乱鳥の書きなぐり

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『人間そっくり』安部公房 新潮文庫 1976【いったい、この現実は、寓話が実話に負けたせいなのか。それとも、実話が寓話に負けたせいなのか。】

2021-09-26 | 読書全般(古典など以外の一般書)

 

 『人間そっくり』安部公房 新潮文庫 1976

 

『人間そっくり』

 安部公房 

 新潮文庫 昭和41年発行

 あー4−12

 1976

 194ページ

 平成28年 44版

 460円+税

 

   

 

 学生時代に複数回読んだ安部公房の『人間そっくり』を一気読みした。

 やはり、面白い。

 ブラックユーモアというだけでは物足りない、安部公房独自の文学における価値観を感じ取ることができた。

 安部公房の小説は、当時の全集や文庫本、単行本を含め殆どを所有しており、全てを複数回読んでいたが、齢を重ねて安部公房を読み返すと、若かりし高校生、大学生の頃にこういった作品が好きだったのだと懐かしく感じた。

 

『人間そっくり』気になる部分を抜粋

 そう、ぼくはなんとしてでも知りたいのだ。いったい、この現実は、寓話が実話に負けたせいなのか。それとも、実話が寓話に負けたせいなのか。法廷の外にいるあなたに、お尋ねしたいのです。いまあなたが立っている、その場所は、はたして実話の世界なのでしょうか、それとも、寓話の世界なのでしょうか・・・・・・・・・。

 

  

 

《こんにちは火星人》というラジオ番組の脚本家のところに、火星人と自称する男がやってくる。はたしてたんなる気違いなのか、それとも火星人そっくりの人間なのか、あるいは人間そっくりの火星人なのか? 火星の土地を斡旋したり、男をモデルにした小説を書けとすすめたり、変転する男の弁舌にふりまわされ、脚本家はしだいに自分が何かわからなくなってゆく……。異色のSF長編。(新潮文庫より引用)

 

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