博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『大武当』

2013年02月11日 | 映画
『大武当』

時は民国初期。アメリカ帰りの大学教授唐雲龍(趙文卓が演じてます)は、伝説の秘宝を求めて武当山へ。時に武当山では五百年に一度の武術大会が開かれることになっておりました。唐雲龍の娘の唐寧も在米華人代表として大会に出場することに。そして北平・天津代表として大会に出場することになったのは楊冪演じる天心。実は彼女の真の目的も武当山に隠された秘宝で、目的が一致した唐雲龍と天心は協力しあって秘宝を捜すことになりますが……

ということで日本での公開も決定した本作。世界遺産武当山のプロモーションにはなっていますが、武当派のいい所はあんまり無かったような…… というか、武当派の道士はやられ役でなければ悪役の扱いになってましたし。樊少皇(ルイス・ファン)演じる在家弟子の水合一も思ったより見せ場が無かったなと。誘致したいのは武当派拳法の入門者じゃなくて武当山の観光客だからこれでいいということなんでしょうか(´・ω・`)

ちなみに趙文卓の娘の唐寧は徐嬌が演じてます。『長江七号』(邦題『ミラクル7号』)で周星馳(チャウ・シンチー)の息子役として出てた子ですね。すっかりボーイッシュな美少女に成長してます。
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『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』

2013年01月14日 | 映画
『ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝』(原題:『龍門飛甲』)

胡金銓(キン・フー)監督の古典的名作『残酷ドラゴン 血斗龍門の宿』(『龍門客桟』)と、そのリメイクであるツイ・ハーク(徐克)監督の『ドラゴン・イン』(『新龍門客桟』)が3D映画で甦る!ということで、本作の3D字幕版を見てきました!

時は明朝成化年間。ジェット・リー(李連杰)演じる侠客の名を騙る女侠(ジョウ・シュン(周迅)が演じてます)が、ひょんなことからチェン・クン(陳坤)演じる西廠のボスに追われる宮女を助け出し、ともに砂嵐舞う龍門の宿へ。しかしそこは失われた砂漠の王国の秘宝を狙うならず者たちの巣窟となっておりました。そこへ更に宮女を追って来た西廠の面々も乱入し……

『ドラゴン・イン』を手掛けたツイ・ハークが監督してますが、ストーリー上で難しい話やらテーマは一切無し!冒頭から3Dの映像の真価を見せてくれると言わんばかりに李連杰と劉家輝の激闘が展開(しかももったいないことに劉家輝の出番はこれだけ)!剣や暗器が飛び出たりと武侠物の3D映像で見たい演出は一通り堪能できる!ということで、ここ数年古装では作品に恵まれていせんでしたが、遂にオレたちのツイ・ハークが戻ってきましたよ!アンディ・ラウ主演の『王朝の陰謀』なんていらんかったんや!……え、ラストのどんでん返しが唐突すぎる?こまけえこたあいいんだよっ!

ストーリーは『ドラゴン・イン』の続編的な内容になってます。ジョン・シュンが前作で龍門の宿で人肉饅頭を客に出してた若女将の3年後の姿ということになってるんですね。ジェット・リーも無影脚を披露してたりしますが、このあたりは古いファン向けのサービスということなんでしょう。あるいは次回作としてツイ・ハークとジェット・リーのコンビで『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』3Dを期待してもいいということなんでしょうかw
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『銅雀台』

2012年12月22日 | 映画
『銅雀台』

玉木宏演じる穆順と劉亦菲演じる霊雎は幼い頃に「虎の穴」のような所へと拉致され、周潤発(チョウ・ユンファ)演じる曹操を殺すための暗殺者としての訓練を受けることになります。そしてそれから10年。王朝交替を示す「四星聚合」を翌年に控えた建安24年、穆順は宦官として、霊雎は曹操の愛姫としてそれぞれ宮中に送り込まれ、曹操暗殺の機会を狙うことになりますが……

時系列としては関羽の死から曹操の死の間の話ということになります。穆順役として玉木宏がキャスティングされているのは、日本での公開を見据えての起用なんでしょうけど、その割には扱いが雑な気が…… 何か『天地英雄』(ヘブン・アンド・アース)での中井貴一の扱われ方を思い出させるものがありますね。

作品の主役自体も劉亦菲と玉木宏のカップル2人と見せかけて、実はチョウ・ユンファの曹操だったりします。『関雲長』がドニーさんの「俺様カッコいい」な作品だったのと同じような感じで、本作はチョウ・ユンファの「俺様カッコいい」な映画です。このあたりは『満城尽帯黄金甲』(王妃の紋章)でのチョウ・ユンファの役回りを思い出して頂ければよいかと。

『三国志』映画としてはアンディ・ラウの『三国之見龍御甲』(三国志)や『関雲長』よりはまじめに作ってますが、三国マニアにとっては五十歩百歩かもしれません……
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『四大名捕』(映画版)

2012年11月24日 | 映画
『四大名捕』

時は北宋。官府から銅銭の鋳型が盗まれ、偽の貨幣が都で流通。特務機関の捕神率いる「六扇門」と諸葛正我率いる「神侯府」がそれぞれ捜査に当たることになりますが、自分達の領分を侵す「神侯府」を快く思わない捕神は部下の冷血を「神侯府」に潜入させ、様子を探ることに。冷血は同僚となった下半身不随で車椅子の美女無情・メカニック担当の鉄手・元借金取り立て人の追命らとともに行動することになりますが、無情には人の心を読む能力があり……

ということで、温瑞安の武侠小説『四大名捕』の映画版です。「四大名捕」の筆頭無情の性別が女性に変更され(劉亦菲が演じてます)、読心術やテレキネシスが使えるなど大幅に設定が変えられているほか、冷血・鉄手・追命や、偽金造りの黒幕の安世耿が使う武功が武侠物の内功というより超能力に近いものになっていたりと、『X-MEN』のようなマーベル・ヒーロー物に近い演出になっています。本作は差し詰め『ファンタスティック・フォー』の中華版といったところでしょうか。

本作で「四大名捕」の出会いが描かれ、かつ続編を意識した終わり方になっているので、今後作品のシリーズ化及び積極的な海外展開を図っていきたいということなんだろうと思うのですが、肝心の中身がそれほどでもないんですよね(´・ω・`) 出来が悪くないかわりに物凄く良いというわけでもない微妙な感じです……
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『リンカーン/秘密の書』

2012年11月04日 | 映画
『リンカーン/秘密の書』

幼い頃に母親をヴァンパイアに殺されたエイブラハム・リンカーンは、母親の仇を討つためにヴァンパイア・ハンターのヘンリーに弟子入り。ヘンリーの指令によって夜な夜なヴァンパイア狩りを続けるリンカーンですが、当時アメリカの南部は白人がヴァンパイアに「餌」として黒人奴隷を供給するという体制が確立され、ヴァンパイアたちの帝国と化しておりました。そこでリンカーンは奴隷制の廃止がヴァンパイアの根絶につながると考え、政治家としての道を歩むことになります。

そしてリンカーンは大統領として北部の世論を奴隷制の廃止へとまとめあげ、南北戦争の火ぶたが切って落とされるわけですが、ヴァンパイアたちのボスのアダムは当然南軍に肩入れし、北軍は南軍のアンデッド軍団に苦戦を強いられることに……

奴隷解放宣言で知られるリンカーン大統領が実はヴァンパイア・ハンターだった!という衝撃的な設定も、上記のようなストーリーだとごく自然に感じられますよね?……ね? こういう伝奇作品が歴史大作のふりをして堂々と上映されてしまうということは、荒山徹の小説の映画化も意外とイケるんちゃう?と思ってしまったのですが……

しかしこの映画の上映時によりによってスビルバーグ監督の『リンカーン』(こちらはたぶん真面目な歴史感動巨編) の予告編が流れたのは、悪い冗談であるとしか思えません(^^;)
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『おおかみこどもの雨と雪』

2012年08月19日 | 映画
ブログなどで感想を見てると、色々不穏な要素に満ちているらしいということで、細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』を見てきました。

東京で一人暮らしをしていた女子大生の花は、もぐりで大学の講義を受けていた狼男と出会って同棲生活を開始し、雪と雨の二人の「おおかみこども」に恵まれますが、狼男の方が花や子供たちを残して急死。狼男と人間とのハーフをどう育てたものか戸惑い、子供たちの正体が露見するのを恐れた花は、意を決して人気の少ない田舎に引っ越すことにしますが……

「花と狼男との恋愛話はメインじゃないんで!」ということで、二人の出会いから田舎に引っ越すまでが90年代の香港映画並みのスピード展開でワロタw (褒めてます) しかし狼男の遺体がポリ袋に放り込まれてゴミ収集車に回収されていくシーンは軽くトラウマになりそうでしたが……

で、人目に触れにくい一軒家で農業をやりつつ三人で暮らしていくと決めたものの、畑仕事のやり方がわからず、かと言って雪と雨のこともあるのであんまり人には頼りたくないということで、移動図書館で借りた本を頼りに野良仕事に励む花。こちらのブログ(『おおかみこどもの雨と雪』におけるヒロインの怖さ:愛書婦人会)を参照しつつこの場面に注目すると、いわゆる「意識の高い」お母さんが自然食品とかロハス生活にハマっていくメカニズムが何となく見えくるような気がします。

そして物語の後半では、雪と雨の姉弟が自然界の中で狼として生きるか、それとも狼に変身できるという秘密を抱えつつ人間として生きていくのかという決断を迫られていくわけですが、弟の雪が自分の見込んだ「先生」に弟子入りするという武侠的展開(どういう事情で何に弟子入りするかは見てのお楽しみ)も見所のひとつです。

この作品、例えば舞台がアメリカであれば「狼に変身できるのも個性のひとつだよ」という展開になったと思われ、欧米に限らずタイやインドなどが舞台でもまた違った展開になったはずですが、今の日本を舞台とする限り、残念ながら「狼に変身できることを隠して生きる」という本作の展開がごく自然なものに感じられます。

いろんな方面で物議を醸しそうな不穏な要素に満ちた本作ですが、心のモヤモヤを喚起するという意味では同じ監督の作品の『サマーウォーズ』よりずっといい作品だと思いましたよ?

しかし本作の最大の謎は、狼男がどうして大学のギリシア哲学だか古代ギリシア史だかの講義にもぐりこんでいたのかですが、労働に励みつつ何かのはずみで学問の面白さに目覚め、独学の手段を探っていたのだと考えると何だか泣けてきました(´;ω;`) 大学って一般に開かれているように見えて、本作で触れられていたように図書館の利用制限とか、意外と部外者に冷たい面があるんですよね……
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『黄金大劫案』

2012年08月14日 | 映画
『黄金大劫案』

舞台は満州国の首都新京。チンピラの「小東北」は、ひょんなことから満映の大女優「芳蝶」を頭目とする抗日組織「救国会」に加わり、関東軍の金塊を強奪することになるが……ということで、作品自体はよくある(?)抗日コメディですが、こちらのブログ↓によると、新京の風景をCGで再現しているということで見てみることに。

「黄金大劫案」:『マダム・チャンの日記』

新京というのは今の長春のことですね。手持ちの資料や現在の長春の風景から察するに、必ずしも当時の風景を忠実に再現したというわけでもなさそうですが、それでも当時の雰囲気はかなりよく出ているんじゃないかと思いました。











現在の長春に残されている満州国時代の建築物については、当ブログの以下の記事を参照のこと。

「旧満州国建築」
「旧満州国建築その2」
「旧満州国建築その3」
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『武侠』(邦題:『捜査官X』)【一部ネタバレ有り】

2012年04月29日 | 映画
ということで、昨日『捜査官X』こと『武侠』を見に行って来ました。Xって一体何やねんと思ってたら、金城武演じるシュー(Xu)の頭文字らしいです。その発想は無かった……

舞台は四川のとある少数民族の村。ひょんな事から甄子丹(ドニー・イェン)演じる村の職人さんが外地からやって来た凶悪な逃亡犯2人組を倒してしまいますが、街から捜査に派遣された金城武演じる警察官がドニーさんの身元を不審に思い、あれこれ詮索した結果、彼が西夏族による暗殺者集団「地煞七十二星」のナンバー2であったことを知ってしまいます。

そして「地煞七十二星」の教主で、10年前に逃亡した息子のドニーさんの行方を探っていた王羽(ジミー・ウォング)も村に到来。このジミーさんが登場することで作品全体の雰囲気が変わるというか、まるっきり違う作品になります(^^;) 特にジミーさんがドニーさんの息子、すなわち自分の孫にムリヤリ豆を食べさせる場面は、うっかり子供に見せたらトラウマになりそうなレベルです。

幼い頃母親によく「悪いことしてると怖いおじさんに連れて行かれますよ」という脅しを聞かされたもんですが、この「怖いおじさん」を映像化するとこんな感じになるのかなと。この作品がPG12指定というのも納得出来ますw

そしてドニーさんと金城武がジミーさんに勝ち目のない戦いを挑むことになるわけですが、衝撃のラストシーンを見て隋唐物に出て来る李元覇の最期を思い出したのは私だけではありますまい。……えっ、私だけですか(^^;) 
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『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)

2012年03月20日 | 映画
『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』(原題『楊門女将之軍令如山』)の中文DVDを見てみたわけですが、まずは↓の日本語版予告編をご覧あれ。



これだけ見ると「どんなトンデモ映画w」ということになりますが、実際のストーリーは……時は北宋。西夏遠征に出ていた楊家将の第3代当主楊宗保が戦死したという知らせが伝わり、悲嘆に暮れる天波府。しかしそこへ楊家唯一の男子となった楊宗保の子楊文広にただちに出征せよという非情な勅命が。実はこれは楊家の男を根絶やしにしようとする朝廷の奸臣たちによる陰謀であった!楊文広を守るため、楊家の実質上の主である佘太君、文広の祖母六娘柴郡主、そして文広の母で山賊出身の穆桂英ら楊門女将もともに出征することになり……

ということで、実体はごくありふれた中華アクション映画というか、『楊家将』映画です。本当の敵は西夏軍などではなく味方であるはずの朝廷の奸臣だったり、忠君愛国?なにそれ、おいしいの?という展開になる所までしっかり『楊家将』してます。中国ドラマの『楊家将伝記』(原題『少年楊家将』)など、近年の『楊家将』映像作品が忠君愛国の尊さを訴えているように見せかけて、実は忠君愛国のバカらしさをさらけ出すという原典のテーマをスルーする傾向にある中、本作では一応そのテーマに触れているあたり、評価すらできるぐらいです。

しかも「天門陣」とか「降龍木」、「太祖皇帝が柴氏皇族に授けた免死鉄券」(楊文広の祖母六娘は宋に禅譲した後周の皇室出身で、太祖の義妹として宋の皇室に準じた待遇を受けている)など、観客が『楊家将』の物語を大体知っているということを前提にした用語が何の説明もなく出て来るのですが、日本語字幕ではこれらがどう処理されてるのか不安でたまりません(^^;)

……まあ、この作品が色々とネタ要素に満ちているという点は否定しませんけど。でもこんなんで「史上最強のトンデモ映画」ということになるのなら、同じくセシリア・チャンが出演していた『PROMISE』は人類史上に残る世界遺産レベルのトンデモ映画とかいうことになるのでしょうかw
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『刀のアイデンティティ』

2012年03月19日 | 映画
昨日大阪アジアン映画祭の上映作品『刀のアイデンティティ』(原題:『倭寇的踪跡』)を見に行ってきました。

時は明代。舞台は江南のとある街。倭寇との戦いに従事した戚継光将軍の元配下が倭寇の日本刀を改良した長刀を手に、街を牛耳る四大門派に挑戦を仕掛けます。次々と使い手が敗れ去る中、四大門派最高の使い手裘冬月が隠居先より下山し、勝負を挑みますが……

ということで一応歴史的背景らしきものも設定されてはいるのですが、他の武侠映画とはかなり毛色の違った作品となっており、古龍小説式に話の筋など有って無いような展開となっています。まあ、ストーリーよりはシチュエーションを楽しむ作品ということになりましょうか。古龍小説との違いは、割とコメディ要素が強いという点と、登場人物が誰も死なない点です(^^;)

本作では裘冬月を金庸ドラマなどでお馴染みの于承恵が演じているわけですが、主役はあくまで長刀を操る戚継光の元配下だと思っていたら、EDのスタッフロールで一番上に名前が挙がっていたところを見ると、実は于承恵が主役だったようです(^^;) いつものカッコイイ于承恵に加え、武芸はまったくの素人という西域の娘にしてやられる于承恵とか、カッコ悪い于承恵も存分に拝めますw
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