乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 15  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-21 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 15  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

15

いさしやんした、と。出るあとか与兵衛が七左衛門殿、めんぼくない。ふとした けんくハに

どろにはまり。色ゝお内義様のおせハ。是も七左衛門殿のおかげ。忝くいふに

びんさきかみのわげも、どろまぶれ。身ハぬれねづみ、後ちゆう、おかしいやう。あいさつ

もせす、是、お吉。人のせいもよい此にしたがよい。わかい女が、わかい男の帯とい

て。そうして跡で紙でぬぐふとハ、びろう、しごく うたがハし。いよ、そのことは ほから

かせ、サア/\、参ふ、日がたける。ヲヽ/\、待てゐました。くハしい事ハ道すがらと。あてが

手を引おとハだて。中ハ てゝ親かた、くマに、のりのおしへも 一ツ遊山ぐんしゆを

 

わけてぞ、いそぎける与兵衛、ひと理、ちや屋のみせと。ほんとしてゐる所に。ていしや

をはじめあたる ざい所の者共、五、六人、さきにから爰な人ハ参り、下ろうめ。一ツ所に

うろ/\と、がてんいかぬ。サア、通つたとおつる。折から はい/\/\の声にまじわる

くつわの音。おぐり八弥下かうのかち立、与兵衛 うろたへ、にげそこなひ、押わる

供、さき、おぢのめに。かゝる ふしやうの出合かしら、ひつとらへ、ねぢすゑ。さいぜんハ

御さんけい、今ハ御下かう、つゝしみなし、討て捨ると 力のつかに、手をかくる。まて/\

森右衛門。その者討て捨んとハ、なぜ/″\。きやつハさいぜんのりようがい者。ち人ならバ

 

忝く(かたじけなく)

 忝い [形]

 1 もったいない。恐れ多い。

 2 身に受けた恩恵などに対して、感謝の念でいっぱいであるさま。身にすぎて、ありがたい。

 3 恥ずかしい。面目ない。

 

わかい女が、わかい男の帯といて。そうして跡で紙でぬぐふとハ、びろう、しごく うたがハし。

 若い女が、若い男の帯、解いて。 そうして、後で紙で拭うとは、尾籠、至極疑わしい。

尾籠(びろう)[名・形動]《「おこ(痴)」に当てた漢字「尾籠」を音読みしたもの》

 1 不潔であること。また、そのさま。

 「食事中、尾籠な話になるが」

 2 わいせつであること。また、そのさま。

 「若い女が若い男の帯解いて、さうして後で紙で拭ふとは―至極、疑はしい」〈浄・油地獄〉

 3 礼儀をわきまえないこと。また、そのさま。無礼。

 「殿の御出(ぎょしゅつ)に参り逢うて、乗物より降り候はぬこそ―に候へ」〈平家・一〉

 

遊山ぐんしゆをわけて

 遊山群集を分けて

遊山(ゆさん)

 野山に、遊びに出掛けること。また、気ばらしに外出すること。

 

おぐり八弥

  出演 役柄  

   花車お杉

   芸者小菊

   小姓頭小栗八弥

   与兵衛叔父山本森右衛門

   河内屋与兵衛

   七左衛門女房お吉

   娘お光

 

ふしやう

 不詳

 詳しくは分からないこと。はっきりしないこと。

 

きやつハさいぜんのりようがい者。

 彼奴(きゃつ)は最前の、慮外者。

慮外 [名・形動]

 1 思いがけないこと。また、そのさま。「慮外な(の)ことを言う」

 2 無礼であること。また、そのさま。ぶしつけ。「慮外ながら一言申し述べます」「慮外千万」

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 15  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-21 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

14

して、どろをつかみ合。はね馬に乗た侍に。その泥がゝつて、それで

下かうに切らゝはづ。頼ます/\と、立さらず。エゝ、あきれはてた親御

達の病に成りが愛しほいむかひどしの けん/\共ならず。茶屋の内、かつて

ふりすゝいでしんぜましよ。顔もあらひ、とつとゝ大坂へ帰つて。以後をたし

まなしやんせ。又、爰かります。おきよゝ。とゝさまが見へたら、かゝにしらしや

やと。ふたりよしずのおくながき、日かげもひるにかたふけり、さぞや妻子

が待らんとの 弁当かたげかた/\よ。あねを手を引てしまやの七左衛門。のど

 

がかハけとのむまもいそぐ。ちや屋のまへにて中娘。アレ、との様かとすがり

寄。ヲゝ、待かねたか かゝハどこにと尋ねれバ。かゝ様ハ爰のちや屋のうちに。河内屋

与兵衛様とふたり、帯といて。べゝもぬいでゝござんする。ヤア、河内与兵衛め

と。帯といて、はだかになつてじや。口をしいめをぬかれた。そうして跡ハどうじや

く。そうして、はな紙でのこぶたりめら、ふたりと聞より、せき立、七左衛門。がんしよく

かハり、眼もすハり、門口に立んたかり。お吉も与兵衛も是へ出よ。但、出ずバ、そこへ

ふんこむと。呼ハる勢にこちの人か子供がおひるのじぶんもわすれ。どこに何して

 

どろをつかみ合。はね馬に乗た侍に。

 泥を掴み合い。跳ね馬に乗った侍に。

 

七左衛門

  出演 役柄  

   花車お杉

   芸者小菊

   小姓頭小栗八弥

   与兵衛叔父山本森右衛門

   河内屋与兵衛

   七左衛門女房お吉

   娘お光

 

がんしよく

 顔色

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 14  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-20 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

13

さやばしつて。血を見れバ、殿の御代参 叶ハず。帰らねバ

ならぬ。下かう迄ハ、ずいぶんさや口に心を付て森右衛門供を、せい/\。ハア

はつと、お詞恭しく、おのれ、下かうにハ、討。しバしの命と、つきをなし。随分

おぢがめにかゝるなと いひたけれ共、侍気。声せぬなつの手ふりうぐひを

はい/\/\/\。ぶけのいきかた、なづまぬ御馬。あしをはやめて、いそがるゝ与兵衛。

うつとり夢かうつゝか、ゑひたるこゝ、なむ三、おちの下かうに切らるはづ。

きられたら、死ふ(ママ)。しんだら、どうしよ と 心ハしづみ、気ハうハもり。通てくれう

 

とうけ出。ハア、かういけバ、野ざき大坂ハ、どちらやら方がくがない。こちハ京の

方、あの山ハくらがりか。但ひえい山かどこへにてハ、のがれうと。眼を迷ひ

うろたへ、ア、どうかせう。何と かゞ笠お吉と見るより、地ごくの地ざう。ヤア、お

吉様下かうか。わしや、きらるゝ、たすけて下され。大坂へつれてゐて

下され。後生でござると、泣おがむ。イヤ、こちや、まだ、下こうじや ないわいの。

七、八町いたれど、あんまり人ぜり。こちの人、待ち合せに、爰迄帰つた。エヽ。けう

となげな、身も顔も、どろだらけ。気がちがふたる、与兵衛様、尤ゝ けんくハ

 

さやばしつて

 鞘走って

鞘走る [動ラ五(四)]  

 1 刀身が自然に鞘から抜け出る。  

 「下人はそこで、腰にさげた聖柄 (ひじりづか) の太刀が―・らないように気をつけながら」〈芥川・羅生門〉  

 2 出過ぎたことをする。さきばしる。

 「まだ―・った事を言ふ」〈鷺流狂・末広がり〉

鷺流狂(鷺流狂言)

 室町時代から能とともに発展してきた狂言。

 現在に伝わる大蔵流と和泉流の二大流派とともに、明治〜大正時代に中央から姿を消した鷺流(さぎりゅう)という流派があった。

  鷺流は、徳川家康のお抱え狂言師であった鷺仁衛門宗玄が創設した流派。

 江戸時代には観世流の座付となり「幕府お抱え」として勢力を持っていた。

 ところが明治時代に入り、他の流派のように家元制を確立することができず、大正期には絶えてしまった。

 鷺流狂言は、山口県山口市、新潟県佐渡市、佐賀県などで素人の狂言師たちによって伝承される。

 

 叶ハず。(かなわず)

 叶う

 願いが現実になる。思い通りになるという意味がある。

 

下かう迄ハ

 下向迄は

下向(名)

  高い所から低い所へおりていくこと。

 2 都から地方へ行くこと。

 

恭しく(うやうやしく)[形]

 《「礼 (うや) 」を重ねて形容詞化した語》

 相手を敬って、礼儀正しく丁寧である。「神前で―・く頭を下げる」

 

なむ三、おちの下かうに切らるはづ。

 南無三、叔父の下向に切らるる筈。

 

きられたら、死ふ。しんだら、どうしよ と 心ハしづみ、気ハうハもり。通てくれうとうけ出。

 斬られたら、死のう(ぬ?)

 死んだらどうしょ(どうしょ は関西弁)

 と、心は沈み、気は上盛り。

 通うてくりょう、

 峠、いで。

 

あの山ハくらがりか。

 あの山は、暗(峠)か。

 暗峠は、大阪と大和の境にある山。

 

但ひえい山かどこへにてハ、のがれうと

 ただし、比叡山かどこかに、のがりょう(のがれよう 関西弁)と

 

かゞ笠

 加賀笠

 加賀国から産出した菅笠(すげがさ)。

 町家の女房、比丘尼(びくに)などが用いた。

 加賀菅笠。

 

吉様下かうか。

 お吉様、下向か。

 

大坂へつれてゐて

 大坂へ連れて行て(行って いて は、関西弁)

 

イヤ、こちや、まだ、下こうじや ないわいの。

 イヤ、こちゃ、まだ、下向じゃ 無いわいの。

 

  出演 役柄  

   花車お杉

   芸者小菊

   小姓頭小栗八弥

   与兵衛叔父山本森右衛門

   河内屋与兵衛

   七左衛門女房お吉

   娘お光

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 13  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-20 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

12

大もん。手ふりの先供はい/\/\/\の勢をも聞ず、与兵衛が。くりかけて打ツ

どろすな。出合ひやうに、馬上の武士のあハせ、上下かいぐ迄。ざつくとける

も時の運くりが、たちまち どろ付げは、いがいくりもしづまらず、与兵衛も

はつと おどろく所。それのかすなとかちの衆。はら/\と取まく中。相手ハ

川をわたりこし、小きくもくハしやも手ばし かく。参りの諸人にまぎれて

のく。かちかしら、山本山本森右衛門与兵衛が。両す手かいて、ぎゆつとのめらせ。

ひぎをせぼねにひしぎ付る。ア、お侍様、けがでござる。ごめん成ませ。おぢ

 

ひ/″\とほゑづらかく。こいつりよくハい者。お小袖馬具にどろをかけて、

けがといふてハすまぬ。面を上、いと首ねぢ上。ヤア、森右衛門与兵衛殿、おぢじや

人。ムム、与兵衛めかと。互にはつと おどろきが。ヤイ、おのれハ町人、いか様のち

じよくを取ても、きづにならぬ。旦那より、御ふちをかなふり。二字を首

にかけたる森右衛門とよべハ、いはを取ておきへ。おいと見たれバ猶たすけ

られぬ。討て捨る、立ませい。といふて、引立る。馬上の主人、

ヤイ/\/\。森右衛門見れバ、其方が大小の さや口がゆるさうな。ふと

 

大もん

 大物(大者)

 

  出演 役柄  

   花車お杉

   芸者小菊

   小姓頭小栗八弥

   与兵衛叔父山本森右衛門

   河内屋与兵衛

   七左衛門女房お吉

   娘お光

 

こいつりよくハい者。

 こいつ、慮外者 

慮外者(りょがい‐もの)

 無礼者。ぶしつけもの。

 

おいと見たれバ猶たすけられぬ。

 甥と見たれば、尚、助けられぬ。

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 12  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-19 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

11

ゝと寄る足首。はけがおとがひけちかへられ。とうとまろんで

ころ/\/\、小川へだん、ふと、はねおとされ。是ハと取付かいしやる大じの命の

たま。ちゝみ程け付れ、とんびがかけた なむ三と。あきれて そらを

みち/\/\。はらばい/\ にげて、ゆくゑハなかりけり。友達なげさせ、見てい

ぬ男。さかさまにうへてむずとつかめバ、ふりはなし。ヤ、ちよこざいな

けさい六。ゑらぼね ひつかいて くれべいと。くらハす こぶしを請はづしてハぶち

返し。たゝき合ふ。なふ、気の通らぬ是どうそと。中へ小きくが

 

かせに入わけがた しやんすなし、大の身と。一ハしやがかこへハ、下女も手を

引立へだつ。そりやけんくハよと諸人のさハぎ。ちや屋ハ店をし廻ふやら。

二人ハぜつたいぜつめいのふち、組合つゝ、みのかた きしふみくづし、小川にどう/\

おちわれ。。もくずどろ土、まいごみ砂。互になげかけ、つかみかけ。打あひ

打付、あつかひ、手なき相手せうきこんくらべと。「みえ(三重)にけるをりも

あらめ 嶋上こほり高つきの衆の子。お小せうをのしゆつとう おぐり八弥。

馬上に上下御代参のかちわつたう。そろひばをりのこいかきに、ちゑのわの

 

ちよこざい 【×猪▽口才】 [名・形動]

 小生意気なこと。こざかしいこと。

 また、そのさまや、そのような人。

「我 (ひと) の仕事に邪魔を入れる―な死節野郎」

〈露伴・五重塔〉 [補説]「猪口」は当て字。

 

 もう、十年も前の事になるだろうか。

 松緑の襲名の頃、歌舞伎役者である四代目松緑は舞台で個性的な抑揚をつけて、

「ちよこざいなぁ〜〜!」

という台詞を多用していたことを思い出す。

 

そりやけんくハよと諸人のさハぎ。

 そりゃ喧嘩よと、諸人の騒ぎ。

 

おぐり八弥 小栗八弥 (小姓頭小栗八弥)

『女殺油地獄』

 行楽半分の野崎参り  舟で行く人、のんびり土手を歩く人で賑わう野崎参りの徳庵提。

 油商河内屋の道楽息子与兵衛は野崎参りにさそって断わられた馴染みの遊女小菊を巡って、田舎客と喧嘩騒ぎをおこす。

 来合わせた伯父で侍の森右衛門に手打ちになりかかる。

 危うく難をのがれた与兵衛は、通りかかった同じ町内の同業豊島屋の女房お吉に、喧嘩で汚れた着物を濯いでもらう。

  出演 役柄  

   花車お杉

   芸者小菊

   小姓頭小栗八弥

   与兵衛叔父山本森右衛門

   河内屋与兵衛

   七左衛門女房お吉

   娘お光

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 11  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-18 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

10

三つ出る程ふかい/\と。いひ立れたふたりの。中つれ立て参らぬも

みんな こな様のいともさやへ。人にそだてれけしかけられ、何じやの。わしが

心ハせいもんかうじやと。ひつたりざきよせ、しみ/″\さゝやく。色こそ見へね、河与

が悦喜。エ、忝いと、のびた顔付、客ハたまらす、そばに。どうと腰かヶ。小きく

どの、お身ハ聞えぬ。いか成縁にか、会津様程いとしい人ハ。大阪中にないとゆ

つたぞよ。国本のぐハいぶん、身の大けいと。大じの金銀を湯水の様に川遊び。

ちよがらかされにや、来申さない。其男が聞まへで。各のことく、いはない

 

けりやと/\、通うのむや/\のせき。二度とこゝ申さない。どうだ

/″\とせめせちかぶ。いひあハせし二人のつれ、つか/\と寄て。ヤイもさめ。此

女にこつちへもらふ、置て帰れ。但あづまみやげに、川のどろ水、ふるまるふ

こと。両方より立はさみ、なげてくれんず、つらかまへ。ばんどう者のどうつ

よく。何さぶい/″\共。人おどゝのかいなに色ゝのほり物、せけんくハに事

よせ。ふところの物取と聞及ぶ。びんぼうにすねをなぐれ。腰

ひざも立ぬ遊女ぐるひ。上方のどろ水より、おうしう者のどろ足くらべと。

 

せいもんかうじや

 誓文、こうじゃ

 

忝い

 かたじけない

 

もさめ

 田舎者め

 もさ(もっさい、田舎者)

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 10  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-18 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

9

にあげられて、つれて、あるじの後家まじり、かハりちんつの国なり。

やつしハ甚左衛門、幸左衛門が思案ごと、四郎、三が、うれい事。ちんつく/\。ちんちり

つてつて。日本一のめいじん様、やつちや/\と 心ある歌のり、ほぬさする。金ぞ

諸げいの上手成。そりや/\、来たぞと、三人が。手ぐすね引たり、顔色。小

ぎく 遠めに、はつ と おどろき申、くハしやさん。同じ道と気がつきる。始の舟

に乗たいとすそかい取て、立やすらふ。さきに与兵衛ほばしら立跡に、に王

のはりばん立、与兵衛せくな、女房とつめひらいて、男縦の。会津らうそく

 

が光たてしたら。こち ふたりが、しん切て、ふみけしてくれると。ざかりを

腰にうでまくり。客ハてんどう、くハしやも下女も、うろたへにきくをかこふ

てかぞ、ふるに小きく殿かつた。なじみの河与かるからハ、いごかせぬと。ちや屋の

せうぎに引すりすゑ。是 ばいた様、やす お山様、野崎の方がゝる いどなたの

御ことでも参らぬと。此河与とつれに成をきらひ。すいた衆と参れバ

方もかまハぬか。其わけ聞ふとりくつバる。目屋のきりん金神(こんじん)などや

うに河与様。かどがとれぬの。小きくといふ名が一ツ出れバ。与兵衛といふ名ハ

 

はつ と おどろき申、くハしやさん。

 はっ!と驚き申す。花車さん。

 

与兵衛ほばしら立跡に、に王のはりばん立

 与兵衛、帆柱立つ跡に、仁王の張り番立ち

 

会津らうそく

 会津絵ろうそくの歴史は五百年以上前、時の領主十一代芦名盛信公が漆樹の栽培を奨励したことからその歴史は始まりました。

 十八代盛隆公は織田信長公に千丁のろうそくと駿馬を献上し、大変喜ばれたと記録にもあります。

  また、藩はろうそくを専売品とし、貴重な財源として活用もしました。

 

是 ばいた様、やす お山様、

 是 売女様、安お山様

 

其わけ聞ふとりくつバる。

 その訳聞こうと、理屈ばる。

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 9  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-15 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

8

ゆきおらず。小さく出たと、にくかろが。此諸万人のくんじゆをつきのけ、おし

のけ、めに立、ふうぞく。本天満町 かハちや 徳衛門といふ油屋の二ばんむす

こ。ちや屋/\のわけもろくに立ず。あのざま、見よと、ゆびさしするが。せうし

な。こうとうな兄御を手本にたて。あきんどゝいふ物ハ、一文銭もあだに

せず。すゞめのすも、くふにたまる。ずいふん かせいで、親達のかた たすけと。心

願立さんせ。脇へハいかぬ其身のせうごん。ハァ、気にいらぬら、返事がない。

姉 おじや、はやう参らふ。道でこちの人にあハしやんしたら。本だうに持てて

 

ぬかといふて下さんせ。ちや屋 過分と たもとより置、ちやの残の

八、九文。四分におもく、五分にハ。かろ/″\しげの物参り。別れてお吉通り

ける。悪性に うハぬりする かいしゆの 善兵衛、あの女ハ 与兵衛が筋むかひの

おか様でないかい。物ごしも とこやら、恋の有、うつくしいかほで。扨ゝ かたい女房

じやな。されバ 年もまだ廿七。色ハあれど、数の子程、うみひろげ。所

帯じうて、気がこうとう よい女房に いかひ疵(きづ)。みかけ計でうまみない。

飴ざいくの鳥じやと、笑ひける。かゝとハいかで。しろうとの ゐなかの客

 

くんじゆ

 群衆

 (前回の『女殺油地獄』7にも出ている)

 

本天満町 かハちや 徳衛門といふ油屋の二ばんむすこ

 本天満町 河内屋 徳衛門と云う油屋の二番息子

 

ちや屋/\

 茶屋茶屋

 

兄御

 兄を敬っていう語。あにごぜ。⇔弟御。

「―は何とかおはする」〈曽我・三〉

 

かいしゆ

 皆朱

 漆塗りの一種。全部朱色に塗ること、また、塗ったもの。

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 8  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-14 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

早稲田大学デジタルライブラリー

7

よにしつてゐるか。なぜつれ立て参らせぬと。ばつとのすれハふハと

のり。残多イあつはれけふハ、物の見事なことて。参りのくんじゆに、めをさまさ

せうと。此中から もがいたれと、びぜんやの松かぜめハ 先やくが有て。もらひ

もかしもならぬと、ぬかす。天わうじ屋の小きくめハ、野ざきへハ方がわるい。

どなたの御ことでも参ぬといひ切。それに聞て下され。小きくめが、けふ

会津の客にあげられ。早 天から川御座で参りおつた。いなか者にしま

けてハ此与兵衛がたゝぬ。小きくめが帰るを待て一出入と噺の内から

 

二人のつれ。うで押もんで、りきみかけ。鬼共組べきいきほひ也。その連

とふには落ず かたるに、落ると。利口そうにそれが信ゝのくハん音参りか。

けんくハののら参り。かハしやんすお山も、けいせいも。何やのたれと。

親御達かよふ、しつていとしぼや。そちへハ与兵衛めが間がなすきがない、ひた

つておる。異見して下されと、わしらめうと に折入て、くどき事。こちの七左衛門

殿もいやらぬ事ハ有まい。さだめしこな様の心にハ。所そ、あれ野、げに

ちやみせで、わかい女ごのだまで。入子鉢(はち)の様なめん/\の子とものせハ計

 

参りのくんじゆ

 参りの群衆

 

此中からもがいたれと、

 此中から、もがいたれど

 

 1 方向。方角。方位。「西の方」「駅の方へ歩く」「声のする方を見る」「九州の方に行く」  

 2 部門・分野を漠然と指す語。その方面。また、指し示すものをあいまいにするために使う語。

 3 二つ以上あるもののうちの一つをとりあげてさす語。

 4 どちらかといえばこちらだという部類。

 6 四角。また、正方形の一辺の長さ・距離を示す語。

 

しまけて

 しまける

 時雨が降る、時雨れる という意味です。

「しまけるまえにでかけよう」 (時雨れる前に出かけよう)

「はれやとおもったらしまけてる」 (晴れだと思ったら時雨が降っている) という風に使われます。

 

けんくハ

 喧嘩

 

かハしやんす

 買わしゃんす

 

わしらめうと

 私等夫婦 

 

入子鉢(いれこばち)〘名〙

 大小が順にはいるように組み合わせになった鉢の一組。

 普通七個から成る。七つ鉢。 ※俳諧・六百番誹諧発句合(1677)五一番

「八重霞よし野のそこや入子鉢〈如流〉」

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 7  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-14 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

早稲田大学デジタルライブラリー

6

同しやうばいの色友達、刷毛の弥五郎、皆朱の善兵衛。のざき参り

の三人づれ、万事を夢とのみあげし。ねざめさけ 重 五升だる

坊主持して、北うづむ。小きく目が客とつれ立、よし/\と下向

するも、此筋と。のさばり返つてくる道の。ちやみせのうち

より申ゝ与兵衛様。夢ゝ/\と呼かけられ。ヤ、お吉様、子共衆つれ

ての参り。いや、こちの人も同道、二、三げんよるところもあり。追付、爰へみへる

 

はづ。おつれ衆も マァ 是へ。ひら/\としいれて、たばこ一ふくいたさう

かと。腰打くるもの、んこらし。何と与兵衛様。御はんしやうな参りでハない

かいの。よい衆の娘子達や、おいゑ様かだ。アレ/\ あそこへ きゝやうそめの腰がハり。

嶋じやの常しやじやハ、ひの/\。ソレ、/\/\そこへ嶋ちゞ身にのこの常。慥に

中のふうと見た、又、一位みずでハ有ぞ。いか様わかい お衆が、此よなおりに。

あんなみ事な者、引つれ、ぜいのやりたいハ、道理。こな様もつれ立たい者が

ある。こんな折に、新地の天王寺や、小きく殿か。新地の備前屋松風殿。なんと、

 

 

同しやうばい

 同商売

 

皆朱

 漆塗りの一種。全部朱色に塗ること、また、塗ったもの。

 

うづむ 【埋む】 他動詞マ行四段活用 活用{ま/み/む/む/め/め}

 ①うずめる。かぶせて覆う。

 出典あけ烏 俳諧 「不二(ふじ)一つうづみ残して若葉かな―蕪村」

 [訳] 初夏、頂に雪を残す富士山だけを残して、そのふもとのあたりはすっかり若葉がうずめ尽くしている。

 ②気持ちをめいらせる。

 出典壬二集  「心をうづむ夕暮れの雲」

 [訳] 心をめいらせる夕暮れの雲よ。 参考室町時代の用法として下二段活用もある。

 

御はんしやう

 御繁盛

 

きゝやうそめ

 桔梗染め

 

あんなみ事な

 あんな、見事な

 

こな様(こなさん)

 こなさん[代]二人称の人代名詞。「こなさま」のくだけた言い方。

 あんた。おまえさん。

 「―の孝行の道さへ立てば、わしも心は残らぬと」〈浄・宵庚申〉

 

新地の天王寺や、小きく殿か。

 新地の天王寺屋の、小菊殿か。

 

 

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 6  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-12 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

早稲田大学デジタルライブラリー

5

もときし京ばしや、のだのかた町、やまと川。爰ハ名にあふ

じやみやうの松御代長久のおか山を。歌にハしのびの おか

ともよみ。さらゝ山口 一ツばし、わたせすくふ、御くハんりき。

むりやう むへんのじゆふくかく、じげんじ、しゆしやう、ねび

くハんおん。しんとくだうしやの、御ちかひ。とふもかたるも

ゆくふねも。かちゞひらふも、もろともに。まよひを

ひらく こしあふぎもたうに。ねんじやを 「くりかへす

 

所をとへバ、本天満町、まちのはゞさへ ほそ/″\の、柳腰、やなぎ

かみ 、とろり、とせいも たね油。ばいくハ紙こしゑの油、夫ハ。でし

まや七衛門、妻の野崎のかい帳参り。婦ハ九ツ三人娘だく手。

引手に見返る人も。子持とハ見ぬ花さかり。吉野の吉の字

をとつて、お吉とハたが名付けん。お清ハ六ツ中娘。かゝ様、ぶゞが

のみたいも、をりふし そばの出ちや屋見せ。爰かります、と、やすらひ

ぬ。是も同町、すぢむかひ。かハちや与兵衛、まだ二三、親がゝり。

 

爰(ここでは、此処と読まず、すえ と読ませている。)

 ①ここに。ここにおいて。

 ②かえる。とりかえる。「爰書」類換

 ③ゆるい。ゆるやか。「爰爰」

 

御くハんりき

 御願力

 

むりやう むへん(無量無辺)

〘名〙 物事の程度や量がはかりしれないこと。はてしないこと。

 ※菅家文草(900頃)四・懴悔会作「无量无辺何処起、自身自口此中臻」 〔法華経‐序品〕

 

じゆふくかく じげんじ しゆしやう ねびくハんおん。

 聚福閣 慈眼視 衆生 念彼観音

 観音経の中の最後にある一節

   具一切功徳 一切の功徳を具し

   慈眼視衆生 慈眼をもって衆生を視(み)たもう      

   福聚海無量 福聚の海は無量なり      

   是故応頂礼 是の故に応(まさ)に頂礼(ちょうらい)すべし

 

しんとくだうしや

 身得度者

 観音経

 應以聲聞身得度者(おういしょうもんしんとくどしゃ)

 

とろり、とせいも たね油

 とろり渡世も種油

 いよいよ『女殺油地獄』らしくなってきたよ^^

 

ばいく

 梅花

 

でしまや七衛門、妻の野崎のかい帳参り。

 豊島屋(でしまや)七衛門、妻の野崎の開帳参り。

 いよいよ豊島屋七衛門の妻が赤子を抱き、5,6歳の子を連れて、舞台登場となる^^

 会場の観客、役者の拍手といった場面である。

 近松の浄瑠璃本では

    婦ハ九ツ三人娘だく手  とある。

 

子持とハ見ぬ花さかり

 子持ちとは見(え)ぬ花盛り

 

出ちや屋見せ。

 出茶店

 

やすらひぬ

 休らいぬ

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 5  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-12 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

早稲田大学デジタルライブラリー

4

わらべもうたふをきけバ。行もちんつ、帰るもちんつ。又くる人

もちんつちりつて。チリテツテ。つねをたのみ、のり合船ハ。かり切

よりも、とくあんづゝみ。ともにへさ気をこぎ付て、よそも

ひとつのふねの内。きやくハ是見よ、顔じまん。やゝ共をれバ

ちハこどの。それにまかせた身の上も。人もはづかし、気づまり

と。小ぎくハ「おかへ、一とびに。ひらりぼうしのふか/″\と。まゆハ

かくせどとりなりの。町でなごやのむな高帯ハ。おさゞに。露

 

のまかれぬ しまつ さんやう せちべんも。人にこそ

よれ、しなにこそよれつ、もつれつ、みちくさに。人

のことくさア、むつかしく。うるさく にくゝ、いやらしく。我

ともぶねを、小ねまき。これの見さんせナ、あたごの山に

ヨエ。ぢんのけふりが。三すじたつけふりがナ。ちんの。ぢんのけふり

が。三筋たつ、四すじにわかれ。玉ほこの。是よりたつみなら

かい道。うしとらすみハはた道。玉つくりへハ、ひつじさる。にしハ

 

行もちんつ、帰るもちんつ。又くる人もちんつちりつて。

 当時の流行歌。

 

なごや

 名護屋

 名古屋

 

むな高帯

 胸高帯

 〘名〙 高く胸のあたりにしめた帯。

 ※浄瑠璃・女殺油地獄(1721)上「町で名古屋のむな高帯」

 

おさゞ 

 小笹

 

しまつ さんやう ぜちべん

 始末、算用、世知弁

 

是よりたつみならかい道。

 これより辰巳、奈良街道。

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 4  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-11 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

早稲田大学デジタルライブラリー

3

みちのく、あいづにて、名代ながさぬかねつかひ、此比

やみへ のびりつめたに、天王寺屋。小ぎくをを思ひ。思ハれたさに、な

まず川よりゆら/\と野崎参りのやかた船。卯月中はのはつ

あつさ、末の。うるふに おいぐりて、まだはださむき川風を。酒

にしのだてそゞり行。しやくざいれうぜんめうほつけ。こん

ざい西方めうあみぎ。しやばじげんくハんせ音。三世のりやく。

三ねんつゞき。去ゝ年つちのへ、亥の春ハ、うらや せどやに、つみ

 

ぶかく。はりくし箱や。じゆすぶくろ。そこに甘のめも見ず

しかぬかんふつうのしやじやうとせん、しやの御年のつかみ

どり。しまわうごんの御はだへに たちまち なちのくハんぜ音。

去年ハ、わしう ほうりうじ。しやうとく太子の千百年忌。これ

くせの大ひのけしんづゝいて、ことし 此さつた。さくら過にし

山ざとの。たれとふへくりなかりしに、らうにやくなん女、花さき

て。足をそ/\、空吹風に。ちらぬ色かの だて参り。おとな

 

此比

 〘名〙 (上代は「このころ」)

 ① 近い過去から現在までの漠然とした時間をさしていう。

 ちかごろ。最近。この日頃。近来。

 このじゅう。このじゅううち。

 ※万葉(8C後)一四・三五〇六

 「新室(にひむろ)の蚕時(こどき)に到ればはだ薄穂に出し君が見えぬ己能許呂(コノコロ)」

 ※談義本・世間万病回春(1771)五「比日(コノゴロ)は久しく御意得ぬに」

 ② 近い未来の漠然としたある期間をさしていう。近いうち。近日。

 ※万葉(8C後)一〇・二三二九「雪寒み咲きには開(さ)かず梅の花よし比来(このころ)はさてもあるがね」

 歌舞伎・蝶々孖梅菊(1828)二幕「木梚町が、大分面白いといふ事ゆゑ、こちのお福さんも、是非この頃(ゴロ)に、見に行くと申す事でござりますわいなア」

 ③ 過去の、現在と季節や時間の対応する漠然としたある期間をさしていう。

 今時分。 ※源氏(1001‐14頃)御法「むかし大将の御母うせ給へりしもこの比のことぞかしとおぼしつるにいと物かなしく」

 [補注]現代語の、過去におけるある時期をさす「このころ」は連語と認め、この項には含めなかった。

 

しやくざいれうぜんめうほつけ

 昔在霊山名法華 

ざい西方めうあみぎ

 今在西方名阿彌陀

しやばじげんくハんせ音

 娑婆示現観世音

三世のりやく。三ねんつゞき。

 此処で、昔在霊山名法華。今在西方名阿彌陀、娑婆示現観世音、三世利益同一体の三世利益同一体と言葉を変え、『女殺油地獄』の話は続く。

 ※大観本謡曲・高野物狂(1423頃)「昔在霊山名法華。今在西方名阿彌陀、娑婆示現観世音、三世利益同一体。げにありがたき悲願かな」 

今在(こんざい)
〘名〙 まのあたり。目前。
 ※大観本謡曲・高野物狂(1423頃)「昔在霊山名法華。今在西方名阿彌陀、娑婆示現観世音、三世利益同一体。げにありがたき悲願かな」
 
 
うらや せどや
 
 裏屋 背戸屋
 
しまわうごん
 
 紫麻黄金〘名〙 =しまごん(紫磨金)
 ※今昔(1120頃か)二「仏、紫磨黄金の御手を以て此を受て」
 
 紫色を帯びた純粋の黄金。紫磨黄金。紫金 (しこん) 。  
「体相威儀いつくしく、―の尊容は」〈栄花・玉の台〉
 
 
なちのくハんぜ音
 
 那智の観世音
 
 
わしう ほうりうじ。しやうとく太子
 和州 法隆寺。聖徳太子
 
 
らうにやくなん女
 
 老若男女

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 3  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

2020-12-11 | 近松門左衛門

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 2  高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門

早稲田大学デジタルライブラリー

2

 上巻 油殺女地獄 作者近松門左衛門 印

ふねハしんぞの見サヨイヨエ、君と我と、われと君よハ、づに

のつたつてきた。しつとん/\、しつとん/\、しつとゝあふせの

なみまくら。さかつきのどこいた君がさかづきいりのみたや

むさしの月の月の夜すがたハ、ふれあそベ、はやしたてる大さ

わぎ、北の新地のりやうもちや。あるじなけれど、さく花や。

後家のおかめが請こんで。きやくのかへ名ハらう九とて、生れハ

 

 

 きん

 

しんぞ

 しんぞう 【新造】

 1. 《名・ス他》新しく造ること。  「―船」

 2. 《名》しんぞ

 

 図

 

りやうもちや

 料理屋

 

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『女殺油地獄』 1 上,中,下巻 / 近松門左衛門 作 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門  早稲田大学所蔵と東洋文庫所蔵は、同じ。

2020-12-11 | 近松門左衛門

 

 

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 

 

『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 近松門左衛門 1653-1724

 高麗橋(大坂) : 正本屋山本九右衛門, [出版年不明]

 22cm

 竹本筑後掾正本
 共同刊行:山本九兵衛(大坂高麗橋)
 題簽の一部を欠く 虫損あり
 和装
 印記:文楽蔵,渡邉蔵書
 渡辺霞亭旧蔵

 早稲田大学デジタルライブラリー ヘ07 04334

 

 

 

 『女殺油地獄』上,中,下巻 / 近松門左衛門 作

 

 版元 大阪 山本久兵衛・九右衛門版

 上演 享保六年七月 竹本座

 五十丁

 東洋文庫所蔵

『近松全集』第十二巻(岩波書店)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする