今、私は安全保障上重要な土地について不透明な売買や、国益に反する土地の利用を未然に防ぐための議員立法を目指す勉強会の座長をしています。規制を行う対象として国境の離島や、自衛隊、原発などの重要施設所在地、また重要な水源を含む地域を考えています。
先日行われた沖縄北方特別委員会では、与那国島をテーマに離島の安全保障と経済活性化について質問しました。自衛隊の沿岸監視部隊誘致をめぐる問題や、私が取り組んでいる外国人を含めた不透明な土地の売買について、また、与那国の文化や自然を活かした経済の振興策について問題提起しました。
○阪口委員 日本維新の会の阪口直人と申します。
本日は、沖縄の与那国島を主なテーマとして、国境に位置する離島の安全保障や経済の活性化について質問をさせていただきたいと思います。
与那国島では、中国籍と思われる軍艦や船舶が非常に頻繁に確認されていることもありまして、また島の活性化を願う思いもあって、二〇〇八年に与那国町議会が自衛隊の誘致を決議いたしました。二〇〇九年の八月には、自衛隊誘致を主張する外間町長が当選をしました。その結果、昨年度の予算には、用地買収を中心とした十億円の予算が計上されて、そして、二〇一三年度、本年度の予算には、レーダーの設置や駐屯地の建設などに六十二億円の金額が計上されて、陸上自衛隊の沿岸監視部隊を展開するということで準備が進められております。
ところが、この自衛隊の基地の建設に関して、誘致をした側の町が、迷惑料、今は市町村協力費という名目になっておりますが、十億円を要求して、この建設が今暗礁に乗り上げている、そういった状況でございます。
私も、この問題、実態はどうなっているのかということを、今月の初めに現地に行って、さまざまな方にヒアリングをしてまいりました。町を二分する非常に大きな問題になっておりますが、まず、現状についてどのような認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
もう委員は十分御承知だと思うわけでありますけれども、まずもって、この南西地域の島嶼部の防衛というのは非常に重要なものであるというふうに我々も認識しております。
その上で、与那国島への沿岸監視部隊の配置につきましては、外間町長等からの要請を踏まえまして、地元との調整を進めてきたところですけれども、今委員からお話がありましたとおり、外間町長から、いわゆる市町村協力費、まあ迷惑料ですけれども、十億円という要求が来たわけであります。これは余りにも理不尽なものでありまして、一切応じることはできないということで、これまで防衛省からの積極的な用地交渉ということは控えさせていただいております。
御指摘の外間町長の意向につきましては、今後、外間町長等から新たにまた正式な提案というものがあれば、我々防衛省としては対応を検討させていただきたいというふうには考えております。そのときにおいては、我々も、与那国島の地域振興ということに対してもできるだけ寄与したいというふうには考えております。
ただ、今の段階におきましては、その辺の意向がきちんと確認できておりませんものですから、我々は控えさせていただいている、そのような状況でございます。
○阪口委員 与那国島は、人が住む島としては日本の最西端にあるということもございまして、安全保障という観点で見た場合には、周辺のどの島と比べても、この地域に沿岸監視部隊を設置する意義というのはあると思います。
ただ、金額面で折り合わないということでこの交渉が進まない場合、例えば、ほかの島に同様の基地を持っていくような計画がおありになるのかどうか。あるいは、何としても必要性を説得して、町側と折り合いを目指していくのかどうか。そのあたりの現在の国としての姿勢についてお伺いをしたいと思います。
○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
用地交渉等の進展が見られない場合、この地域における島嶼防衛ということを考えた場合においては、ほかの地域ということも考えなければいけないというふうなところも我々も考えておりますけれども、今の段階でどのような形になるか、いろいろ水面下等の交渉もあるものですから、詳しいことのお答えは控えさせていただきたいと思っております。
○阪口委員 基地周辺、自衛隊等の安全保障上非常に重要な土地の周辺における、さまざまな不透明な用地買収というのが大きな問題であると思います。
例えば、中国系の資本などが投機目的で、日本にとっての国防上重要な場所、これは沖縄に限りませんけれども、売買をしている、またその実態がきちんと登記されていない、あるいは固定資産税が払われていないということで、把握できない事態があちこちで起こっている。これは大変に憂慮すべき事態だと思います。
この大変に重要な基地周辺の土地については、そういった問題がしっかりと把握されているのか、つまり、土地所有者の実態把握というのは国としてきちんとなされているのかどうか、いかがでしょうか。
○江渡副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
今委員が御指摘の、自衛隊施設周辺におきます外国人等による土地の取得に係る御指摘ということは私たちもしっかりと意識させていただいておりまして、自衛隊施設の周辺状況につきましては、その地域の特性を踏まえ、常に関心を持って注視させていただいております。
自衛隊の部隊等の運営におきまして、例えば、監視カメラの設置、あるいは常時当直員の配置、あるいは施設内の巡回等について地域の特性を踏まえ実施するなど、また、自衛隊周辺施設にさまざまな状況が生じたとしても部隊の運営に支障を及ぼすことがないよう、引き続き万全を期すこととしておりますけれども、現在のところ、外国人やあるいは外国資本による自衛隊施設に隣接する土地の買収によって、部隊の運営に直接影響が出ているということは承知しておりません。
○阪口委員 現在のところは直接的な影響はないということでしたが、今後、日本周辺の事態が緊張感を増すにつれて、これが国防上大変大きなネックになる可能性もあると思います。
私は、土地の利用を制限するなどの何らかの法整備を早急に行っていかなくてはいけないという問題意識を持っておりますが、沖縄及び北方を担当する大臣として、この問題についてどのような基本的な考えをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○山本国務大臣 先ほども防衛副大臣の方からありましたが、沖縄は、東西千キロ、南北四百キロに百六十の島がある、我が国唯一の島嶼県と言っていいと思います。離島地域の活性化は沖縄全体の発展にとって重要な課題だというふうに思っていまして、特に委員がきょう取り上げておられる与那国島、これは国境離島ですから、この振興を図ることは国土保全の面からも重要だというふうに沖縄振興担当大臣としても考えております。
離島は、美しい自然、独自の文化、非常に魅力的な場所ですけれども、これも委員御存じのとおり、移動、物流コストの低減等による離島住民の負担軽減とか、定住条件の整備とか、産業振興による活性化等の課題もあるというふうに認識をしています。
これらの課題に関し、与那国島においては、平成二十四年度に新たに創設された一括交付金の制度を活用して、与那国を対象とする離島住民等の交通コストの負担軽減の事業とか、余り細かく全部申し上げませんけれども、例えば小規模離島航路の確保、維持を図るための船舶建造及び購入費用の補助を行う事業とか、いろいろなことをやらせていただいていまして、農業振興の観点からも、いろいろな経営安定化のサポート等々もやっております。
結論として、沖縄振興特別措置法、沖縄振興基本方針等に基づいて、沖縄の特性や魅力を最大限に発揮しつつ、地域の活性化を図るということで、沖縄県、与那国島と連携をして、与那国の農水、観光を初めとする産業の活性化、交通、生活環境、情報通信基盤の整備等の取り組みを支援していきたい。それはやはり、国境離島が非常に重要だという認識に基づいてやらなければいけないと思っております。
○阪口委員 実は、今お答えいただいたのは、私がこの後で質問しようと思っていたことでございまして、大変流暢に答えていただいたんですが、私の今の質問は、法整備の必要性についてということでございました。山本大臣の個人的な思いをぜひ伺いたいと思っています。
写真上:山本大臣に質問する私
○山本国務大臣 大変失礼いたしました。
沖縄振興担当大臣として言うと、その法整備について私が申し上げる立場にないと思ったんですが、実は私、海洋政策担当大臣でもございまして、私のもとに、今、国境離島振興、管理を考える有識者懇談会というのをやっておりまして、そこで国境離島に対してどういう対策をとったらいいかということを議論しております。
御存じのとおり、自民党でも議員立法がありまして、やはり国境離島については、今委員がおっしゃったようないろいろな問題意識を持って対策を講じていかなければいけないのではないかということがありますので、そちらの海洋政策担当大臣としての有識者懇談会では、もうちょっときちっとした管理ができるように、与那国のような国境離島については、さまざまな対策を講じていかなければいけない、こう考えております。
○阪口委員 今回、現地でさまざまな方とお話をしたところ、東京にいると、与那国というのは、国境警備上非常に重要だという意識にどうしても凝り固まってしまうんですが、現地の方々にとっては、大変に切実な経済問題であるという側面が最も強いんじゃないかなと私は思いました。
自衛隊を誘致すれば、その経済効果で町が少しでも潤うと考えていらっしゃる方々と、いや、自衛隊が来てしまうと、場合によってはここが攻撃のターゲットになるかもしれない、また、基地ができることによって、島の文化が何らかの影響を受けて、観光客などの減少につながる、要するに経済的なデメリットが生じるんじゃないか、そういった議論がなされていました。
例えば、こういう二つの異なる考え方を持ったグループを前に、政府の方針としては自衛隊の部隊をここに設置するわけですから、もし、山本大臣、現地のいわゆる反対派の方を目の前にしたときにどのようにして説得をされるか。大臣自身が現地に行かれて、彼らと向き合ったとして、どのようなメリット、そしてどのような意義を説明されるのか、ぜひ山本大臣に伺いたいと思います。
○山本国務大臣 ちょっと申しわけありません、質問の趣旨というか意味がよくわからないんですけれども、いずれにせよ、与那国にはいつか行きたいと思っていまして、まだ伺っていませんので、余りシミュレーションみたいなことをしない方がいいと思いますから、きちっとそこでお目にかかったときに考えたいと思います。もうちょっと質問の趣旨がわかれば、もう少しお答えできると思うんですけれども、済みません。
○阪口委員 私の質問の仕方が恐らく悪かったんだと思いますが、要するに、経済の問題で、反対派、賛成派が割れているというのが一番の現状だと私は思いました。要するに、与那国のよさを守りながら、でも自衛隊を展開することで経済の活性化と現地の文化や自然を両方とも実現することができるとすれば、反対派の方々を説得することも可能であると思うんです。
もし、沖縄北方大臣として、現地の方々と向き合って、基地の必要性、そして現地のよさを生かした開発のあり方について議論をするとすれば、山本大臣であればどのような言葉で向き合うのか、あるいは説得するのか、そういった質問でございます。
○山本国務大臣 大変申しわけないんですが、基地の問題は私の所管ではありませんから、それについて、例えば沖縄振興と結びつけて議論をするということはなかなか難しいと思います。
私が申し上げるとすれば、やはり国境離島の重要性、ですから、しっかりと沖縄振興担当大臣として国境離島の振興もいろいろな形で考えていく、これしかないと思います。
○阪口委員 基地は直接的な管轄ではないということですが、やはり沖縄の振興を考えたときに、基地というのは本当に避けて通ることはできないと思うんですね。そういう意味では、ちょっと山本大臣らしくない、官僚答弁であったかなと思います。
最後に、この与那国島には、実は、古代の海底遺跡ではないかと思われる遺跡が島の南側の海中にあるんですね。これが自然にできたものなのか、あるいは古代遺跡なのかということに関しては論争がありまして、まだ結論は出ておりません。しかし、東西に二百五十メートル、南北に百五十メートル前後の規模があって、また円柱と思われる、さらにテラスや階段と思われるような、人工建設物ではないかと我々が想像したくなるような、そういった風景が海中に広がってございます。
私は、この遺跡と思われる海中の状況を守る上でも、あるいは切実な現地の経済問題を解決する上でも、国として、しっかりとした調査を行って、まずは状況についてしっかりと把握をする、そして、しっかり保存して、場合によっては観光の目玉にしていく、そういった戦略があってもいいのではないかと思いますが、この点について、山本大臣はどのようにお考えでしょうか。
○山本国務大臣 先生が今おっしゃった海底遺跡の問題はちょっと勉強させていただきたいと思いますが、観光リゾート産業は沖縄経済を牽引するリーディング産業ですから、いろいろなことを生かして、沖縄の自立経済の構築のために、観光産業を振興していくというのは大変大事だと思っています。
特に、沖縄の離島については、自然も豊かですし、島ごとに異なる文化もありますし、個性的で魅力的な地域資源というのが本当に多くありますから、これは全国的にも観光地として高い評価を得ているところだと思います。こうした強みを生かして観光客の誘致を図っていく、これは、沖縄の観光振興、離島振興、双方を推進する観点から大変重要だと思っています。
平成二十四年度、先ほども申し上げましたが、沖縄振興交付金が創設されましたので、これを活用して、沖縄県において、例えば八重山地域の観光プロモーション活動を行ったり、与那国では、これも委員御存じかもしれませんが、沖縄振興交付金を使って、国際カジキ釣り大会というのを実はやっておりまして、これで、観光誘客の促進とか、旅行業者等と連携した各種の広報媒体等による情報発信体制の構築等の観光事業を今やっております。
内閣府としては、それぞれの離島が有する多様な力を十分に発揮してまいれるよう、いろいろな観光資源があれば、少しそういうものを調べながら、どうやって生かせるかということも議論していきたいと思いますし、引き続き、沖縄県と連携して取り組んでまいりたいと思います。
○阪口委員 ありがとうございます。
私が与那国を訪ねて、いろいろな方々と話をした限りでは、一般的なリゾート開発というよりは、独自の植生や文化、また食の伝統、そういったものが本当に失われることがないように、日本の中でも本当に貴重なこの島のよさをぜひ伸ばしていくような開発を行っていただきたいと思いますし、そういった考えをベースに持ちながら、では、自衛隊の問題をどうするのかということを考えていかなくてはいけないと思います。
島の人々は、自分たちの独自の文化、自然に本当に誇りを持っていると思います。ぜひ、彼らの思いをしっかり酌んだ開発、そして防衛計画を立てていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
写真上:与那国島は日本の他の地域とは全く違う自然、そして文化が印象的なとても魅力的な島でした。