今日はアウンサンスーチー氏との会談の内容を報告し、今後、日本として、また国会議員として行える支援の在り方について考える報告会を行いました。国会議員14名を含む、40人近い方々が熱心に参加して下さったこと、まずは感謝申し上げます。
今日は最初に高橋昭一議員が編集した約8分のビデオを見て頂き、その後、パワーポイントで約25分プレゼンテーション。その後、30分は質疑応答でした。
アウンサンスーチー氏との会談(2012年1月9日撮影) (高橋昭一衆議院議員編集)
最近のミャンマーの変化は驚くべきスピードです。昨年の5月、私の国会事務所で前原誠司元外務大臣とアウンサンスーチ氏が電話会談を行った際は、話が佳境に入った瞬間に突然、電話が切れました。「やっぱりきたか」「『「盗聴してるぞ!』」というサインだね」と、誰もが思いました。しかし、その後、政府は民主化に向けた様々な決断を行います。
1.政治犯の相次ぐ釈放
2.北部カチン州で中国と共同建設している水力発電用大型ダム「ミッソンダム」(電力の9割が中国に供給予定)の開発中止を表明(2011年9月末)
3.政党登録法の改正。旧最大野党・子億民民主連盟(NLD)の再登録を承認(2011年11月5日)
4.少数民族との和解促進
また、国際社会は、下記のような対応を行い、民主化に向けた後押しを行いました。
1.2014年ASEAN議長国決定(2011年11月17日)
2.ヒラリー・クリントン国務長官来訪(2011年12月3日)
3.玄葉光一郎外務大臣(2011年12月26日)、枝野幸男経済産業大臣(2012年1月12日)来訪
4.欧州連合(EU)経済制裁の解除を視野に入れた緩和措置に言及(2012年1月下旬)
そして、アウンサンスーチー氏の動きも加速します。
1.4月1日の下院補欠選挙(49議席)に立候補表明
2.ヤンゴン管区コムー地区(サイクロン「ナルギス」で被害を受けたベンガル湾沿い地域)での立候補手続き(2011年1月18日)
また、1988年の学生運動のリーダーで、政治犯の象徴的存在だったミンコーナイン氏が釈放されます。(2012年1月13日)何年も監獄で過ごした運動家の方々と会い、ミンコーナン氏の解放を求めるTシャツをもらった3日後のことでした。
そんな背景でのスーチー氏の言葉を詳しく紹介し、その言葉の意図について、私なりの考えを話しました。その上で、下記のような提案を行いました。アウンサンスーチーさんとの会話で問題提起し、NLDの幹部とも話し合い、帰国後アウンサンスーチーさんに送った手紙で改めて提案したものです。
1.4月1日の補欠選挙に向けた選挙監視チームの派遣
2.民主化プロセスを監視・支援する機関の設置
3.日本の専門家を送っての法整備支援
4.「国民が受益者になる」持続可能な公益志向の経済システムの構築
多くのアジアの発展途上国では開発独裁的な手法で、豊かになれる人が先に豊かになり、民主主義はその後についてくるとの考え方が一般的です。しかし、アウンサンスーチー氏は、経済の民主化、政治の民主化を同時にやり抜き、何よりもミャンマーに合った、国民が受益者になる経済を目指していることを確信しました。そのためにも、上記のプロセスを支援するのが日本の役割です。
まずは最初の一歩である選挙監視活動を、まずは成功させたいと思います。現在、自由・公正な選挙の実施と、その証人になる国際選挙監視団の受け入れは、選挙後に国際社会が支援を行う上での前提条件になっています。まずは国際選挙監視チームを受け入れるようにミャンマー政府を説得し、より信頼される選挙監視チームを日本の国会として派遣できるよう、全力を尽くします。議会としての民主化支援の新たな手法を作り出したいと考えています。
写真上:14名の国会議員が参加しました。
写真上:少数民族の状況について説明してくれたシャン族の女性