博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

絵本楊家将 第11章 宋遼比武(後編)

2012年02月12日 | 絵本楊家将
第11章 宋遼比武(後編)

勅書を受け取ると、八姐と九妹が走り寄って来て尋ねます。「兄上、今回の出征に私たち姉妹も着いて行っていいでしょう?」楊六郎は二人の妹の武芸が優れているのを知っていますので、すぐさま承諾します。

当日、楊家の兄妹三人は兵を率いて晋陽へと赴き、ほどなく双方が腕比べを行う陣前に到着しました。遼将の招吉は槍法では自分の右に出る者はいないと思い込んでおり、槍を突き出して陣前で挑戦を呼びかけます。突然宋の陣営から一騎が飛び出してきましたので、みなが見てみたところ、まさに女将の楊八姐です。彼女は突撃して招吉と打ち合いを始め、数合もしないうちに、赤く細長い巾を放り投げ、招吉に絡ませて落馬させてしまいました。宋軍がすぐさま駆けつけて招吉を生け捕りにします。寇準は大喜びし、「誠にさすがは武門の娘ですな!」と褒め称えました。

この時、遼将の慶吉がまた挑戦にやって来ました。九妹はこれを見ると、大刀を振り回して陣から出撃し、慶吉と渡り合います。ただ二十数合戦っただけで、九妹は慶吉を一刀のもとに切り捨てました。九妹が陣に戻ると、寇準は続けざまに褒め称えます。「楊家にあなた方のような女傑がおられたとは、誠に朝廷にとってはめでたい限りですな!」

遼軍は続けざまに二人の大将を失ってしまい、総大将の土金秀は面目が丸つぶれとなり、馬を鞭打って出陣し、叫びます。「私と弓比べをする者はおらんか?」この時、楊六郎が槍を引っさげ馬を走らせて出陣してきました。六郎が笑って言いますには、「お前の弓術など大したことはなかろうに、どうして私の前で大口を叩くのか?」言い終わると、強弓を引いて三発の矢を連射し、すべてが的の中心を射貫き、兵士たちが一斉に喝采します。

六郎は弓を土金秀に渡して言いました。「私と弓比べをしたいというなら、まず私のこの弓を引いてみよ!」土金秀は弓を受け取ると、歯を食い縛って目をいからせ、死にもの狂いで力を出し尽くしましたが、弓の弦はびくとも動きません。土金秀は驚いて言いました。「このような強弓を引くことができるとは、本当に神のような人だ!」

宋軍では歓呼の声が響き渡り、土金秀はすっかり恥じ入ってしまい、遼兵を率いてしょげ返って幽州へと引き返して行きました。

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絵本楊家将 第11章 宋遼比武(前編)

2012年02月12日 | 絵本楊家将
第11章 宋遼比武(前編)

宋の太宗は高齢により、遂に病に倒れてしまいました。この日、太宗皇帝は八賢王と寇準を身辺に呼び寄せ、皇位を八賢王に譲ろうとしましたが、八賢王は固辞してしまいます。そこで宋の太宗は皇位を自分の息子の七王元侃に譲り、国家がもし危難に遭遇すれば、楊延昭を重用せよと言い残しました。西暦997年3月、宋の太宗は世を去り、七王元侃が位を継ぎました。すなわち宋の真宗です。

宋の真宗は王欽を自分の腹心の重臣であると思い込み、彼を東枢密使に封じ、謝金吾を枢密副使に封じて、政治の権限を握らせました。この日、王欽は蕭太后に密書を書き、彼女に宋の太宗が崩御し、また朝廷に良将がいないこの機に乗じて出兵し、宋を討伐するようにと勧めました。

蕭太后は群臣と協議し、巻簾将軍の土金秀が言いますには、「宋にはまだ少なからぬ名臣名将がおり、今出兵しても、勝てるかどうかはわかりません。私にひとつ方法がございます。陛下が宋の皇帝に書信をお送りし、やつらに辺境の晋陽まで来させて腕比べをさせるのです。宋がもし我々に勝つようなら、もう数年してから征討することにするのです。もしやつらが負けるようであれば、宋には人材がいないと断定でき、我らは安心して出兵し、中原を奪い取ることができましょう。」蕭太后はその通りであると思い、宋の真宗に挑戦状を送らせます。

真宗は挑戦状を受け取ると、早急に大臣たちを招集して協議します。寇準が言いますには、「我が堂々たる大宋に、まさかやつらに勝てる者がいないはずがありますまい。」真宗が言いました。「一人いることはいるが、その者は先帝の時代に潘家の父子を殺した事件によって鄭州に配流となり、今は都に戻っておるが、我らの方に借りが多いものであるから、その者が果たして出征を承知するものかどうか。」寇準は真宗が言っているのが楊六郎のことであると知りつつ言いました。「陛下が命令をお下しさえすれば、楊延昭は必ずや軍を率いて出征することを保証いたします。」

宋の真宗はこれを聞くと非常に嬉しく思い、ただちに楊延昭を遼討伐軍の先鋒に、寇準を監軍に任じ、大軍を率いて晋陽に応戦に行かせることにしました。

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