昨日、今日は大台ケ原に連なる大台町の山中で森林作業をお手伝いさせて頂きました。急な斜面を数百メートルよじ登ったところが二日間の仕事場。まずは斜面に点在する間伐材にワイヤーをかけて滑車を使って一か所に集めます。そこでチェーンソーを使って3メートル強に切り、さらに滑車で麓に運ぶのが作業です。
私の役割は、斜面に点在する間伐材に這うように移動してワイヤーをかける補助作業。急斜面の上に足元が崩れやすく、掴むものもほとんどないので、常に谷間に滑落する危険がある中での作業でした。もっとも私がどれほど役に立ったのかわかりません。作業員の方が斜面を移動する手間が少しだけ省けたぐらいだと思いますが…。二日目の今日はトビという道具を使って昨日の作業で集積された間伐材を転がし、ワイヤーをかけやすくする作業の他、チェーンソーを使って間伐する作業も行いました。
今、林業は機械化されていて、これほど過酷な環境での森林作業は、今はほとんどないとのこと。機械を使うためには斜面を削って道路を作らなくてはならないのですが、伐採後には使い捨て道路になる例が多いそうです。機械を使って皆伐してしまうと森林環境は破壊され、山崩れなどの原因にもなります。したがって、環境に配慮しながら間伐材を手作業で運び出すこのような作業には大きな意義があります。一方、植えてから50年ほどの杉の間伐材は、こんなに過酷な作業で運び出しても一本8千円ほどとのこと。価格競争ではとても勝負にならず、補助金をもらっての事業です。しかし、このような仕事に従事している若い森林作業員の方々からは体を張って地域の環境を守る事業に従事している誇りを強く感じました。
林業は、森林資源を有効活用することで、防災、再生可能エネルギー産業、さらに観光産業の振興にもつながる重要な産業です。木造建築の高層化を可能にする法整備、CLTに代表される新たな木質部材の開発など林業に対する予算確保を後押しすることは地域の活性化につながります。本来は大きな可能性のあるこの仕事に、若者たちがもっと夢を持てるように環境整備するのは政治の役割と改めて強く感じました。
チェーンソーで間伐を行う
木を切り倒した直後の私。30年ほど経過した杉を間伐しました。
トビを使って丸太を動かす私
ワイヤーをかける作業
急峻な斜面を移動する
滑車を使って麓まで間伐材を降ろす
今回作業を行った斜面。数百メートルの急斜面を何度も足を滑らせながら登りました。