフィが残る。

モダンなワインはたいていすぐに飲めて、若いうちからまろやかである。つまり、酸が一般に少ないと言えるが、それが年数を経ると、こうなるんだぁ、という例の一つだった。

”ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ” コッレステファノ

2008-05-21 00:18:12 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Verdicchio di Matelica” Collestefano –Marche
別の項で案内したコッレステファノのヴェルディッキオ。
アルザス風の造り、つまりイタリアのワインとはだいぶ離れている感じで、やや軽め+エレガント。
酸味が苦手な人には酸っぱいくらいなのが特徴。
アルコールは、どれも12.5度程度で、いまどきのイタリアワインにしては低い方である。

2007年
暑い年で、収穫がかなり早かったと言う。
色は薄く、やや緑がかる。
香りは、とてもエレガントなミネラル臭。そして、柑橘。レモン、シトロン、香草など。香りがきれいに透き通っている。布で言うと、シフォンのよう。
味は、予想通り酸味がかなり強く、塩味も強い。後味が長くエレガントで、とてもきれい。これだけ酸味があると、ブラインドではアルト・アディジェと間違えそうなくらい。

2006年
色は相変わらず薄い。
香りはやや閉じているが、ミネラル臭が強く、火打石が出始めている感じで、とても良い。
レモン、シトロンは、同じくある。
味は、酸味が強く、塩味が隠れるくらい。かなりエレガント。
これだけのきれいな酸味があると、かなり長く持つだろうと予想される。
こういうワインを5年後、10年後飲んでみたいものだと思う。
後でわかったのだが、ガンベロのトレ・ビッキエーリを取っている。
現地で6ユーロ足らずの値段だが、これでもトレ・ビッキエーリは取れるのだ、と思うと嬉しい。(。。トレ・ビッキエーリだけが良いわけではありません。念のため)

2005年
色がやや濃いめになる。
香りにかなり落着きが出る。甘い香草、柑橘、ミネラルなど。
味は、酸と塩味と年齢のバランスが取れてきているような気がする。
持続性ありで、エレガント。

2004年
色はやや濃いめ。
香りにidrocarburoが出て、きれい。柑橘に、香草、そして、スパイスっぽさが混じるようになる。
口当たりがとても良い。そして、持続性も良い。本当にきれいなワインである。
バランスの良い年であるが、なるほど良いし、また、3年ちょっと経過して、飲みごろに入る感じ。

2002年
雨、雨、雨の年だった。今思い出しても、寒かった~!と震えるくらい寒い夏だった。
収穫はかなりずれこみ、11月に入ってだと言う。
色は、薄めの黄金色で緑がかる。
香りは、最初、ちょっと還元臭があった。エレガントで、細め、優しく、かなりの透明感を持つ。Idrocarburo、火打石、香草、おなじみ柑橘など。
味は、酸がかなり強い。ほんの僅かの残糖がある(2-3g)と言うが、酸で糖が隠れる、または、糖が酸を少しは抑えてもこれだけの酸がある、という感じ。
細く、長く、繊細で、シトロンが残るきれいに残り続く。

コッレステファノ

2008-05-14 22:19:22 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Collestefano -Marche
ヴェルディッキオと言うと、カステッリ・ディ・イエージが有名だが、マテリカもある。
マテリカの方が生産範囲が狭くなり、またかなり内陸に位置するので、その分デリケートなワインとなる。
両者を比べると、マテリカの方が、ぶどうの成長が3週間くらい遅いのだそうだ。
そのマテリカにワイナリー、コッレステファノがある。
夫婦二人で経営していて、本当に小さなワイナリーである。造っているワインはヴェルディッキオ1種のみ。
しかし、経営者の夫の方は、長くアルザスで勉強したという経験を持つ。そのせいか、イタリアワインらしくないワインである。

最近のイタリアワインはアルコール度が高過ぎて、と彼は言うが(確かに私もあまりの高アルコール度には時々閉口する)、それほどアルコール度の高くない飲みやすいワインを造りたい思って造っている。
なるほど、アルコール度12.5度程度で、いまどきのイタリアワインにしてはだいぶ低い。
(これからも、アルコール度を抑えたワインを造りたいという人が出てきて欲しいものである。)
そして、ビオ。自然な選択である。畑には適度に草が茂り、小さな花が咲き、ブドウと自然が共存しているのが確認できた。

それから、造り方が面白い。
発酵させた後、すぐにボトルに詰め、ボトルのみで熟成させている。
少し違うが、アブルッツォの有名なビオワインを造っているエミディオ・ペペEmidio Pepeも、ステンレスや樽の熟成を一切せず、すぐにボトルに詰め、ボトル熟のみとしているところは共通するかもしれない。
どうして、そういう造り方をしてるのか?と聞いてみたら、昔は、みんなこんな造り方だったんだよ、と。確かに、日本ではワイン造りの長い伝統はないが、イタリアでは、ブドウの樹を持っていれば、また、持っていなくでも、ワイン用のブドウを買って、適当に自家製ワインを造っていた。そんな時代は確かに、発酵が終わったら、ボトルに詰めておいておいたのだろう。そして、飲むまでは自然にボトル熟となる。
出来上がったワインは、非常に酸味の強い、爽やかでいてやさしいワインであった。
まだ隠れたところに、こんなに良いワインが眠っているなんて。
そして信じられないほど値段が安い。現地で買って5ユーロである。
(縦型試飲をしたので、それについては、また。)

ボンチ

2008-05-02 07:17:10 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Bonci -Marche
ちょうど泊まっていた村(町paese)の近くにある、かなり大きなワイナリー。
もちろん、イタリアソムリエ協会の評価本ドゥエミラヴィーニDuemilaviniで最高の数の「ぶどう5房」を獲得しているワインもあるので、友人がアポを取っていてくれたのだが。
ある意味でとても興味深かった。
コロンチーノと比べると、かなり対照的。

斜面を利用しているので、地下にあたるカンティーナ部分はかなり大きく、ずらずらっとセメントタンクが並ぶ。
個人的にはセメントタンクには反対ではない。というより、セメントタンクを見ると好感が持てる。コロンチーノでも幾つか使っていたが、無機的なステンレスタンクよりよっぽど面白いと思う。
一時期、セメントタンクでは良いワインできないという説がまかり通っていたころ、大きくて、ゴミに出すのが大変なのか、ワイナリーの庭に、撤去されたタンクがゴロゴロ置いてあった。(コロンチーノにも2つ、かなり古いのが置いてあった。)
その説を信じず、大切に使っていた人は、今になって得をしたと思う。
しかし、ボンチは、そういう規模ではなく、タンクがすらずらっと。本当にずらずらっと。お見事。一瞬、昔見たフォンタナ・カンディダを思い出した。
ここまでだとちょっとありすぎかなぁ。。
(フォンタナ・カンディダは一列に並び、ボンチはコの字型に並ぶところは違うなぁ、とくだらないことを思い出した。)
オーナーの説明によると、40年前の設備で、その頃はステンレスタンクが高く、セメントタンクという選択をした、とのこと。

ボンチは、典型的な昔からあるワイナリーだと思う。
リリースするワインが多いし、多種多彩である。
スプマンテから、デザートワインまで、値段の高いものから安いものまで、多彩なニーズに答える。
赤もあるが、やはりメインは白で、当然ヴェルディッキオ。同じ品種のワインを、なにもそこまで多種造らなくてもと思っても、クラシカルなワイナリーは、きっとニーズに答える方を選択するのだろう。

試飲はスプマンテから。
合格点、という感じ。
白ワインは、ベースのベースは飛ばして、上級クラスからにする。
かなりクラシカルな味で、可もなく不可もなくという感じで、ややクリーンさに欠ける気がしなくもない。(厭味な香りがあるのではないのだが、透明感に欠ける感じ)
「レ・カーセ」と「ピエトローニ」が看板ワインだが、どちらも、適当にソムリエ協会、ガンベロ・ロッソで高評価を得ている。
確かに悪くないのではあるが、個性の主張が少ない感じがある。
面白かったのは、「サン・ミケーレ」の古いヴィンテージを開けてくれたこと。
最初に登場したのが1999年。最初の1本は、コルク臭が付いていた。2本目も、あまり良い状態とは言えない。コルクではないが、香は全体に弱いし、味もすぐに消える。香りで、完全に駄目になっていると言った人もいる。確かに、マデイラっぽい香りがかなり混じっている。自然派ワインを飲んでいると、マデイラ臭にはかなりの確率で出会うので、そこまでひどいと、オーナーを前にしては言いたくなかったが。。
さて、次が、1994年。これも、1999年ほどではないにしてもマデイラ臭が強い。
そして、最後に1993年。これは結構良かった。
という訳で、コロンチーノなどの特別なワイナリーを除いて、ごく一般の、それでも良いワイナリーと言われるところのヴェルディッキオの寿命は、5年程度なのだと推測するにいたった。
。。。以上が実証でき、非常に興味深かったのである。

写真は、ワイナリーの下に広がる畑。

ファットリア・コロンチーノ

2008-05-01 03:20:52 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
Fattoria Coroncino -Marche
前から行きたいと思っていたコロンチーノ。
オーナーのルーチョ氏は、ちょっと噂には聞いていたけど、とても面白い人(personaggio!!)だった。
ローマ生まれのローマ育ち。だから、今でもマルケでは異邦人だそうだ。
バールでのおしゃべりが嫌いで、全くイタリア人らしくないと言ってもいいくらい。
イタリアの、特に男性は、それも年齢を増すごとに、バールでの(くだらない)おしゃべりが「生き甲斐」かと思っていたら、そうじゃない人もいるということにちょっと驚き、でもさらに、そうじゃないことを豪語するイタリア人がいることにかなりの驚きだった。
(私は女だからか、バールでのたまのおしゃべりはいいとしても、これが毎日じゃあちょっとね~って思う。。。)

ワイナリーは、表の看板があるだけで、看板がなきゃ、ワイナリーだってことは絶対にわからない。地味な看板を見逃すと、きっと見つからない。
(ワイナリーは、外にステンレスタンクを出しているところも多く、そんな場合は遠くからでも一目瞭然。)
到着後、なんとなく、ここかぁ。。と思いながら、みんな、まわりをうろうろしていると、突然、ルーチョ氏がメガホンを持って建物の2階から登場。今すぐ降りるぞぉ、と。
やっぱり、personaggio!

そんなルーチョ氏の手入れしている畑のうち、ガイオスピーノの畑を見たが(ワイナリーのある場所からはかなり離れていた)、とてもよく手入れが行き届いている。ビオではないが、肥料は与えず、できるだけ自然の方法を目指している。こだわりの人であった。

発酵はセメントタンクも使用。もちろんステンレスも。かなり小さなワイナリーで意外。

試飲は食事をしながらで、次から次にワインが出てくる。
できるだけ、食べ物の味で試飲の邪魔をさせないように気を使う。
ベースのイル・バッコを縦型でかなりの数を試飲、そして、もちろんガイオスピーノ・フメまで行くのだが、本当に楽しく有意義なひと時でした。

最後は、イタリアの政治の話。バールでのおしゃべりは好きでないにしても、政治の話はやっぱり好きなのでした。
写真は、ワイナリー。

マルケ!!

2008-04-30 06:02:00 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
マルケに行きました。
3泊4日、といっても実質は2日半だけど、12人の国際色豊か??なグループで、ワイナリー訪問の旅でした。
マルケ出身の友達がぜーんぶオーガナイズしてくれて、小さな町の市町主催の夕食に始まり、ワイナリーは6社訪問、生産者を含めての試飲は合計8社。
マルケの、それもヴェルディッキオの真っただ中だったので、ヴェルディッキオ、ヴェルディッキオ、嫌でもヴェルディッキオの旅でした。
やっぱりね、というところ、これ~?って感じのところ、なんかこれすごい!というところなどなど、いろいろ。
とても楽しく、有意義な4日間でした。
訪問したワイナリーについては、またアップしていきたいと思います。

写真は、コロンチーノのガイオスピーノの畑のヴェルディッキオです。

”サグランティーノ・ディ・モンテファルコ 2003””モンテファルコ・ロッソ 2005” アンターノ

2008-04-29 00:55:53 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Sagrantino di Montefalco 2003” “Montefalco Rosso 2005” Antano -Umbria
とても面白い発見だった。
飲んだことのないワイナリーだったので、ちょっといい、と思っても、最終的に判断するまで間をちょっと置きたい。
で、試飲会で2度飲んだが、これはいける。
ワイナリーをよく知っている友人がいたので聞いてみると、完全ビオとのこと。
嬉しい話である。

サグランティーノから。
品種はもちろんサグランティーノ100%。
色は濃い目のルビー色で、つやがきれい。
香りは、ややアニマルが立つ。つまり若干の臭みがある。フルーツはよく熟してコンフィに近く、黒い森の木の実、革などのスパイスも出る。
味はアタックがとても良い。ボディあり、酸とタンニンがきれいで、バランスよく、後味がとても良い。苦味の強いサグランティーノありがちな渋さが全くなく、フルーツが広がる感じで、とてもきれい。

モンテファルコ・ロッソ。
モンテファルコ・ロッソは、モンテファルコと名前が付いているのは間違えやすいが、サグランティーノベースではないのに注意。
一般にサンジョヴェーゼがベースになる。
これも、サンジョヴェーゼ65%にサグランティーノが20%、そしてメルローが15%入っている。
色はきれいなルビー色。ちょっとおもしろい(つまり興味深い)香り。リンゴ(スターク種)、花(スミレ)、フルーツ(サクランボ、森の木の実)などがきれい。そして、スパイスは、甘草、タバコなど。フルーツとスパイスのバランスが良い。
味は、ボディがしっかりしていて、酸とタンニンがきれいで、こちらもバランスが良い。全体にとても好感が持てる。

もう一つ上のサグランティーノがあるのと、パッシート(デザートワイン)もあるようなので、いつかぜひ試してみたい。

”サグランティーノ・ディ・モンテファルコ 2004” アントネッリ

2008-04-23 23:27:44 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Sagrantino di Montefalco 2004” Antonelli –Umbria
サグランティーノは、最初に飲んだとき、なんと渋いものかと思った。
かなり苦味の強い品種である。だから、渋いワインはどうも~と言っている人に勧めてはいけない。
しかし、このアントネッリのは、渋みが酸味に隠れるようで、エレガントであった。
こういう感じなら、サグランティーノは渋くてダメ!と言っている人にも勧められる。
品種はサグランティーノ100%。
色は、深みのある落ち着いたルビー色。
香りは、酸味volatileを感じるくらいで、花は小さなバラ、ゼラニウムなど、フルーツは、レッドベリー、小さな森の木の実など。スパイスはまだ少なめで、奥にややあり。そして、香草。
味は、サグランティーノにありがちなタンニンではなく、酸がきれいに出ている。タンニンの質も良く、酸とのバランスが良い。香りから想像するよりボディがあり、最後のサグランティーノらしい

”オルヴィエート・カンポ・デル・グアルディアーノ 2003” パラッツォーネ

2008-04-01 16:28:58 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Orvieto Classico Campo del Guardiano 2003” Palazzone –Umbria
イタリアに来たばかりのころ、ずいぶん飲んだオルヴィエート。
ローマ近郊のワイン産地と言えば、フラスカーティ(白ワインの産地)が一番有名だが、ウンブリア州に入るとはいえ、車でほんの1時間ちょっとで行けるオルヴィエートのワインは、すっかりローマっ子の日常ワインとして定着していたので、よく飲んだものだ。
フラスカーティもそうであるが、水のように、ごくごくと飲める。
きんきんに冷やして飲むと、おいしい。
食べ物は、肉でも魚でもこだわらない。
という飲み方が一般的だった。
(今考えると、ちょっと恐ろしい気もする。。。)

ここ数年、記憶にある範囲では全く飲んでいないオルヴィエートを久し振りに飲んだ。
ウンブリアのとあるワインバーで、注文したものを見て、ソムリエが決めてくれたワインである。
こういう場合は素直に従おう。
肉、魚両方のメニューが入り、軽め、ちょっと重ためも入っていた。そして、白という注文を付けた。
一瞬、うーん、と考えて、肉でも魚でも良く、程よいふくよかさ、しっかりしたボディもあり、アルコール度も高いので肉料理にも満足感がある感じのワイン、ということである。

パラッツォーネは、程よい値段の赤、白、デザートワインを幅広く造っているワイナリーである。
そういう意味で、ちょっと飲むのに外れがない。
久しぶりのオルヴィエート。
品種は、プロカニコ50%、グレケット25%、その他25%。
アルコール度13.5%で、水のようなオルヴィエートとはちょっと違う。
色は、普通のオルヴィエートよりかなり濃いめ。
香りがとてもきれいで、なかなかのパフォーマンスがある。熟したフルーツの香りがきれいで、ほんのりアカシアのハチミツの香りも漂う。ミネラルなども含み、なかなか複雑な香りを出している。一瞬、樽使用かと思うが、樽は使っていない。
味は、ふわっと広がりがあり、ふくよかで、ボディがしっかり。後味にオルヴィエートらしいほろ苦さ、ミネラルが感じられる。持続性もよく、ほろ苦さが心地よい。
肉料理でも十分合う白ワイン。オルヴィエートだから、値段も決して高くないのが嬉しい。

”ロッソ・ピチェーノ・ヴィーニャ・マッスィエリ 1997” テヌータ・コッチョ・グリフォーニ

2008-03-12 01:58:37 | Marche, Umbriaマルケ、ウンブリア
“Rosso Piceno Vigna Messieri 1997” Tenuta Cocci Grifoni –Marche
マルケ州というと白のヴェルディッキオが有名だが、赤も割と良いものがあるし、全体の品質は悪くないと思う。
ロッソ・ピチェーノの10年を経たものを飲む機会があった。どちらかと言うと、わざわざとっておこうとは思わないワインなので、珍しい機会とも言える。

品種はモンテプルチャーノ100%。
色は、中くらいの濃さのガーネット色。熟したきれいな色で、つやが良い。
香りは、とてもきれい。コンフィになったブラックチェリーamarena、桑の実moraなどと一緒に干しイチジクの香りが強い。スパイス臭は甘く、リコリースのアメ、革、ミルクチョコ、アスファルト、キノットchinottoなど。その他、サラミ、オレンジの皮、タマリンドtamarindoなど。かなり変化が感じられ、複雑性があり、奥行きがある。
味は、かなり辛口。ボディが程よくあり、酸より塩味が強いくらいか。タンニンもまだ生きていて、後味も良い。
ロッソ・ピチェーノは十分持つワインであるはずなのだが、なんとなく、本当になんとなく、あまり置かずにのんでしまうことの方が多いのではないかと思う。
それはもったいないことなのだと思うようになった。