阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

消費税増税と私の覚悟

2012年06月28日 16時43分09秒 | 政治
6月26日、社会保障と税の一体改革関連法案の採決があり、私は賛成票を投じました。

採決直前の6月21日のブログでは、社会保障の安定財源を確保するためには苦渋の決断ではあるけれど賛成の方向で考えていると書きましたが、実は最後の最後まで悩みました。

消費税増税は国民に痛みを強いる政策です。できることなら避けたい。これまで多くの政権が「消費税増税」から逃げ続けてきたのも事実です。しかし、人類が経験したことのない規模で進む少子高齢化と1000兆円を超える国と地方の借金を考えると、断じて先送りにすることはできません。不人気な政策ではあっても未来への責任を果たすことを優先すべきとの結論に達し、賛成を決めました。大きな反感も寄せられるでしょうし、次の選挙を考えれば不利になることは承知です。しかし、未来に必要と信じることを決断して、その結果議席を失うとしてもそれは本望と覚悟を決めました。

国民に痛みを強いるわけですから、国会議員自らが身を切るべきです。私自身が最後までこだわったのは、議員定数の削減です。国会議員にとって、また選挙基盤の弱い新人議員にとって一番つらい議員定数の削減をやり切ることで、国会議員の覚悟と良心を示し、政治への信頼をつなぎとめることは、法案賛成の絶対条件と考えており、私自身も発起人として何度も申し入れを行ってきました。採決が始まる直前の代議士会において、2度の総選挙において衆議院の比例定数を80削減する議員定数削減の法案が委員会に付託されることが報告されました。今国会での法案成立の目処が立ったことで、最終的に決断しました。

消費税を増税する前提条件として、景気回復が必要で、十分に景気が回復していないと判断した場合は増税を行わないことも決められています。また、消費税増税の影響を受ける所得が低い方々には、給付措置を行うことも決まりました。消費税増税を行っても税収が下がれば何の意味もありません。私たちは政策を総動員をてデフレ脱却、経済の活性化に努め、今回の消費税増税が国民の安心につながるように努力を続けて参ります。ご理解を頂ければ幸いです。



アフガニスタン&ミャンマーの勉強会の目的と民主化支援の意義

2012年06月24日 20時33分06秒 | 政治

 6月20日、アフガニスタンに関する勉強会を実施しました。7月上旬に行われるアフガニスタン支援のための東京会議に向けて、アフガニスタン支援に長く関わってきた日本のNGOからの問題提起を中心に、勉強会を数回にわたって実施してきましたが、今回はその集大成とも言えるものでした。

 アフガニスタンに長年関わってきた日本のNGOは、現場での経験、現地の方々の要望に基づき、NGOが現場で培ってきた問題意識を日本政府の方針、そして東京会議における決定事項に反映させることを強く求め、その思いを連続勉強会を通して国会議員と共有してきました。アフガニスタンの医療や教育、経済についてのマクロの統計は、テロとの闘いが始まる前と比べ、大幅な改善が示されています。しかし、それらはアフガニスタンの方々の本当の安心、そして幸せにつながっているのか? 一番支援を必要と人々に届いているのか? また持続可能なものなのか? 現場に関わっている方々は、多くの点に疑問を呈してきました。

 私たち国会議員は、国会に縛られ、本当の現場で長期的に活動することは困難です。一方、日本の市民社会の力はまだ弱く、私の経験でも政府方針に大きな影響力を発揮するまでには至っていません。従って私たちの強みを活かし、弱い部分を補完し合うためにも、私は政治と市民社会の連携強化が必要と考えています。私の事務所で連続で実施しているアフガニスタンの勉強会、また、ミャンマー(ビルマ)の民主化を考える勉強会では、政治を通して現場の声を政府に伝える、それをさらに現場にフィードバックすることを目指しています。
 
 アフガニスタン東京会議の議論の中心は、平和、安全、そしてグッドガバナンス(正しい統治)です。この勉強会でもアフガニスタン社会における汚職の蔓延、縁故主義、人権侵害、民主主義な制度の不備、説明責任を果たす政府機能の欠如などが常に指摘されてきました。

 この勉強会で報告された「アフガニスタン東京会議に向けた市民社会からの提言書」によると、東京会議では、今後10年の国際社会の支援に焦点があてられていますが、人権や民主主義の問題を見過ごしてはならないと強調されています。民主主義、正義、公正が欠如した経済的発展はアフガニスタンの持続的な安定、自立にはつながらないからです。

 特にグッドガバナンスは持続的平和と安全の前提条件と位置づけられています。開発プログラムの実施は、ガバナンスの大幅な改革とパッケージで開始するべきであり、特に汚職との闘いは国家の最優先事項とされています。東京会議において、国際社会は、アフガニスタン政府の汚職撲滅のために必須となる改革と構想の推進を条件にした援助を実施しべき。援助資金は、アフガニスタン政府が導入し実現する改革の数や規模に応じて支払うべきであると提言しています。また、国際社会は、市民社会、自由なメディアをサポートしながら、人権(特に女性の人権)を尊重した民主的制度やプロセスの強化(例えば、選挙委員会の改革、自由で透明な全国的選挙の実施)など、民主主義の履行を条件としてアフガニスタンへの関与と支援を行う必要があるとされています。

 これまで日本政府は「民主化支援」に踏み込むことは内政干渉につながるとして控える態度を取ってきました。実際に民主化支援のために使えるスキームはほとんどありません。しかし、私はグッドガバナンス支援を通して民主化を支えることは、その国の持続的な発展に寄与するとともに、公正な競争が機能するビジネス展開の可能性が広がるなど、日本の国益にもつながると思います。

 アフガニスタンにおいて、またミャンマーにおいて、民主化支援につなげる意識を持って、現場の声を政府に伝え続けていきます。



写真上:アフガニスタン勉強会で進行役を務める私



写真上:山根副大臣も出席し、質疑応答にも対応


写真上:アウンサンスーチーさんの誕生日を祝う会合にてカチン族の女性と。


写真上:ノーベル平和賞受賞者・ジュディ・ウイリアムズ氏と。(6月19日)地雷廃絶に向けて市民社会の力を結集させ、対人地雷禁止条約の締結を実現しました。










社会保障と税の一体改革について、私の思い

2012年06月21日 14時17分35秒 | 政治

昨日、野田首相が出席した両院議員懇談会が行われました。

15日の深夜に民主党、自民党、公明党の3党が合意した社会保障と税の一体改革について理解を求める執行部に対して、18日、19日の会合に続き、特に反対派の方々から激しい反対意見が寄せられました。

消費税増税は国民に痛みを強いる政策です。特に多くの過疎地を抱える和歌山県選出の国会議員としては、地方経済の厳しい現状に日々ふれている立場でもあり、賛成するには自らの身を切る議員定数削減を始め、いつくつかの前提条件を満たす必要があると思い、未だギリギリのところで未だ熟考中です。しかし、苦渋の判断ですが、賛成することを念頭に採決に臨む方向で考えています。

世界史上例がないレベルでの少子高齢化が進む一方、社会保障費が飛躍的に増大し、国と地方の借金が1000兆円を超えて国債の利払いだけでも10兆円に達する。そんな状況で、社会保障費の安定財源確保のために増税が必要なのは残念ながら現実です。また、世界のマーケットは日本の増税を織り込み済みであり、この期に及んで「決断できない政治」が世界の金融市場に悪影響を与える可能性も懸念されます。しかし、デフレ脱却、景気の回復が十分ではない今でなければいけないのか、その手続きは十分に民主的なものだったのか、そんな葛藤は当然あります。一方、これまで自民党政権が逃げ続けてきた「消費税増税」に政治生命を賭け、このねじれ国会の中で法案成立が見えるところまでこぎつけた努力。正直、自民党案の丸飲みでは賛成できないと思っていましたが、予想していたよりも遥かに民主党の理念を守る形で合意に漕ぎつけた内容を見る限り、ギリギリであっても合格点で、受け入れるべきとの考えに至りました。

自民党の茂木政調会長は「サッカーで言えば6-1の勝利」と言っているようですが、それは大幅に譲歩したことに対する党内向けの弁明であり、本心は違うはず。また、石原幹事長は「最低保障年金もなくなった」「国民会議で考えていきましょうと民主党の側から頼んできた」と会見で発言しているようですが、これは事実とは異なるとのことで今日の民主党の代議士会では輿石幹事長と前原政調会長から文書にて抗議を申し入れました。自民党執行部は「解散の確約もなく譲り過ぎだ」との突き上げをかなり食らっているのでしょう。

私は「引き分けだけどアウェーでの失点の少なさにより予選突破」ぐらいかなと思っています。大手を振って大勝利とは言えないけれど、しっかり結果につなげたのではと思います。一方で、私たちの次回の選挙はさらに厳しくなると思います。「消費税を上げても喜ぶのは次の政権やいしょ。増税らしちゃあったら次は野党じょ」支援者のこんな声は痛いほど響きましたが、私は次の選挙よりも未来への責任を果たす方が重要と思っています。一方で、党が割れるような事態は絶対に避けねばならず、この点は執行部には毅然とした、しかし、十分な配慮を伴う対応を求めます。

社会保障制度は、政権が変わるたびに変更されるものであってはならず、今回、三党が合意できたことには意義があると思います。昨年末に、民主党内でまとめた一体改革「素案」では、「本素案をもって野党各党に社会保障・税一体改革のための協議を提案し、与野党協議を踏まえ、法案化を行う。」とされており、長妻昭元厚生労働大臣をはじめとする党内における税と社会保障の最高レベルの交渉担当者が何とか理念を守ってまとめた合意の内容を私は尊重すべきだと思います。期限の中で了承しなければ、3党合意自体は破棄され、内閣不信任案や問責決議案が出る事態になったでしょう。昨夏の一体改革成案の党内論議、昨年末の一体改革大綱の審議、昨年度末の関連法案の審査と、党内では百時間をはるかに超える長さの議論を行い、反対派、慎重派の意見も加えて度重なる修正を加えてきています。党内的手続きとしては、私は十分に丁寧だったと感じています。さらに、114時間の国会審議、3党協議を経て合意されたのです。政府与党案には修正が加わっていますが、しっかり実は取った。交渉担当者の努力には敬意を表します。

しかし、合意を優先するあまり、民主党の理念に関わる政策である最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、取り下げてはないけれど「国民会議」で議論することとして、結論は先送りされました。ねじれ国会の下で法案を通そうと思えば妥協も必要であり、100%の成果は望むべくもありませんが、この法案の必要性、何を譲り何を守ったのか、しっかりとした説明を続けなければ、とても理解されないものと心を引き締めているところです。


写真上:昨日は両院議員懇談会の直前までアフガニスタン支援についての会合の司会をしていました。詳しくはまた報告します。


写真上:両院議員総会で答弁をする野田総理。


写真上:議員定数削減を求める議員立法を提出


写真上:自民党への抗議文



日本人の国連職員を増やす意味について

2012年06月11日 20時21分26秒 | 政治

 私は「国連邦人職員との連携を推進し、その活動を支援する議員連盟」の会員でもある。この議連にも関わっている知人の国連職員が「国連で働く日本人を増やす」ことをテーマにした資料を持って来てくださったので、その資料を参考に私自身の考えを書いてみたい。

 私自身は国際協力活動に関わる最初のきっかけになったのが国連ボランティアとしての活動だった。カンボジア、およびモザンビークで計約2年、平和維持活動(PKO)の文民要員として選挙を実施するための地域の責任者(監督者)として活動した。長年の紛争によって統治能力を失った国家の代わりに国連が選挙を実施するオペレーションの現場要員として現地の人々と生活を共にした経験は、何物にも代えがたい経験になった。特に私が活動した地域はどちらも山岳少数民族が住む地域で、電気や水道のない村で、平和の実現のために活動したことは私自身の価値観にも大きな影響を与える経験だった。

 国連には、紛争地での平和構築や、難民の支援、貧困に苦しむ人々に教育や就業の機会を作るなど、地球社会の課題解決に貢献する尊い仕事が沢山あり、様々な場でより多くの日本人にチャレンジしてもらいたいと思う。

 私自身は、「日本人の国連職員を増やす」ことだけに特化するのではなく、国際協力NGOで働く人々が希望を持って任務に打ち込めるような環境作りや、ソーシャルビジネスなど、新しい手法で地球社会の課題の解決に貢献する仕事への後押しも自分自身のテーマと考えている。

 日本が国連に払っている分担金の額と比較すると、日本人の国連職員は本来あるべき数の4分の1程度でしかない。全体の職員数を増やすことの中で、特に幹部職員を増やすこと、民間企業などで経験を積んだ人が中堅のスタッフとして活躍できる機会をつくること、また、若い人々が国連機関で働くチャンスを増やすことなどが、議連のテーマと私は考えている。


 特に国連の幹部職員を増やすことによって、日本が国際的にイニシアティブを取って進めているプログラムを効果的に進め、またアピールすることができる。UNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)のトップであった明石康氏の存在や、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の緒方貞子氏の存在は日本に大きなメリットをもたらした。個人的には日本で、例えば外務大臣などの経験を積んだ人が国連機関のトップを目指す戦略があってもいいと思う。

 また、マネジメント、特に予算の使い方などに日本の経験やノウハウを反映させることで、チームワークや仕事の成果よりも個人の自由や権利を優先する国際機関の仕事の文化に影響を与えることもできる。実際に、国連は仕事における義務を果たすよりも権利を主張する人が多く、恐ろしく非効率的な官僚組織でもある。遥かに安い報酬で、当事者意識を持って現場でスピード感のある活動しているNGOの方々からすると、不条理を感じることも多い。民間企業出身の方にとってはあり得ないと思うことも多いはずだ。

 私自身、東ティモールの選挙支援にNGOであるインターバンド&ANFREL(Asian Network for Free Elections)の一員として関わったことがある。住民に対する教育プログラムを提案するため、当時選挙を技術的に支援していたUNDP(国連開発計画)に何度も通ったことがあったが、責任者が延々と休暇を取り続けていたせいで、提案書が処理されず、せっかく調査をして書いた努力が台無しになった。

 「仕事よりもまずは自分の休暇」というメンタリティー、また、地道に仕事をするよりも自分の仕事の成果をプレゼンテーションする能力に長けた人が生き残る。そんな国連の文化は日本人には合わないとの声を聞くことも多い。日本が多くの分担金を払っている以上、こんな文化は変えていかなければ納税者としての国民の理解は得られない。そのために、使命感を持ってしっかり仕事をする日本人職員を増やす戦略を持ち、その職員を通して、日本が様々な面で国連においてイニシアティブを発揮する戦略を持つことも重要だと思う。国連では、ポストに空席が発生すると国連の内外から公募する方式が採られているが、ポジションが上になるほど政治力も必要だ。世界中から集まる優秀な人材との競争に勝ち抜き、日本人が職員、特に幹部職員に採用されるためには、戦略に基づいた側面支援が必要である。地味なテーマだが、国連に関わった一人としては当事者意識を持って取り組んでいきたい。



「行動する小集団」インターバンドの精神と私の活動

2012年06月09日 19時20分51秒 | ボランティア

 昨日は、私が理事を務めているNGO、インターバンドの今後の活動について、議員会館を訪ねてきた今井ひなたさんとお話をしました。私が講師を務める予定のミャンマー(ビルマ)の民主化支援の在り方を考えるセミナーについて、また、アウンサンスーチー議員が日本に期待している民主化支援を政治とNGOがどのように連携して実現していくか、今井さんと意見交換をしました。

 私自身、国会の中でミャンマーの民主化支援を考える勉強会を発足させ、民主化勢力の方々の意見を定期的に聞いてアクションを起こす場を作っています。国会議員である私はどうしても国会に拘束されますから、ANFREL(Asian Network for Free Elections)などと連携してフィールドで活動する部分はインターバンドに集う人々と協力していきたいと思います。

 インターバンドは紛争によって統治が困難になった国の平和構築や民主化支援を目的として首藤信彦衆議院議員が設立したNGOで、私も2001年から3年間ほど事務局長を務めていたことがあります。その当時は、首藤信彦衆議院議員の政策秘書もしていたので、昼間は国会の仕事をして、夜や休日にインターバンドの仕事をする。また国会が休会中はプロジェクトのマネジメントや調査のため海外で活動するというサイクルで365日活動していました。

 当時はカンボジアやパキスタン、東ティモールやアフガニスタンなどに大規模な選挙監視ミッションを派遣したり、カンボジアにおいて除隊兵士の社会復帰を支援するプログラムを実施したりしていました。

 ピーター・ドラッガーによると人類が最初に作った組織(バンド)は狩りをする組織だそうです。「数人がひとり何役もこなし、状況によって役割を臨機応変に変えながら、ひとつの目標に向かって走りながら考える」そんな運動エネルギーにあふれた個人の集合体を目指しているのがインターバンドです。日本政府の方針として、その国の内政干渉につながる可能性のある「民主化支援」という領域には踏み込まずにきています。従って、そのような分野で活動するNGOはおのずと政府から独立した立場になります。従って私たちは政府からのファンドを獲得することや組織を大きくすることではなく、いつでも必要な時にアクションを起こせる「行動する小集団」を目指しました。

 実は、企業献金集めや政治資金パーティーを行わず、自分自身が「行動する小集団」の一員であるべきとの私自身の政治活動のスタンスも、このインターバンドの考え方そのままでもあります。

 一方で、私は特にミャンマーにおいては、民主化支援や法整備支援を行って、環境や人権などの分野により多くの人々の意見が反映される状況を作ることが、日本のビジネスを行う上で、中国などへの優位性につながると考えています。従って「インターバンド」という場を効果的に活用して、現地の方々が求める社会の実現に、日本の政治や行政、ビジネスなどが連動して貢献できるような状況の礎をつくりたいと考えています。






 

 




第一回キルギス国際マラソンに参加して

2012年06月02日 21時39分22秒 | ボランティア

 第一回キルギス国際マラソンが開催されました。発案者の私は大会の実行委員長&ランナーとして参加しました。

 2年前の夏、初めてキルギスを訪れ、イシククル湖を訪ねた時、真っ青な湖水と、白く輝く4000~7000メートルの天山山脈が連なる湖畔の風景の美しさにただ感動。環境や文化に配慮した持続可能な形で開発できれば素晴らしい可能性を生み出すことを確信しました。この湖は長く幻の湖と呼ばれていました。ソ連時代、党幹部の保養所があり、重要な会議が度々開かれていたこともあり、外国人の立ち入りは禁じられていました。ユーリー・ガガーリンが宇宙から帰った後、ここで静養したことでも知られています。

 シルクロードの中心であり、東西の文化が交錯するこの地域で、平和や環境、そして友好をテーマに世界の人々が集う機会を作りたい。そのためにはイシククル湖の美しさを走りながら実感できるマラソン大会を実施しましょうよ! 私のそんな提案が広がり、キルギスの有力議員であるサマコフ議員が中心になって実現したのがこのイベントです。

 中央アジアで初めてのフルマラソンになったこの大会は、国家的なイベントとして大きな注目を集め、本当に温かい、明るい雰囲気で実施されました。私はこれまでフルマラソン、ハーフマラソンを含めて30回近くのマラソン大会に参加しましたが、ランナーもボランティアも、参加者全てがこんなに温かい雰囲気を作り出した幸せな大会は初めてでした。

 実はレース中に、近くの村で赤ちゃんが生まれました。その父親と村長は、私の名前をつけてもいいですか?と聞きに来ました。嬉しいのですが、いくらなんでもキルギス人に相応しい名前の方がいいはずと思い、いくつか候補を挙げてもらった中で私が決めることになりました。私に似た名前「ナルボト(昔の皇帝の名前)」をはじめ、いくつかの候補を挙げてもらいましたが、その中で私が選んで「クバヌチベック」という名前になりました。キルギス語で「幸せ」「喜び」という意味のこの名前。世界一美しい湖畔で、世界一幸せな大会の日に生まれた男の子に相応しい名前だと思います。

 この大会を、これからもずっと続く大会に育てたいと思います。また、標高1600メートル、保養所や温泉もあるこの地域は高地トレーニングにも適しており、観光資源としての魅力も世界屈指だと思います。皆さん、来年は是非、一緒に走りましょう!


写真上:スタート直後の私


写真上:ゴールする私。最後はダッシュで追いかけましたが、僅かに前のランナーには及びませんでした。


写真上:主催者として挨拶する私。大きな拍手と口笛で歓迎され、応えているところです。



写真上:女子マラソンの優勝者を表彰する私。表彰状には大会実行委員長としての私のサインが入っています。


写真上:女子マラソンの入賞者と。私は表彰状とメダルの授与を担当しました!


写真上:中央アジア各国やトルコなどから10社以上からテレビ取材を受けました。


写真上:ボクシング世界ライト級元チャンピオン、オルズベック・ナザロフ氏と。キルギス初の世界チャンピオンで国民的英雄でもある彼とは、今から20年前、協栄ジムで一緒にトレーニングしていました。2年ぶりの再会です。



写真上:イシククル湖と天山山脈の風景。


写真上:大会実施の中心になったサマコフ議員と娘さん。この5月に19歳になったばかりの彼女は、ミス・インターナショナル2011のキルギス代表です。


写真上:キルギス日本議連の国会議員たちと


写真上:多くのボランティアの方々が大会をサポートしてくれました。(大会前日)