阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

日本が果たし得る紛争仲介外交-カンボジアの選挙制度改革支援を切り口に!

2014年02月28日 15時17分04秒 | 政治

 今日は平成26年度予算通過を巡る攻防の一日です。1000兆円を超える借金の一方で、政府は史上最大96兆円の当初予算を計上しています。不要不急の事業、また基金が多く入り込んでいることを踏まえ、私たちは独自の予算案を作成し、戦後初めて本会議で修正案として趣旨弁明、そして討論を行うことになりました。本会議は16時半開始。歴史的な瞬間を前に、ここ数日間で3回行った委員会質問について報告させて頂きます。

 2月21日には外務委員会において日本が果たしうる紛争仲介外交、そして民主化支援の可能性について岸田外務大臣に質問をしました。こちらでご覧いただけます。

衆議院外務委員会で岸田外相に質問 衆議院インターネットTV 計40分 

 まず、顔の見える国際協力の在り方として、草の根で活動するNGOを支援して直接顔を見せることと並んで、国際交渉、特に紛争の仲介者として顔を見せることは国際社会から最も評価される外交的成果であり、日本はもっと積極的にチャレンジすべきと問題提起をしました。

 実際に日本が貢献できる具体的な例として、カンボジアでの可能性を提案しました。カンボジアでは昨年7月28日の総選挙で55議席と躍進した救国党のサム・ランシー党首が選挙人登録に不正があったとして結果の受け入れを拒否。ボイコットにより国会が機能不全になっています。また、デモと最低賃金アップを求める労働運動が連動して社会不安が広がる状況を招いており、このままでは日本からの投資も縮小する恐れがあります。

 昨年12月15日、カンボジアを訪問してサム・ランシー氏に面会し、考えを聞いたところ、日本が選挙が実施されたプロセスについて調査をするのであれば、結果にかかわらず受け入れると明言。一方、日本はカンボジア政府に対し選挙制度改革支援を行うことも決まっています。従って、日本が過去の選挙を検証することを選挙制度改革とセットで行うことで与野党双方の要望に応えられる可能性があります。このような立場にいることを踏まえ、仲介役を引き受けることを提案。政府は、相手国政府とのカウンターパートであり、公正な仲介役とは見られないこともあるため、市民社会や野党も併せ、オールジャパンで行う仲介を行うべきと問題提起をしました。

 また、私自身が1993年、1998年、2002年、2003年、2013年のカンボジア総選挙(2002年は地方選挙)に関わり、1992~3年にかけて選挙人登録で自分が担当したラタナキリ州ボケオ郡において全ての有権者を面談して選挙人登録を行った経験に立ち、不正が一番起こりやすい局面である選挙人登録における技術支援を行うことが特に重要。日本のテクノロジーを活かし、IDカードを電子化することで選挙人リストへの二重登録や登録漏れを防げると提案しました。この考えは、ソク・アン副首相、サム・ランシー党首、またフン・セン首相の三男で国会議員になったフン・マニ議員にも伝えて理解を頂いていることも話しました。

 さらに、ミャンマーにおいて人道援助を行う日本のNGOの方々が、ミャンマー政府寄りの立場での活動を行うよう制約を受け、少数民族地域において目の前に存在する人道的な問題に対応できないことについての問題を指摘しました。


外務委員会で質問する私


  衆議院の会議録がアップされたので添付致します。


○阪口委員 日本維新の会の阪口直人と申します。

 きょうは、まず最初に、政治家の言葉について、公的な立場に立っている方の言葉について、これは質問通告はしておりませんが、大臣のお話、考えを伺って、その後、顔が見える外交をどのようにして実現していくのかという点で、カンボジアやミャンマーなどを例にとって質問をしたいと思います。

 まず、最近、大変に重要な地位についていらっしゃる方、公的な立場にいらっしゃる方々の失言、そしてその撤回が相次いでいると私は感じています。衛藤晟一首相補佐官、また、籾井NHK会長、百田尚樹NHK経営委員、さらに石破幹事長などが、私は、失言というよりは、信念を持って発言をされて、しかし、世間に批判をされるとそれをすぐに撤回する、こういったことが相次いでいて、結果的に信頼を損ねる結果になっていることを大変に憂慮しております。

 一方で、岸田外務大臣は、本当に慎重過ぎると思うほど言葉を選んで、大変に誠実な答弁をされていると思いますが、しかし、私は、政治家が、あるいは公的な立場に立っている方が、撤回をしたからといって、これはもう、今のはなしねというわけにはいかないと思います。

 ソチ・オリンピックを見ていて、本当にこれまで頑張って練習をしてきた選手が失敗をする。今のはなしねと言いたいと思いますけれども、でも、その中で頑張って大変に見事な演技をしていらっしゃる方、特に、きのう私、浅田真央さんのスケートに大変感動したんですが、こういったスポーツの世界と比べて、政治の世界、今のはなしね、これは通用するんでしょうか。

 岸田外務大臣の信念と照らし合わせて、まずこの点について、まさに個人的な思いで結構でございます、御意見を伺いたいと思います。

○岸田国務大臣 それぞれ重要な立場にある人間は、その発言にやはり責任を持たなければならないと考えます。その点は慎重でなければならないと思っております。

 発言について幾つか御指摘をいただきましたが、それぞれ立場やケースはさまざまであると認識をしております。衛藤首相補佐官の発言、これは個人的な発言であったということで撤回をされました。また、籾井NHK会長は、その後、発言を撤回されました。また、NHK委員の発言につきましては、政府の立場からNHK委員の発言についてコメントすることは控えなければならないと思いますが、ただ、思うこととして、あの発言は、我が国政府の立場、今までの認識、政府の答弁書等さまざまな場で申し上げてきている認識とは異なると私は思っております。

 このように、それぞれの発言、立場、内容はさまざまでありますし、対応もさまざまでありますが、結論としまして、重要な立場にある人間は、みずからの発言に責任を持ち、慎重でなければならない、このことについては強く感じております。

○阪口委員 責任のある立場の方が、慎重である、責任をしっかりとれる発言をすることが大事であると同時に、やはり、人の心を動かす言葉、あるいは交渉においてしっかりと国益をかち取る、そういった言葉も必要だと思います。特に、外交の責任者である岸田外務大臣、このことが大変にこれからも問われていくと思います。

 私は、日本の外交の一つの大きなテーマは、いかに顔が見える外交をするかということだと思っています。私個人は、外交あるいは外務省にかかわって、外務省の方々、あるいはさまざまな国際協力、援助機関にかかわる方々の顔の見せ方、大きく分けて二通りあると思います。

 一つは、本当に草の根で顔を見せる、現地の方々とともに汗をかいて、同じ思いを共有して、そこで日本の顔を見せていく、これが一つだと思います。もう一つは、国際交渉の場においてしっかりと日本をアピールすることだと思います。

 その中で、私は、最も国際的な評価が高い顔を見せる場面というのは、平和に対する貢献、和平交渉であったり、あるいは紛争解決のための仲介を行う、そういった局面で顔を見せる、リーダーシップを発揮することだと思っております。

 ただ、これまで日本は、この点について積極的に行ってきたか、積極的な役割を果たしてきたかというと、私は、これからの大変に大きな課題だと思っています。

 この点について、岸田外務大臣、今後の日本の外交の大きなテーマとして、いかに顔が見える外交を行っていくか、お考えをお伺いしたいと思います。

○岸田国務大臣 外交を進めるに当たって、国際社会において顔が見える、あるいは存在感を示す、こういったことは大変重要だと思います。

 そして、私自身も、外交を進めるに当たって、まずは外交の三本柱ということで、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、さらには我が国の経済再生に資する経済外交の推進、この三つを挙げておりますが、こうした三本柱を通じて、国益を守る、国民の生命財産を守る、発展させていく、こういった視点はもちろん重要でありますが、これだけでは、我が国が国際社会において大きな存在感を示す、顔の見える外交を展開することにつながってはいかないと思っています。

 やはり、こうした国益を守ることとあわせて、さまざまなグローバルな課題、中東和平ですとか、シリアの和平ですとか、環境ですとか防災ですとか、あるいは、我が国は昨年五月に国際保健外交戦略という保健分野での貢献を発表いたしましたが、こうした分野での貢献ですとか、こうしたグローバルな課題において汗をかく、こういったことによって日本の国が国際社会の中において存在感を示すことにつながっていくのではないか、こういった認識を持っております。

 ぜひ、こうした考え方から、我が国の国益を守る、これはもちろん外交において重要でありますが、あわせて、国際社会において顔の見える、存在感のある日本外交であるために、こうしたグローバルな課題についても積極的に貢献していく、こういった考え方を大事にしていきたいと存じます。こういった考え方は、先ほど来議論になっております積極的平和主義の推進にもつながっていく考え方であると認識をしております。

○阪口委員 国益を追求すると同時に、地球益また人類益を追求する、いかに高いレベルでそれを両立させるか、これこそがまさに今後問われる外交の大変に重要なポイントだと思います。この点については、外務大臣だけが、政府だけが頑張ってできるものではありません。市民社会、あるいは我々野党もあわせて、オール・ジャパンで外交を行っていくことが大変に重要だと思っています。

 一方で、この件に関して申し上げると、私は、日本及び日本政府は、特に平和の仲介、ピースメディエーションという分野については及び腰であったかと思います。

 極端な例を挙げると、日ごろからカウンターパートとして接している相手国政府と争っている武装ゲリラ集団の間に入って中立的な仲介者になる、また、和平のテーブルに着く、和平プロセスを進めていくことについて何らかの見返りを与えていく、これは政府の立場ではできないことも多々あると思います。

 例えば、大変に大きな津波の被害があったインドネシアのアチェにおいては、日本政府は、積極的にこの役割を果たそうとしたけれども、残念ながらうまくいかなかった。一方で、フィンランドの一ビジネスマンであるユハ・クリステンセンという方が、紛争の当事者を交渉のテーブルに着ける大変に重要な役割を果たし、そして、元大統領であるアハティサーリさんという方が、元大統領という世界的な名声と政治力を生かして、結果的にアチェの和平をまとめ上げた、そういった例もございます。

 ぜひ、オール・ジャパンで、紛争解決、紛争の仲介、こういった新しい分野にチャレンジをしていく、こういう思いを持ってこれから質問をさせていただくということで御理解をいただきたいと思います。

 実は今、日本政府として、そういった役回りを大変に期待されている、また、貢献できる可能性がある事例が幾つかございます。

 一つはカンボジアですね。昨年の七月二十八日に総選挙が行われました。現地の選挙管理委員会の発表では、与党の人民党が六十八議席、そして大躍進した野党救国党が五十五議席を獲得いたしました。しかし、野党の代表であるサム・ランシー、彼は、大変に大規模な不正があったのでこの選挙結果を受け入れることはできないということで、ボイコットをしている、当選をしたけれども国会への登院を拒否しているという状況が続いております。

 一方で、先日、フン・セン首相が来日されたときに、安倍総理との間で、カンボジアの選挙制度改革について日本が協力をする、そういう合意がなされました。私はこれは大変にすばらしいことだと思っておりますが、その直後にうちの事務所でこの中身についてヒアリングをしたところ、まだ何も決まっていないというような状況でもございました。

 それから二カ月ほどたっておりますが、このカンボジアの選挙制度改革について、今どのような状況なのか、まずはお答えをいただきたいと思います。

○岸田国務大臣 まず、カンボジアの総選挙、昨年七月に行われた総選挙ですが、その後の与野党対立につきましては、我が国としましては、やはり対話あるいは平和裏の解決、こういったことにつきまして呼びかけを続けております。

 昨年十一月十六日に安倍総理がカンボジアを訪問させていただいたときの首脳会談におきましても、安倍総理からフン・セン首相に対しまして働きかけを行わせていただきました。そして、昨年十二月、今委員御指摘の日・ASEAN特別首脳会談に合わせてフン・セン首相が訪日されました際に、カンボジア側の要望も踏まえまして、選挙改革という、現地へ調査団を派遣する、こうしたことを我が国としましても表明させていただいた、こういったことであります。

 ぜひ、こうした働きかけ、そして協力をしっかり続けていきたいと考えております。そして、こうした調査の結果を踏まえて、具体的な支援につなげていかなければならない、このように考えております。

 カンボジアの選挙改革につきましては、十八日に与野党が選挙改革に係る委員会設置で合意したということを承知しております。このあたりも前向きな動きとして捉えておりますし、選挙改革の方向性について共通認識が形成される、こうしたことによって我が国の調査や支援の素地もでき上がっていくと期待しております。こういった動きを見ながら、ぜひ今後の調査や支援をしっかり進めていきたいと考えております。

○阪口委員 今の御答弁を聞いていると、まだ具体的にどのような方向性で行うかは決まっていない、カンボジア側の状況も見きわめてというように私は理解をしたんですが、例えば、どういう方がその調査に当たるのか、これは、選挙に詳しい方、あるいはカンボジアの情勢に詳しい方であるべきだと思いますけれども、どのような形でその人選を行って、そしてまた、どれぐらいの期間で方向性を出していくのかという点については、何らかの決定あるいは見込みというのはあるんでしょうか。

○岸田国務大臣 調査団のメンバーとしましては、考えられるのは、日本やカンボジアの選挙制度に詳しい有識者の方々ですとか、あるいはカンボジア等に関する援助関連の実務者ですとか、こういった方々が想定されるのではないかと思います。

 そして、具体的な動きにつきましては、先ほど申し上げましたように、現地の情勢もしっかり把握しながら進めていかなければならないと思っていますが、派遣時期等、どういったスケジュールで対応していくかは現状まだ未定ですし、現地の要請ですとか、あるいは状況も見ながら確定をしていくことになるのではないかと考えます。

○阪口委員 私自身、実は、カンボジアの選挙の支援に五回にわたってかかわったことがございます。最初は、一九九二年から三年にかけてUNTACが展開したときに、地域の、いわゆるディストリクト、郡レベルの責任者ということで、一年間かけて選挙人登録から選挙の実施まで行いました。その後、九八年、五年後の選挙には、日本政府の選挙監視チームの一員として派遣をしていただきまして、同じくテクニカルなアドバイスも含めた支援活動を行った経験がございます。加えて言うと、その後、二〇〇三年の選挙でも、今度はNGOの選挙監視チームを率いる形で現地に参りまして、そして七月の選挙も、現地でさまざまな角度から状況の監視を行った、そういう経験がございます。

 私が長年にわたってカンボジアの選挙の問題点を見てきた限りにおいて、一番問題なのは、私は、選挙人登録、ここの部分に信頼性が欠如しているということだと思います。

 国連が入って九二年から九三年にかけて選挙を実施したという、その遺産は割とずっと継続していまして、アジアのその他の国に比べても、私は決してレベルが低いとは思いません。しかし、選挙人登録の部分で信頼性が欠如していると、結局、二重登録であったり、あるいは投票に参加できないという方が多くあらわれて、この選挙結果は認めない、そのような口実を野党に与えてしまうことにもなるんですね。

 私自身も、現地に行って、どうすればこの問題を解決できるのかということを、今回、いろいろなアクターと話し合ってまいりました。具体的には、野党の党首であるサム・ランシーさんとも話をし、また、フン・セン首相の右腕とも言われておりますが、ソクアン副首相、また、フン・セン首相の三男であるフン・マニさんとも話をして、本当にざっくばらんに、日本としてどのような貢献ができるか、意見交換をしてまいりました。

 私の一つの提案は、選挙人登録の信頼性を少しでも高めるために、可能であれば、彼らが持っているIDカードを電子化する、ICチップを埋め込むことによって、少なくとも二重登録ができないようにしていく、こういった支援というのはあり得るのではないかなと思っています。

 実は、これにどれぐらいのコストがかかるのか、技術的に可能なのかというのは、私も今調べているところでして、まだそのコスト等々についてこの場で正確な見込みの数字を申し上げることはできませんけれども、ここの部分が必ず問題になるということを考えると、日本の知見そして日本の技術を生かす、一つの大きな突破口になり得るのではないかと思います。

 この点については、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○岸田国務大臣 まず、阪口委員の、今日までカンボジアの選挙あるいは復興にかかわってこられた、こういった御努力には心から敬意を表し申し上げたいと存じます。

 そして、そうした貴重な経験を踏まえて御提案をいただきました。

 私自身も、この御提案について評価する材料というものは今持ち合わせておりませんが、我が国として貢献できる形、さまざまなものがあると思います。その中において、今御指摘の点でいうならば、我が国のすぐれた技術等で貢献するということになるのだと思いますが、そういったさまざまな切り口を通じて我が国が貢献する道を具体的に考えていく、こういった姿勢については大変重要ではないかと認識をいたします。

○阪口委員 この点についての可能性について、ぜひ調査をしていただきたいと思っております。

 一方で、ボイコットをしている野党の指導者サム・ランシーが私におっしゃったことは、今回の七月二十八日の選挙についての独立した調査委員会の設置を与党側が約束すれば、その時点でボイコットを解いて国民議会に参加するということも言っております。その結果が与党勝利であっても野党の勝利であってもそれは問わない、そしてその仲介役を日本に果たしていただきたいということを野党の党首が言っているんです。

 先ほど、選挙制度改革については、カンボジアの与野党が、十八日、つい数日前ですね、合意したということですが、この選挙制度改革をするということは、今回の選挙にどのような問題があったのかということを調査することとセットで行うことで、より効果的なもの、実効性のあるものになると私は思っております。

 私の提案としては、これを日本だけが行うのがいいのかどうかわかりません。恐らく、日本が提案をして、EUやアメリカなど、民主主義という共通の価値観を持った国と連携をしてやることで、より信頼性、実効性が高まる可能性はあると思います。

 どちらにしても、カンボジアの和平については、日本政府は、大変に長い間、リーダーシップをとってまいりました。そして、日本に対する大変に高い信頼と期待があることも事実でございます。ぜひ、この点について、まさに顔が見えるリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

○岸田国務大臣 御指摘の選挙改革支援につきましては、先ほど申し上げましたように、昨年十二月の日・カンボジア首脳会談におきまして、調査団の派遣を既に表明させていただいております。そして、その調査団派遣に当たっては、今委員の方から、日本に対する期待も大変高いという御指摘がありました。ぜひ、現地のニーズ等もしっかりと把握した上で調査を行い、そしてその後の支援につなげていく、このように努力をしていきたいと考えております。

○阪口委員 ぜひこの点についてリーダーシップを発揮していただきたいと思いますし、これは、政府に対してお願いするだけではなくて、我々野党も、また市民社会も協力をして、オール・ジャパンで立ち向かっていく、協力をするテーマであろうと思っております。

 ただ、この際に、本当に中立性というものが問われると思うんですね。

 国連主導の選挙が九三年に行われた後、カンボジアにおいては、九七年に、当時の第二首相であったフン・セン現首相によってクーデターが行われて、そして翌年の総選挙においては、フン・セン首相そして人民党が選挙に勝つことで認知されたということがございました。

 実は、先ほど申し上げたように、このとき私は政府の選挙監視ミッションの一員だったのですが、その当時、たしか南東アジア一課の課長であったと思います、今はアジア太洋州局長の伊原純一さんがおっしゃったこと、私は実は非常に記憶に残っています。

 そのとき伊原課長は、我々が考えている落としどころは人民党の勝利である、日本はさまざまな選挙後の復興支援を約束していて、ここで人民党が勝つことがそれらの援助を効果的に行う上では重要であるというようなことをおっしゃいました。

 私は、これは、先ほど申し上げたいわゆる失言とは違うものだと思います。我々は仲間であり、一緒にカンボジアの平和に協力したいと思っている我々に対し率直な意見をおっしゃったんだと思いますけれども、しかし、選挙監視チームが、落としどころは与党の勝利だという考えを持って活動を行う、それが日本の国益にもつながるというふうな考えを持つことは、これは決していいことではないと思うんですね。ですから、特にこのような分野で協力をする場合は、徹底的な中立性というものをしっかりと持って活動していくことが重要であると思っております。

 次に、同じ民主化支援、紛争解決という文脈の中で、ミャンマーのことについてもお伺いをしたいと思います。

 ミャンマーについては、本当に日本政府もさまざまな苦労をしながら、結果的に、今、以前よりは民主化の方向にかじを切って、ミャンマーという国のいろいろな意味での可能性が高まってきたということは評価すべきだと思います。

 ミャンマーについては、私も実は、目が見えない人たちを支援する基金を自分でつくって活動していたことがありまして、しかし、それをNGOにするということが大変に難しいという時代がございました。現在においても、NGOの活動というのは、ミャンマーにおいてはいろいろな制約があると思います。

 その中で、ジャパン・プラットフォームが、ミャンマーからの帰還民、今外国にいる、主にタイにいる帰還民を支援する活動のための活動資金を政府からもらって、今さまざまな活動をしているんですが、彼らに話を聞くと、一点大きな問題があるということでございます。

 具体的には、緊急人道支援でありながら、政府が支配している地域については活動が許されているけれども、しかし、反政府勢力が実効支配しているところには入ってくれるなということを言われていて、目の前に本当に救える命、救える人々がいるにもかかわらず、誰が支配しているかによって活動のやり方が変わってくる、活動する可能性が失われる、これは人道支援という見地からは大変に耐えがたいということを聞きました。

 これを何とか変えていかなければいけないと私は思っているんですけれども、この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。

○石原大臣政務官 阪口委員の御質問にお答えいたします。

 ジャパン・プラットフォームが活動されている地域は、まさに安全な地域ということで、ホワイトエリアと言われているところだと思うんですけれども、そして、危ないところはブラックエリアと言われていて、一つ一つ反政府の武力勢力がいるようなところの話だと思うんです。

 阪口委員御承知のように、今、NGOが、そもそもなかなかミャンマーで活動できなかったものが、平成二十四年以降ぐらいに活躍できるようになっていて、その中でも、実は、ミャンマー政府がNGOの活動を許可制にしている状況がございます。

 ですから、ジャパン・プラットフォームの皆様がホワイトエリアではないところでも活動したいということなのかもしれませんけれども、一応、今のところ、ミャンマー政府自身が、やはり危険性があるということで、そこになれたNGOを許可しながら活動させているという現状ではないかというふうに思います。

○阪口委員 このテーマは本当に古くて新しいテーマというか、実効性のある活動をすることと、その活動を継続するためにも、治安に対する配慮、安全対策を万全に行う、これは大変に難しいことだと思います。

 ただ、この地域について自分自身がさまざまな角度から見る限りにおいては、政治的に安定している地域、少数民族支配地域であっても、普通に人々がそこで活動している地域というものもございます。

 先ほどの紛争の仲介の可能性ということを考えてみても、政府は、カウンターパートが相手国政府ということからも、なかなか活動が難しいということが仮にあったとしても、経験がある、特に、世界じゅうの紛争地域あるいは災害地域で活躍をしてきたジャパン・プラットフォームのNGOなどは、少数民族地域で活動するノウハウ、経験というのは持っていると私は思います。

 そういう意味では、国際人道支援において何が一番大事なのかということを中心に据えて、そのあたりはぜひ、政府がミャンマー政府とも交渉して、せっかくの国民の税金をより有効に使えるような、そういった環境づくりを行っていただきたいと思います。

 このことは、実はもう一つ、私が今回のテーマにしている紛争の仲介ということについても大変に大きな意味がありまして、そういった政府と対立している地域で、少数民族の方々からも信頼を得て活動している人たちあるいは活動している団体が、仲介役として政府ができない役割を果たしていく大きなポテンシャルを持った、そういった存在になっていく可能性があると思うんですね。ですから、相手国政府以外のアクターとの信頼関係づくりということを考えても、ぜひこのあたりは、これまでのスキームにとらわれず、国際的な支援の可能性を追求していただきたいと思います。

 ミャンマーに関してもう一点なんですけれども、その中で、現地政府とも、あるいは山岳少数民族とも信頼関係を築いているということで、日本財団が五年で百億という大変に大きな額を日本政府から供与されて活動しています。

 ちょっと私、この日本財団の活動がどのようなものであるのか、詳細は把握していないんですけれども、このような大変に大きな額を政府から受け取って活動しているということは、政府としては、この活動について詳細を把握する義務、責任があると思いますが、現在どのような活動をしているのか、また、活動する上で、さまざまな実施部隊、現地のNGOあるいは日本のNGOとの連携はどうなっているのか、その点について教えていただきたいと思います。

○石原大臣政務官 ミャンマーにおけるいわゆる少数民族支配地域、若干危ないブラックエリアの地域の、NGOとして日本財団が五年間で百億円規模の緊急人道支援を行うということでありますけれども、その決定に当たっては、現地のパートナーとの連携のあり方も含めて、案件の具体的内容、人道的意義や裨益効果、我が国の援助政策との整合性等について総合的に審査を行っているところであります。

 案件の進捗状況や成果について、御指摘のとおりに、国民への説明責任の観点から、しっかりとした検証の体制を構築し、適切なモニタリングを行っていかなければいけないというふうに思います。

 ただ、私、この話を聞いている中で、ブラックエリアみたいな危ないところでちゃんと支援をされているというところを、果たして、館員の方が行くんでしょうけれども、そんなに頻繁に行ってどれだけチェックができるのかなという疑念もちょっと持ったんですね。ですから、そういうこともあります。金額も大きいので、そういう状況をしっかりとフォローアップしてまいりたいと思います。

○阪口委員 ここは大変に難しい課題だと思います、今おっしゃったことは。ただ、それこそ、いろいろなアクターを有効活用できると思うんですね。日本大使館が行くのが一番いいのか、あるいは、例えば少数民族の言葉ができる日本人、あるいは外国人などもいらっしゃると思います。そのような方々を有効活用することで、より多くの情報が得られるかもしれない。

 大切なことは、これも大変に大きな額を税金から拠出しているプロジェクトでございますから、活動を行う以上は、それをしっかりと検証できる体制、これは必ず構築をしていただきたいと思います。

 そのことが結果的に二国間の信頼関係を深め、そして、ミャンマーにおいても今後さまざまな局面があると思います。特に、来年選挙がありまして、その中で混乱が起こる可能性もあるかもしれない。NGOが少数民族地域も含めた現地で活動を続けてきたことによって得た信頼というのは、そういった際に必ず役に立つと思います。

 何とかその活動がより効果的になるような体制の構築をぜひ行っていただきたいと思いますし、我々も、野党の立場あるいは市民社会の立場から支えてまいりたいと思いますので、ぜひこの点については思いを一つにして頑張っていきたいと思っております。

 時間になりましたので、実は、海外の補習校についても質問したいと思っていたんですが、これは次回に回すということで、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。


予算委員会で原発政策などについて安倍総理に質問

2014年02月03日 17時51分34秒 | 政治
 今日は衆議院予算委員会で安倍総理に質問しました。NHKの国会中継は途中で終わってしまったようですが、下記のURLからインターネット中継を観て頂けます。

  
 衆議院予算委員会で原発政策などについて安倍総理に質問 計20分 


 原発政策の在り方を、核廃棄物の最終処分の問題も含めて都知事選挙における小泉元首相の言葉を引用しながら問題点を指摘し、脱原発経済システム構築に大きく舵を切るべきと主張しました。また、未来の原発の在り方については諮問型国民投票を実施して決めるべきと提案しました。

 最終処分の在り方は大きな問題です。小泉元総理の考えを「原発ゼロ」に大きく舵を切るきっかけになったフィンランドの最終処分所「オンカロ」では原発は無害化するまで10万年管理することを想定しています。使用済み核燃料を保管する最終処分所は400メートルの岩盤の下、2キロ四方の地下要塞のような場所にあります。それでもわずか2基分の使用済み核燃料しか入りません。10万年前と言えば、ネアンデルタール人の時代。そもそも、情報が正確に伝わるのかどうかわかりません。日本は地震大国であり、10万年後に存在する建築物が存在するとも思えません。数年、数十年のエネルギーのために、未来の世代に何万年にもわたって犠牲を強いてもいいのでしょうか?

 「やれば、できる」これは、安倍総理の施政方針演説で繰り化された言葉です。「不可能だとあきらめる心を打ち捨て、わずかでも可能性を信じて行動を起こすことが、世の中を変えると」マンデラ元大統領の言葉を引用して力説していましたが、どうして原発に関しては及び腰なのでしょうか?

 安倍総理は原発停止が3.6兆円の化石燃料購入費になって、日本人ひとりあたり3万円が国外に流失しているとの説明を繰り返しています。確かに購入費が上がっていることは確かですが、世界的な化石燃料高騰と円安がその要因の8割以上で、量が増えた影響は実は2割未満です。また、貿易赤字の最大の要因は製造業の生産拠点が海外に移転していて円安の恩恵が限定的だからです。ここ数十年の幅で考えると、日本はずっと貿易黒字が多すぎることが問題でした。貿易赤字を生み出している本質に目を背け、化石燃料購入費を理由に原発に回帰することは詭弁です。

 未来への責任を優先し、再生可能エネルギー経済システムを構築することで新しい産業を起こせる可能性があります。ドイツでは2022年原発ゼロを政治が決定し、再生可能エネルギーの割合を20%に増やして新しい産業を起こし、38万人も雇用が増えたとされています。未来の世代への責任、そして贈り物として、日本が世界の先頭に立ち、再生可能エネルギー社会・経済システムを作る方向に舵を切りましょう。

 原発の是非を問う国民投票についても問題提起しました。国民的議論を経て、より多くの国民が望む方向への政策の転換を図ろうではありませんかと安倍総理に提案しました。このブログでも再三問題提起してきたように、ひとつの政策について徹底的な議論を行い、国民自ら決定することは日本の民主主義を鍛える意味でも意義があると思います。諮問型国民投票であれば憲法改正がなくても実施は可能です。ところが安倍総理の答弁は、国民から選ばれた国会議員が議論して方向性を決めるべきであり、国民に委ねるのは国会議員としての責任放棄だとの驚くべきものでした。多くの自民党議員が電力会社から多額の政治献金を受け取るなど、国会議員と電力会社の利権構造があることが政策の方向性を歪めているのが現実なのに、国民に委ねるのは責任放棄との考えは到底受け入れられません。
 
 この他、国境離島や自衛隊の基地の周辺で進む外国人の土地所有が、現行の法律では把握、規制できないことを指摘し、安全保障上問題と思われる場所については規制をすべきとの問題提起をしました。20分という時間は十分とは言えず、準備した質問の3分の1ぐらいしかできませんでしたが、今後の質問の中にも反映させていきたいと思います。



写真下:私の質問に対する安倍総理の答弁の一部(東京新聞に掲載。私の名前は出ていませんが…)