昔読んだ短編小説の言葉が今・・・

　大雪のため電車が動けなくなり、一晩中電車の中に閉じ込められたニュースは
本当に驚き、立っている人もいるほど混んだ電車で一晩あかしたのは、一体どれ
ほど大変だったのだろうかと、思っただけで胸が痛くなるような想いだった。
　大学のセンター試験などに間に合わない、雪のため交通渋滞、事故などさまざま
な事が事が起きている。テレビのニュースを見ても、雪国は私達には想像できない
ほどご苦労が多いようだ。このところ毎日のようにその映像を見ていると、同じ日本
に住みながら「雪国に住む方は本当にお気の毒でならない」と、私なりに胸を傷めて
いる。そして何故か夜中に突然、昔ある雑誌で読んだ短編小説を思い出した。

　それは確かフィリピンから日本に移住し、日本人と結婚した女性が毎年冬になると
降ってくる雪にいら立ち、憎しみ「雪は白い悪魔だ」と思っている小説だった。
　あまり昔なので記憶は定かではないが、南国に生まれ育った人は、日本人とはあま
りに感性が違うのだと、強烈に感じて私の記憶に残っていたのかも知れない。
　「雪はとても美しいと思うのは、そのための苦労をまったく知らない人だけが、もし
かしたら感じるのではないか」、と私は思った。屋根の雪下ろしをしている人、雪かきをしている人、足がほとんど雪の中に埋まりながら歩いてい人などの姿を見ると、私の住む東京は何と恵まれているのだろう、それだけでもとても有難く感謝できる。

　無論雪のもたらす自然の恩恵もあるけれど、例年の10倍、9倍の積雪量と聞くと
そのご苦労は計りしれない。本当に私にはどうにもできないが、何とかもっと効率
の良い対応策はないだろうかと考えてしまう。大雪のことを考えて、また夜中に
目覚めてしまったが、今私の頭の中では「雪は白い悪魔だ」と言う言葉が
リフレインしている。