日清戦争 (中公新書)の感想
個人的には戦争の経過をまとめた第1~4章よりも、メディアや地方との関係、講和とその後の動きなどをまとめた第5章以下の話を面白く読んだ。日清戦争が朝鮮との戦争・清との戦争・台湾での戦争の3つによる複合戦争であること、三国干渉など日清戦争が外交で失敗した戦争であることについては納得。
読了日:7月3日 著者:大谷正
第一次世界大戦 (ちくま新書)の感想
開戦百周年ということで第一次世界大戦関連本が出まくっていますが、著者がこの分野の第一人者ということで、その真打ちとも言える書ではないかと。本書は大戦の背景・戦争の経過・歴史的な位置づけについて、新しい知見も交えつつ丁寧にまとめています。「第一次世界大戦」はどう呼ばれてきたかという呼称の問題、「総力戦」の定義、ヴェルサイユ条約はドイツにとって受け入れられないほど過酷だったのか等々、面白いトピックも盛り込まれています。
読了日:7月15日 著者:木村靖二
入門 老荘思想 (ちくま新書)の感想
最新の出土文字資料による研究の成果も盛り込まれているが、基本的にはタイトル通り普通の老荘思想の入門書。中国ドラマ『孫子大伝』で孫武・孔子・老子が会見するシーンがあることが取り上げられているが、この三者の対面シーンは他のドラマでも存在するので、春秋後期を舞台にしたドラマではお馴染みの展開ではないだろうか。
読了日:7月18日 著者:湯浅邦弘
「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学 (講談社学術文庫)の感想
「カイザーの国」の歴史学の流儀を「ミカドの国」で貫き通そうとした男たちの苦闘と挫折の軌跡。本書で扱う久米事件や南北朝正閏論争はイデオロギー的な問題であるとともに、アカデミックな議論が一般にどう受け入れられるか(あるいは受け入れられないのか)という問題でもあるように思う。大河ドラマの『平清盛』で噴出した「王家」問題に見られるように、お雇い外国人リースによって形成された日本の歴史学界が今後とも同様の問題に直面することになるのだろう。
読了日:7月22日 著者:関幸彦
プリニウス (1) (バンチコミックス45プレミアム)の感想
話題になっていたので読んでみたが、残念ながら今のところ考証の部分の面白さが物語やキャラクターの面白さにつながっていない感じ。同じ西洋古代物では『ヒストリエ』より一段落ちるなと…
読了日:7月22日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき
白蓮れんれん (集英社文庫)の感想
『花子とアン』の関係書ということで読んでみたが、ドラマで見覚えのあるエピソードがちらほら出てくる反面、ドラマに出てくる白蓮と伝助(本作の伝右衛門)は実際の人物像をだいぶ薄めていたんだなと思った次第。白蓮とともにその義妹の初枝を視点人物とすることで、伝右衛門だけでなく(こう言ってはナンだが)白蓮も相応にクズに見える。
読了日:7月25日 著者:林真理子
増補 靖国史観: 日本思想を読みなおす (ちくま学芸文庫)の感想
元のちくま新書版に第四章と與那覇潤氏による解説を加えた増補版。新書版を読んだ時にも思ったが、靖国神社が正義の皇軍が敗北するという可能性を想定した施設ではなかったこと、かつ「モダン」じゃない普通の日本人の感性にマッチする施設であることが問題をややこしくしているのだなあと。
読了日:7月29日 著者:小島毅
個人的には戦争の経過をまとめた第1~4章よりも、メディアや地方との関係、講和とその後の動きなどをまとめた第5章以下の話を面白く読んだ。日清戦争が朝鮮との戦争・清との戦争・台湾での戦争の3つによる複合戦争であること、三国干渉など日清戦争が外交で失敗した戦争であることについては納得。
読了日:7月3日 著者:大谷正
第一次世界大戦 (ちくま新書)の感想
開戦百周年ということで第一次世界大戦関連本が出まくっていますが、著者がこの分野の第一人者ということで、その真打ちとも言える書ではないかと。本書は大戦の背景・戦争の経過・歴史的な位置づけについて、新しい知見も交えつつ丁寧にまとめています。「第一次世界大戦」はどう呼ばれてきたかという呼称の問題、「総力戦」の定義、ヴェルサイユ条約はドイツにとって受け入れられないほど過酷だったのか等々、面白いトピックも盛り込まれています。
読了日:7月15日 著者:木村靖二
入門 老荘思想 (ちくま新書)の感想
最新の出土文字資料による研究の成果も盛り込まれているが、基本的にはタイトル通り普通の老荘思想の入門書。中国ドラマ『孫子大伝』で孫武・孔子・老子が会見するシーンがあることが取り上げられているが、この三者の対面シーンは他のドラマでも存在するので、春秋後期を舞台にしたドラマではお馴染みの展開ではないだろうか。
読了日:7月18日 著者:湯浅邦弘
「国史」の誕生 ミカドの国の歴史学 (講談社学術文庫)の感想
「カイザーの国」の歴史学の流儀を「ミカドの国」で貫き通そうとした男たちの苦闘と挫折の軌跡。本書で扱う久米事件や南北朝正閏論争はイデオロギー的な問題であるとともに、アカデミックな議論が一般にどう受け入れられるか(あるいは受け入れられないのか)という問題でもあるように思う。大河ドラマの『平清盛』で噴出した「王家」問題に見られるように、お雇い外国人リースによって形成された日本の歴史学界が今後とも同様の問題に直面することになるのだろう。
読了日:7月22日 著者:関幸彦
プリニウス (1) (バンチコミックス45プレミアム)の感想
話題になっていたので読んでみたが、残念ながら今のところ考証の部分の面白さが物語やキャラクターの面白さにつながっていない感じ。同じ西洋古代物では『ヒストリエ』より一段落ちるなと…
読了日:7月22日 著者:ヤマザキマリ,とり・みき
白蓮れんれん (集英社文庫)の感想
『花子とアン』の関係書ということで読んでみたが、ドラマで見覚えのあるエピソードがちらほら出てくる反面、ドラマに出てくる白蓮と伝助(本作の伝右衛門)は実際の人物像をだいぶ薄めていたんだなと思った次第。白蓮とともにその義妹の初枝を視点人物とすることで、伝右衛門だけでなく(こう言ってはナンだが)白蓮も相応にクズに見える。
読了日:7月25日 著者:林真理子
増補 靖国史観: 日本思想を読みなおす (ちくま学芸文庫)の感想
元のちくま新書版に第四章と與那覇潤氏による解説を加えた増補版。新書版を読んだ時にも思ったが、靖国神社が正義の皇軍が敗北するという可能性を想定した施設ではなかったこと、かつ「モダン」じゃない普通の日本人の感性にマッチする施設であることが問題をややこしくしているのだなあと。
読了日:7月29日 著者:小島毅