(写真は 奈良の矢田寺の村境で見た『道切』)
記録だけ
2009年度 17冊目
『ちちんぷいぷい 「まじない」の民俗』
神崎 宣武(かんざきのりたけ) 著
1999年3月20日
株 小学館
223ページ 1500円+ 税
神崎 宣武氏の本はこれで二冊目。
一冊目は一昨年の四月の読んだ岩波新書の『江戸の旅文化』http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/fc95c0d508c99a610e7cd9b2b0c0eee6
今回読んだ『ちちんぷいぷい 「まじない」の民俗』葉初めは簡単。だが読み進めていく内に内容は深まり、ぐいぐいとひきつけてくれた。
この本での一番の収穫は『道切(みちきり)』と『石がん当(いしがんとう)』という言葉と意味合い。
長らく疑問に思っていたことが解決して嬉しい。
『ちちんぷいぷい 「まじない」の民俗』が他の民俗学のほんと異なる点は、昔ながらの伝説や意味や意義を書くのではない点かも知れない。
まじないなどを著者なりに消化して、著者の考えでまじないとはこういった意味合いにあると断定されている。
この断定の仕方が心地良い。
正論であり、私の場合は納得。
まじないなどに関連して、自称シャーマンや祈祷師や占い師の方なども世の中には多くいらっしゃるし、また信じておられる方も多いので、ここでは省かせていただく。
しかし今回の書写のまじないに対する考えといい、前回読んだ『竹の民俗誌』の中に出てくるかぐや姫の翁の心のよりどころといい、人間は何処かによりどころを求める弱い生き物なのだと感じた。また、同時に、弱いがために、今よりも向上したいと考える素晴らしい生き物だとも感じる。
自分の考えを書かれた本には、この手の関係本では見たことがなかっただけに、楽しく読めた。
この本にはかなり興味深い写真も載せられていた。
大阪の民族学博物館で見たようなものも多い。
藁でつくられた道祖神や鍾馗様も見入ってしまった。
主要文献の中に、宮田登氏の名を三つ見つけた。
心ときめく。
『呪ないの原理』(『日本民俗文化大系 4)』『江戸の小さな神々』(青土社)『江戸のはやり神』(筑摩)だった。
最後には 年末だったかに読んだ加門七海さんの『うわさの神仏 日本闇世界めぐり』の記されていた。
加門七海さんの名は 以前宮田登氏だったかの対談でも出てきたことがある。加門七海さんも結構民族学関係の学者に注目されているんだなぁ。