乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

戯夢人生   The Puppetmaster  侯孝賢監督  台湾

2007-06-27 | 映画

(写真は大和川でみた夕日です)

 

 

  戯夢人生  The Puppetmaster

 

 

 満足度 ★★★★★

 感動度 ★★★☆☆

 人形劇師の想い出・語り口調 ★★★★★

 人形劇師の人生の表現 ★★★★☆

 時代・台湾表現 ★★★★★

 

 1993年 台湾 143 分

 

 監督 侯孝賢

 

 この作品には元人形劇師が 回想の語り手として登場。

 映像の信仰の途中に老人が、過去の思い出を語る。

 老人の声はわれて しわがれており、時々入る日本語が、東寺の台湾の時代性を表す。

 淡々とした、死を読むような話しぶりは彼の『戯夢人生』そのものを感じさせる。

 映画に品位さえ与えている。

 

 舞台は植民地時代から日本の敗戦までの台湾。

 その時代を駆け抜けた人形劇師(1919生)の物語。 

 

 台湾伝統の人形芝居・布袋戯や芝居に興味を持って借りたこのビデオ(DVDではない)

 想っていた内容とは全く違ったが、どこか小津作品を感じさせ、心は和む。

 おそらくこの映画の構図のとり方によるものではないだろうか・・・

 カメラアングルが、最近の多くの映画とは異なり、割合に単純。

 斜め構図などはあまり使われてはいない。

 色は柔らかで、コントラストを和らげているようだ。

 牧歌的な風景。菜の花の咲く農道を歩く時の砂埃は、日本ではみられない。

 

 待ってましたの人形劇や演劇のシーンは興味深い。

 人形劇はにほんの文楽のようなものではなく、こどものころに遊んだ 手をしっぽりと入れる手人形。

 手は両方使われ、人形遣いが歌い、語り、演じる。

 人形師の後ろには能楽の後見のような方がおられ、違う人形を手にはめなおしたり、サポートしている。おそらくこの方もピンチヒッターできるのではないだろうか。

 

 人形劇は屋外で行われる。

 祇園祭の小さな鉾のような舞台で、文楽のように途中に道も作り、手(腕)だけで立体的に歩かせたり、動かして表現するようだ。

 

 日本軍が中国の人形師を雇い、反欧米、日本の優位にたった人形劇が行わせていたらしいことを考えると、穴があれば入りたい。

 植民地時代をやんわりと表現。

 あからさまに日本帝国主義批判をするわけではないが、問題定義がはっきりとした映画だといえる。

 老人の回想する語り口調が、心に染み入る・・・・・・そんな映画なのである。

 

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パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト    ジョニー・デップ オーランド・ブルーム

2007-06-27 | 映画

(写真は島根県で見た夕日。今回は加工無し。たまにはあっさり・・・・・・ということで、ナチュラル写真でございます。)

 

  パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト  

 

 満足度 ★★★★☆

 楽しさ ★★★★☆

 かっこよさ ★★★★☆

 話の展開 ★★★☆☆

 お勧め度 ★★★★☆

 

 2006年 アメリカ 151分

 

 脚本 テッド・エリオット

 監督 ゴア・バービンスキー   

 

 キャスト ジョニー・デップ 

       オーランド・ブルーム 

       キーラ・ナイトレイ 

       ビル・ナイ     他

 

 

『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』 (↓乱鳥記録)http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/244e01d0e4eda6ec4f115c690a398430

に続く二作目。

 ジョニー・デップに惹かれてTUTAYA半額キャンペーンで借りてきた三本のうちの一本。

 期限が今日なので、急いで二本は観られたが、一本はアウト。

 もったいないことをしてしまいました。

 

『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』・・・

 面白かったですよ・・・・・・

 ・・・・・・ということで、今回は感想無しの記録だけで、失礼いたします。

 

 

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アバウト・シュミット   ジャック・ニコルソン キャシー・ベイツ 

2007-06-26 | 映画

(写真は写真を撮っている夫。)

 

  アバウト・シュミット

 

 満足度 ★★★★★+おまけ★★

 感動度 ★★★★★+おまけ★★

 話の展開 ★★★★★

 ジャック・ニコルソン ★★★★★+おまけ★★★★★ (5段階のはずなのですが・・・)

 キャシー・ベイツ ★★★★★

 お勧め度 ★★★★★

 効果音と静音 ★★★★★

 

  2002年 アメリカ

 原作 ルイス・ビグレー

 監督 アレクサンダー・ペイン

 脚本  アレクサンダー・ペイン

      ジム・テイラー

 

 キャスト 

 ジャック・ニコルソン

 キャシー・ベイツ  他

 

 BSフジで『アバウト・シュミット』を観る。

 感動した。

 話は単純で、静かに流れる。

 しかしジャック・ニコルソンの表現が実に良い。

 

 ナビゲーターの佐々木恭子(フジテレビアナウンサー)は毎回、ことごとく 私とは異なる感想。

 彼女は、

『自分の罪悪感を少年をかかわることによって満たしていた』

とか、

『義務感で・・・』

と話されていた。

 人それぞれの感じ方があって良いのだろう・・・参考になる。

 

 

 私が感じるこの映画のテーマは空虚感。

 仕事に一途に向き合っていた人生。

 退職と同時に会社における自分の立場を感じ取る。

 退職してふと知った不幸な少年たちに、つき22ドルと自分のことを書いた手紙を送ることを決める。

 おしきせにも感じる幸福な家庭。

 妻に死、そして随分昔の 妻の裏切り(浮気)を知る。

 昔のままのイメージでとまっていた、良い子であったはずの娘の変貌。

 娘の不本意な結婚。

 父の義務の不本意なる祝辞。

 男は毎月少年に送るお金と、自分のことを綴ることが、いつしか心の支えになっていた。

 娘の結婚式が滞りなく終わり、自分の家に帰る。

 孤独・・・

 たまりにたまった、数多くの郵便物。

 そのなかに少年の乳母殻の手紙。

 そして、少年から届いた絵には・・・

 手と手をつなぎあった二人が描かれていた。

 

 ここで私の琴線に触れる。

 

 自分(男)は今まで何をやってきたのだろうか・・・

 これでよかったのだろうか・・・

 男にとって、少年の手と手をつなぎあった絵が心に染みたことだろう・・・

 

 とても心に残る、素晴らしい映画だった。

 私はこの映画を観ることができて、幸せ者だと感じた。

 

 

 

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森の宮遺跡   大阪市中央区森ノ宮中央一丁目17

2007-06-26 | 美術・文様・展示物

(写真は京都の東寺・五重塔)

 

 

    森の宮遺跡

 

 

 先日大阪歌舞伎教室http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/fc38afd651d701470b6b73869c4e4634を観るために、ピロティーホールにいった。

 このピロティーホールは興味深いことに、森の宮遺跡に立てられたビルとのこと。

 少し早くついた私たち家族は、あたりをぶらぶらと散歩していた。

 

 ふと気づくと、遺物が同会館のピロティーホール地階で公開展示されている。

 これは見ないわけにはいかない。

 二人は宝箱を見つけたように、足早に歩み寄った。

 

 中には品の良い男性が、男性屈葬人骨の左横で、入場人数をカウントしておられた。

 人骨は縄文後期~弥生期の貝層から見つかったとのこと。

 40歳以上と推定される男性屈葬人骨など18体と生活用具が発見され、きれいな状態で保存されている。

 骨は見事に美しく、表面には保護のために、腐敗剤が塗られていた。

 

 説明を読むと、

『埋葬形式、あるいは一時期遠く関東・東北地方や九州西北部と交流したことや徐々にこの付近周辺に特長的な文化圏を形成したことが判明した。約5,000年前の生活様式は、照葉樹林のひろがるところでの狩猟と、全面にひろがる水辺での漁労が中心で、日本各地から移動する縄文人の集散の地にもなっていたと推定される。』

と、記されている。

 上のとてもわかりやすい説明は、

     素敵な森の宮遺跡説明のHP ↓

 http://www.osaka-udce.or.jp/rekishi/uekita/p58.htm

に載せられていた。

 

 ここ大阪の中央区森ノ宮中央一丁目17 (地下鉄中央線・JR 森の宮駅)。

 展示室でいただいた説明文を読むと、縄文時代後半には海に住む巻貝が食べられ、弥生時代には淡水に変化。セタシジミなどが食べられていたとのこと。

 海に住む巻貝

  ↓

 淡水に住むセタシジミ

を思うと、私は 地球の歴史のロマンを感じるのである。

 

 このほかにも色々な縄文土器や櫛、磁石などが展示されている。

 数は多くは無いものの、小半時間は充分に楽しめる会場。

 縄文土器野文様は鮮明で、かけた部分も上手く再現されている。

 かけた一部分から全体の大きさを割り出す作業なども、感心がある。

 面白そうだ・・・

 

 カウントの男性もみんなに親切で、歌舞伎が始まるまでの細切れの時間を、思いがけなく楽しく過ごすことができたことに、心から感謝している。

 楽しい時間を、ありがとうございました。

 

 大阪日日新聞HP『縄文人の暮らし』田中清美  ↓ http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/koukogaku/koukogaku050519.html

 

 

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ダイ・ハード (1)  ブルース・ウィリス ロデリック・ソープ(原作) ジョン・マクティアナン監督 

2007-06-25 | 映画

 

 ダイ・ハード

 

 満足度 ★★★★☆

 感動度 ★★★☆☆

 キャスト男前度 ★★★★★

 スリル ★★★☆☆

 色彩 ★★★★★

 お勧め度 ★★★★★

 構図 ★★★★★

 

 

 1988年 アメリカ 2時間12分

 脚本 ジェブ・スチュアート

     スティーブン・E・デ・スーザ

     ロデリック・ソープ(原作)

 監督  ジョン・マクティアナン

 

 キャスト ブルース・ウィリス

       ボニー・ベデリア

       レジナルド・ベルジョンソン

       アラン・リックマン

       アレクサンダー・ゴドノフ

       ポール・グリーソン

       ウィリアム・アザートン

       ハート・ボックナー

       ジェームズ繁田

       アル・レオン

       ロバート・ダヴィ

       デブロー・ホワイト

       グランド・L・ブッシュ   他

 

 

 テレビで『ダイ・ハード』をみた。

 あらすじは単純だった。

 思いのほかスカッとする映画。

 男前の俳優たちがワンサワンサと出てきて、とっても嬉しい映画かな・・・なんて書いていると、不真面目ですね。

 久し振りの面白さ。

 爽快感を感じるアクション映画。

 

 アクションなのに画面構成がしっかりと練られている。

 一コマ一コマに色彩が美しい。

 丁寧な作品作り。

 あっという間の二時間。

 時間を感じさせない炭酸水のような映画でした。

 

 ・・・ということで、今日は短くって、ごめんなさ~い。

 

 

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オフサイド・ガールズ  (イラン映画) ジャファル・パナヒ監督 大阪歴史博物館にて

2007-06-24 | 映画

(写真は『オフサイド・ガールズ』先行上演会でいただいた表紙を入れて20ページのパンフレット。結構内容も深く、楽しめる一冊でした。)

 

  オフサイド・ガールズ

 

 アイデア ★★★★★

 満足度 ★★★★☆

 感動度 ★★★★☆

 イランらしさ ★★★★★

 話の展開 ★★★★★

 面白さ ★★★★☆

 台詞やり取りの面白さ ★★★★★

 この映画におけるペルシャ語の台詞の抑揚の美しさ ★★★★★

 (ペルシャ語を知らない私は、何となく中国語に似た抑揚部分がある遥に感じた。ここの国の言葉も好きだなって、この映画を観て、初めて感じました。)

 音楽 ★★★★★

 お勧め度 ★★★☆☆

 

 2006年 イラン 92分

 

 監督・脚本 ジャファル・パナヒ 

          『白い風船』(1966)

             『チャドルと生きる』(2000)

 脚本     ジャドメヘル・ラスティン 

 

 キャスト シマ・モバラク・シャヒ 

       サファル・サマンダール 

       シャイヤステ・イラニ

 

 娘と大阪歴史博物館に行き、イラン映画を観た。

 この『オフサイド・ガールズ』は今秋、劇場公開予定とのこと。

 イランでは女性を保護する意味や、男女同席できないなどの理由で、女性の男子サッカー観戦や男性のスポーツ観戦全般が禁じられている。

 イランにおいて女性が直面する問題を正面から扱いつつも、コミカルで微笑ましいシーンが次々と続く。

 サッカーを全く知らない私でも、イランをあまり知らない人でも、楽しむことのできる一作品。

 法律を犯してまで、スタジアムに踏み込んだ “オフサイド”な少女たちの奮闘を描いた青春映画 。

 

 トイレのシーンは色々とユニークで、イランらしさがかなり濃厚。

 男の女に対するいたわりなども、あらゆる言動や事件を通じて伺える。日本との文化の違いに感心した。

 トイレのシーンともなると、笑いの平たい場面も多く、会場中は大きな笑いが渦巻いていた。

 

 トイレにこだわって申し訳ないのだが、印象的なのは

  ①サッカー場には女子トイレが無い

  ②トイレに行くまでの間、ポスターを面のように女子にかぶらせて、会場のトイレへと進んだ。                 ・・・【ここで爆笑】

  ③トイレに入っている全ての男子を外に出してから、女子を入らせた。

  ④トイレの壁などを見ないように目をつぶって入れと忠告。

   女子曰く、「面もつけているのに、目をつぶれば何も見えない」

                               ・・・【ここで爆笑】

  ⑤男子のいらぬ会話(下品、汚い言葉)を聞かないように、忠告。

  ⑥女子が入っている間中、けんかになろうが、他の男性をトイレに入れなかった。

  ⑦なんだかいやらしい会話が聞こえるので、警備の兵士がどこかを探しあてた時・・・孫と車椅子に乗ったおじいさんだった。すなわち、孫のおじいさん孝行・・・【ここで爆笑】

                                    など。

 

 コミカルで、ユニークな会話の続くこの映画。

 始まってすぐにけらけらと笑い転げていたが、まわりの人たちは結構静かで、はぐらかされたような感じ・・・

 家族から聞いているイランの様子や やり取りも巧妙に描き出され、そういった意味でも楽しい映画だった。

 

 チケットを買うときの男女差や値の吊り上げ方は、家族から聞いているなじみの光景だったし、イランのサッカー熱は想像を絶するくらいのすごさ。

 家族がイランで、

「イランはサッカーが強い。」

というと、大いに盛り上がり、大いに自慢され、大喜びするらしい。

 また夕方、輸送バスのラジオアンテナの壊れ方などはかわいいもので、いつも聞いているイランの車の様子が想像できるような一コマだった。

 

 変装を見破られた少女たちはスタジアム外の一角に集められる。

 彼女たちはその状況に甘んじることなく、警備の兵士たちに

「なぜ女性がスタジアムに入れないのか」

と食ってかかる。

「父親や親戚と一緒なら良いのか・・・」

すると警備の兵士曰く、

「お前の親父も他人からすれば、普通の男だ。」

は笑いの壺にはまってしまった。

 全てにおいてイランの建前社会が描きつくされている部分もまた魅力的だ。

 

「日本人女性なら観られたのに・・・」

「ペルシャ語がわからないから、汚い言葉もわからない」

「日本人なら良かった・・・」

の言葉にはぐさりと来るものがあった。

 なぜなら、イランのワールドカップ出場がかかった『アジア予選の対バーレーン戦』の時も、日本人女性解説者やレポーターなどが、多く詰め掛けているからだ。

 イランのお国柄や事情を考えると、いくら法律で禁じられていないとしても、少しは配慮すべきではないのだろうか・・・イランの考えや法律が正しいか否かは別問題として、現時点の原事情を考えると、難しい問題に直面する。

 多くのイラン人の感情を考えることなく、日本は少し営利主義に走りすぎかもしれない。少し恥ずかしい思いがするのは私だけか。

 

 バスに乗る女の子の中、爆竹などを持っていた容疑でつかまった男子一人、

「お願いだから女と一緒のバスに乗せないで。」

「人に観られたら、恥ずかしいよ。」

の言葉は印象的。

 

 バスの中でイランのワールドカップ出場が決まり大喜びする女の子たち。

 決まった瞬間、涙を流し、肩を落としていた女の子がいた。

 以前のサッカー観戦で押し倒され、下敷きになった七人。

 そのなかに友だちがおり、変わりに或いは一緒にサッカー観戦したかったのだという。

 女の子は、爆竹や花火を持った男の子に、七本の花火をつけて、七人と共にイランチームのワールドカップへの出場を祝う。

 ここで、私の琴線は切れる。

 

 この映画は実際にイランのワールドカップ出場がかかったアジア予選の対バーレーン戦が行われるアザディ・スタジアムの様子と同時進行させたものらしい。

 キャストも素人を多く起用し、キアロスタミ監督の映画の作り方にも似た部分が感じられる。

 話の展開は緻密で抱いたんだが、あの

「取れない、取れない・・・・・・取れた」

で印象の残る、簡単なあらすじのイラン映画『鍵』(イランの中では結構好きな映画)をも思い起こさせるのはどういったことだろうか・・・

 

 イランの郷土愛や本質的な優しさ、情熱などの触れることのできる秀作の一つだと感じた。

 

 それにしてもイラン女性は美しい人も結構多い。

 うらやましいじゃありませんか・・・

 

 

  『オフサイド・ガールズ』公式HP ↓

http://www.espace-sarou.co.jp/offside/

 

 

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平成19年度大阪市民歌舞伎教室  『恋飛脚大和往来』 ダイジェスト版『封印切』 / 『新口村の場』

2007-06-22 | 歌舞伎

 

(写真は平成19年度大阪市民歌舞伎教室の全員に配られるパンフレット。写真は、『恋飛脚大和往来』の上演台本です。台詞などが細やかに記されており、私にとっては宝物とさえ感じます。)

 

 平成19年度大阪市民歌舞伎教室

        『恋飛脚大和往来』

 

 

 6月17日。

 大阪市民歌舞伎歌舞伎(森ノ宮ピロティホール)にいきました。

 上村吉弥 さんの歌舞伎解説の後、『恋飛脚大和往来』を観ました。

 まずは35分ダイジェスト版の『封印切』(新町井筒屋の場)

 その後、いよいよ

  孫右衛門 片岡我當              

  梅川    上村吉弥             

  忠兵衛   片岡進之介

などの役者さんたちが熱演の『新口村の場』

 

 

 ダイジェスト版の『封印切』はうまく話をまとめられていましたが、おえんさんの

「ジャラジャラ、ジャラジャラ・・・」

の場面は全てカットされており、少し寂しい気はいたしましたが、いたしかたありません。

 封印を切ったときの中兵衛の

「しもた~~~」

や、八右衛門の封印を確かめた後の

『ぶっつ!』

といった大げさな表現は、初めての方にもわかりやすく変えておられ、ある意味とても面白かった。

 片岡千次郎さんの中兵衛や片岡りき弥さんの梅川などのように見慣れない役者さんたちの演技を楽しめることも、歌舞伎教室の醍醐味といってよいかもしれません。

 

 

 雪の場から始まる、新口村の場。

 上村吉弥さんの梅川は美しく品良く、また、片岡進之介さんの忠兵衛も含めて、足元の寒さが、こちらにも伝わるような熱心な演技でした。                 

 

『新口村の場』の片岡我當さん演じる孫右衛門は今回、素晴らしいものでした。    

 顔は赤く塗られ、感情が上昇している感じがとてもよく出ていました。 

 仁左衛門さんとはまた違った味が出ており、片岡我當さんの孫右衛門もなかなかのもので、好きでした。

 片岡我當さんの迫真の演技に、会場のあちらこちらから、大向こうさんの

「大当たり~。」

などの声が飛び交い、熱気に包まれた会場は、とても楽しいものでした。

 私が見た17日の片岡我當さんは迫力があり、私は何度も身震いし、涙がじんわりと流れるいいお芝居をなさっていました。

 

 

『恋飛脚大和往来』はご存知とは思いますが、近松門左衛門が書いた浄瑠璃『冥途の飛脚』をもとに作られました。

 寛政八年(一七九六)に大坂で初演された世話物の代表的作品の一つです。

 ここではあらすじは省かせていただきますが、何度見ても切なさを感じるお芝居の一つです。

 

 乱鳥の2007年1月 新春大歌舞伎 『恋飛脚大和往来』 感想 ↓http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/98a51fc0172d3ddef17adaee03e6ad3b

 

 

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恋愛小説家  As good as it gets  ジャック・ニコルソン ヘレン・ハント 

2007-06-21 | 映画

 

 As good as it gets 恋愛小説家

 

 満足度 ★★★☆☆

 楽しめ度 ★★★★★

 話の展開 ★★★★☆

 (ある意味)ニコルソン度 ★★★★★

 ヘレン・ハントの美しさ ★★★★★

 犬 ★★★★★

 

 アメリカ 1999年  

 

 キャスト

 ジャック・ニコルソン

 ヘレン・ハント

 グレッグ・キニア

 モップのような小さなわんちゃん(犬)

 

 

 強迫神経症で皮肉屋、頑固な性格の(恋愛)小説家は実生活では他人とうまく付き合えない。

 そんな固執した彼が、行きつけレストランのウェイトレスを好きになるが、同表現すればよいかわからない。

 彼女や隣人の画家の飼い犬などを通じて、次第に 無意識に自分で縛り上げてきた決まりごと(強迫観念)から自分を解いていく。

 彼だけではなく、彼女や隣人の画家に関しても、心のどこかで空虚感を感じ、完璧な自分を見出せないジレンマに陥る。

 全ての人間の寂しさを、この映画は描く。

 人間の寂しさを受け止める、モップのような小さなわんちゃん(犬)

 

 人は犬に癒され、恋に心を開き、人間と友情関係を持って、満たされる。

 ニコルソン(偏屈で嫌なタイプ)とヘレン・ハント(とげとげしく、疑心暗鬼に満ちた視線)の初めの表情から、時を経てだんだんと キュートで和らいだ顔に変化させる演技力に 見入ってしまった。

 グレッグ・キニアの細やかな表現にも注目。

 モップのような小さなわんちゃん(犬)の演技力には拍手を送りたい。

 

 それにしても・・・

 原題 『As good as it gets』が ピンで『恋愛小説家』っていうタイトルになるのだな・・・

 

 

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胡同(フートン)のひまわり   チャン・ヤン監督(心の湯)

2007-06-20 | 映画

(写真は麗江古城内の少数民族の織物。糸は自然色で染められ、素朴で柔らかな風合いが美しい。一本2000円くらいでショールなどが売られていたが、買いそびれたことが、今も悔やまれる。)

 

  胡同のひまわり

 

 感動度 ★★★★★+★★

 満足度 ★★★★★+★

 時代背景 ★★★★★

 胡同(北京に残る古い路地)の美しさ★★★★★+★

 色彩美 ★★★★★

 

監督 チャン・ヤン

      乱鳥の『心の湯』感想記録 ↓

        http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/f3c0ee02a2e0a20c1758993ad4ba4e15

出演 スン・ハイイン 

    ジョアン・チェン 

    リウ・ツーフォン 

    チャン・ファン 

    ガオ・グー ワン・ハイディ 

    ホン・イーハオ リー・ビン

    チャン・ユエ リャン・ジン

 

 

 6月18日。

『胡同のひまわり』を家族と一緒に観た。

 胡同野町並みは美しく、行ってみたいという衝動に駆られる。

『胡同』をマイペディアでひいてみると、『……碁盤に巡らされた横丁……道幅は狭く、両側には四合院形式の住宅が建ち並ぶ……北京では多くが取り壊され……』とある。

 日本で言えば、長屋風。熊さん・八つぁんのような関係ももてそうな、泥臭い生活。ドラマはここで展開する。

 1967年、文革の真っ只中に男児出産。

 見事に咲いたひまわりから向陽と名づけられる。

 不本意にも 父は告発され、地方の農場で長期にわたり働かされる。

 

 向陽は9歳。元絵描きの父葉、右手を負傷し、戻る。

 なつかない子。あせる父。

 父は向陽野為、しいては自分の夢のために、手段を選ばず強引に絵を描かせる。

 

 1976年、毛沢東主席が亡くなり、10年間続いた文革は終る。

 

 友人の結果的な裏切り。

 親子二人の思い入れと誤解、そして感情の行き違い。

 時代の急激な変化。

 四合院形式の住宅野取り壊し。

 生活様式や文化の変化。

 夫婦の住居における価値観の違い。

 そして父に襲い掛かる病。

 父の血を受け継ぐ子の不安……

 

 子を産まずに、子は個展を開く。

 モノクロの良心に抱かれた子。

 父は子の絵を順番に観ていく。

 ちょうど中央まで来たときの二枚の絵。

 向かって左は息子自身、右の絵は父。

 自分の顔は目が大きく、ダイナミックな筆使いで描かれ、父の絵はぼんやりとしている。

 二人はソファーに座り握手するが、意味の深い場面である。

 

 父は子の個展の作品を観手、複雑な思いと同時に安堵する。

 そして父の失踪。

 

 子を育てる不安におののいていた息子は、父に惑わされることなく、ついに子を作る。

 子とその妻、母、赤子の四人で家路につくと、玄関には鉢植えのひまわりが置かれていた。

 息子は子のとき始めて父の心に通じたのかもしれない・・・

 

 映画として見事な素晴らしい作品だった。

 私は行き着く間もなく、子の映画に引き込まれていた。

 もう一度みたい。

 そんな気持ちにさせる秀作の一つだと感じる。

 

『心の湯』のチャン・ヤン監督。若いが、丁寧で内容も深い。

 キャストも老若問わず、気になるうまい俳優が多く出演。

 とても楽しむことができた。

 

 

 

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神話  (THE MYTH)  ジャッキー・チェン キム・ヒソン レオン・カーフェイ

2007-06-20 | 映画

(写真はコーヒー店で見かけた仲の良い男女カップル。なんだか、ほほえましい…)

 

記録だけ

 THE MYTH  神話

 

 満足度 ★★★☆☆

 楽しめど ★★★★☆

 話の展開 ★★★★☆

 画面の構成力 ★★★☆☆

 中国の景色 ★★★★☆

 

 2005年 香港・中国 120分

 

 監督 スタンリー・トン

 キャスト ジャッキー・チェン

       キム・ヒソン

        レオン・カーフェイ

 

 6月17日。

 ジャッキー・チェン出演の『神話』を観る。

 2000年前と現在をうまくパッチワークのようにつなぎ合わせ、うまくまとめあげられている。

 アクションとしてはドキドキ度は低いが、中国の自然の景色と現代の様子の対比が見ていて楽しい。

 一部ワイヤーが気になるような使い方が多すぎるような気もする。また、衣装が安っぽいのが残念。但しジャッキー・チェンが出ていたので、楽しい気分で最後まで見る。

 特別に書くことはないが、楽しく時間をつぶすことができた。

 

 

 あらすじは省かせていただきます。 

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カサノバ   2005年 ラッセン・ハルストレム監督(ショコラなど) ヒース・レジャー

2007-06-17 | 映画

 

 (写真はわが家の猫ちゃん。かわいいでしょ・・・?!)

 

  カサノバ

 

 満足度 ★★★★☆

 楽しさ ★★★★★

 ユーモア ★★★★★

 話の展開 ★★★★☆

 カサノバの描き方 ★★★★★

 バロック音楽 ★★★★★

 色彩美 ★★★★★

 

 

 2005年 アメリカ

 

  脚本 ジェフリー・ハッチャー

     キンバリー・シミ

 監督 ラッセン・ハルストレム

       ジョニー・デップ出演の大好きな映画『ショコラ』の監督・・・

 音楽 アレクサンドル・デプラ

 

 キャスト ヒース・レジャー

       シエナ・ミラー

       ジェレミー・アイアンズ

       レナ・オリン

       オリヴァー・プラットオミッド・ジャリリ

       スティーヴン・グリーフ

       ケン・ストット

       ティム・マッキナリー  他

 

 18世紀のヴェネチア。超プレイボーイ(←言葉が美しい)カサノバの話。

 カサノバには甘いマスクのヒース・レジャー。

 映画『カサノバ』は数多く制作されている。2005年のこの『カサノバ』は露骨な表現はきわめて少なく、ヒース・レジャーの茶目っ気のある笑いでカサノバを現す。彼の可愛らしい表情と気品の良さが新しく素敵なカサノバを描き出す。プレイボーイ名部分だけではなく、本来の知識人色の強いカサノバを、やわらかく 品良く描くところが好きだ。

 さすが喜劇を得意とするイタリア。ジョークや楽しい表現がたくみに盛り込まれる。アップテンポで観る側を最後までひきつける。

 ヴェネツィアの美しい町並みや衣装。バロック音楽が心地よく響く。

 

 ラード商人の風呂に入って言う

「僕は素敵に」(風呂の湯がぶくぶくぶく・・・おなら)「なれるだろうか・・・」

は笑い転げてしまった。

 

 ヴァチカンから派遣された司教を皮肉り気味のラッセ監督。『ショコラ』でも観られるラッセン監督の反権力名感覚が感じられる。

 

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スプラッシュ(Splash)  トム・ハンクス  ダリル・ハンナ

2007-06-16 | 映画

(写真は麗江古城近く。屋台が並ぶ。この男性(?)のような美しい女性(?)は踊って客をもてなしていた。私がカメラを向けると、にっこりと笑って、ポーズをとってくださる。麗江古城付近は活気と明るさが魅力。色々な店の舞台で、少数民族の歌や踊りが見られ、とても楽しかった。)

 

記録だけ

 

 Splash  スプラッシュ

 

 満足度 ★★★★☆

 感動度 ★★★☆☆

 話の展開 ★★★★★

 トム・ハンクスが出ていたよ~ ★★★★★

      (若い頃のトム・ハンクスはスマートでかわいかった・・・)

 ダリル・ハンナの美しさ ★★★★★

 

 1984  アメリカ 

 監 督 ロン・ハワード

 

 キャスト

  トム・ハンクス

  ダリル・ハンナ

 

 この映画も二度目。

 楽しい美しいラブ・コメディ。

 とても楽しかった。

 人魚の動きと話の展開が満足のいくものだった。

 

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近世のこども歳時記 -村のくらしと祭り-   宮田登 文 太田大八 絵(歴史を旅する絵本)  

2007-06-14 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は今年庭に咲いた桜。さくらんぼも たわわに実り、今は葉桜。)

 

記録だけ 2007年度 64冊目                 

 

 

  歴史を旅する絵本 近世のこども歳時記 -村のくらしと祭り- 

                                            

 宮田 登 文

 太田大八 絵

 岩波書店

 1990年2月8日    

 56ページ 1699円+税  

 

 絵本『近世のこども歳時記 -村のくらしと祭り-』をみた。

 この絵本、こどもだけに向けたものではなく、最後の方に親や大人などに向けた解説が しっかりと書かれている。

 宮田登著の『冠婚葬祭』を凝縮したようなこの絵本。こどもにも楽しめるわかりやすさだが、内容は深い。宮田登さんのまじめなお人柄がうかがえる感じがする絵本。

 

 この絵本の舞台は、北関東のありふれた農村。

 12歳の少女の目を通して、昔の平均的な日本の風習や考え方などが、絵と文を通してわかりやすく作られている。

 小さな子にも、それを読んであげる大人たちにも、一流の民俗学に触れる機会を与えてくれる、素敵な絵本。

 

 絵は太田大八さんという方が担当。この本の絵は泥臭く、日本的。若干懐かしさも感じるが、好きな画風ではない。

 私の好きな絵本作家のひとり、梶山俊夫さんの絵に似てないこともないが、色使いや筆の流れは全く違う。そういうと、そろそろあまがえるも出てきる季節か・・・(笑)

 

 

 乱鳥の『冠婚葬祭』宮田登著、感想↓http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/650b65fddd7f45402ae5b8c9552f0a62

 こども図書館ドット・コム↓宮田登文 『近世のこども歳時記 -村のくらしと祭り-』 説明のページ http://kodomotoshokan.com/p2-book/kinsei.html

 

 

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モンゴルに暮らす   一ノ瀬恵著  岩波新書 新赤版194

2007-06-12 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(写真は中国雲南省の麗江で出会った、馬を連れる美しい女性。雲南省にはこういった美人を何度も見かけた・・・)

 

記録だけ 2007年度 63冊目                 

 

 

     モンゴルに暮らす 

                                            

 著者  一ノ瀬 恵

 岩波新書 新赤版 194

 1991年11月20日    

 212ページ 620円+税  

 

 六月十二日。今日は岩波新書の新赤版ばかり、三冊読んだ。

 最後の三冊目は『モンゴルに暮らす』

 モンゴルの習慣や暮らしがやわらかく書かれていた・・・

 まあ、楽しめたかな・・・・・・

 

 実は昨日読んだ故宮田登の『冠婚葬祭』がとても面白く、今日は何を読んでも感覚が弱い。

 こりゃ、いい意味、宮田登後遺症だわ・・・

 

 乱鳥の『冠婚葬祭』宮田登著、感想↓http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/650b65fddd7f45402ae5b8c9552f0a62

 

 

 

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謎解き 洛中洛外図    黒田日出男著  岩波新書 新赤版435

2007-06-12 | 民俗学、柳田國男、赤松啓介、宮田登、折口信夫

(写真は京都、洛北・圓光寺。丘を登っていくと、京都の町が見渡せる。)

 

記録だけ 2007年度 62冊目                 

 

 

     謎解き 洛中洛外図 

                                            

 著者  黒田 日出男

 岩波新書 新赤版 435

 1996年2月20日    

 218ページ 680円+税  

 

 六月十二日。

 二冊目は『謎解き 洛中洛外図』

 

 思った内容とは違い 苦手な分野だが、何とか最後まで我慢して読んだ。

 襖絵や屏風絵を美術的な方面から紐解いたものかと思っていたら、歴史面から書かれている。

 やたらむずかしい言葉も多く、私的には読みづらい。

『上杉本洛中洛外図屏風』のなかの、貴人の大行列の政治的媒介の意味や、『上杉本洛中洛外図屏風』が戦国大名の権力ゲームに利用されていた話などには興味を持ったかな・・・・・・

 

 

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