「日本はなぜ世界的なパッケージソフトが出ないか」シリーズ。今日は、もう一つの理由。
このシリーズでは、はじめに、パッケージソフトは1万個を2千円で売っても儲からず
5千円で売るか(単価を高くする)
10万個を売るか(個数をさばく)
のどっちかにしないとだめだということを書いた
で、前者の場合は、代理店政策を取るが、アメリカのソフトを日本で売りさばく、いい代理店はあるのに対し、日本のベンチャーが、アメリカで力を持っている代理店(たとえば米IBM)を探し出し、その代理店と交渉、契約していくのは、至難の業。
なので、日本からアメリカにソフトを広めるのは難しいと書いた。
今日は後者、個数をさばくほうについて述べたい。
個数を売りさばくためには、まずはじめに開発した後、テレビCMのような大々的なCMを打たないといけない。代理店を利用したプッシュ戦略では、限度があり、10万レベルになると、お客さんが自ら買いにくる、プル戦略をとる。
この開発・CMにお金がかかる。まあ、10億ぐらいか。。そして、その資金を集め、回収するまでには、ふつう1年くらいかかるだろう。
しかし、10億のお金を集めるような人は、たいてい、お金が好き(お金を増やすのが好き)である。
そうでない人は、10億もあつめる危険なことをせず、せいぜい2、3億集めて、適当に売って、代理店政策に切り替える。10億ものリスクを取るのは、お金が余ってる企業か、リスクをとってでもお金を集めたい人たちである。
で、お金を増やすのが好きな人からみると、パッケージより、ネットのほうが、魅力的だ。
パッケージはお金が1年寝るのにたいし、ネットの場合、寝る時間はもっと少ない。
iDCを利用するようなネットビジネスであれば、自社で施設を持たなくていいし、そうでないにしても、施設をもったって、第二種通信事業者程度であれば、(10億じゃ、不安かもしれんが)、ある程度の資本を集め、銀行から、コミットメントラインの融資が引き出せる契約になれば、可能である(資本が少ないと、倒産の危険が大きくなる)。
ネットの場合は、技術というより、利用者を増やすことなので、宣伝によって、会員は増やせ、収入を上げられる。つまり安い広告費で、お金のもとが得られれば、安定した収入が、パッケージより手早く入ってくる。したがって、再投資もはやくでき、もっともっと儲かる。回転を早くするほうが儲かるのだ。
そうすると、まるで、ネット企業の人は、お金大好き!という論理になってしまう。
検証してみよう。
楽天の三木谷社長。。。もともと銀行員だ
ライブドアの元社長 ホリエモン。。
はじめはJavaHouseなどに投稿していたそうなので技術から来たかもしれないが、いまは、お金大好きな人といっても、差し支えないだろう。
サーバーエージェントの藤田社長
お金が好きかどうかはわからない。しかし、もともとこの人は営業(ホリエモンが作ったものを営業していたそうな)なので、技術の人ではない。今はどうかわからんが。。
ソフトバンクの孫社長
みてくれできめてはいけないが、お金すきそうだ(^^)なんたって、自分の会社に「バンク」ってつけちゃうくらいだから。。。
てなかんじで、ネット企業の社長は、(かなり、語弊や非難はあると思うが)お金好きだ。
では、ネットの人は、世界を目指さないのか?というと、ここで、お金好きがまた問題になる。
日本から、外国に進出するより、外国の企業を買収しちゃったほうが、儲かるのだ。めんどくさくないし。。お金が寝ないのだ。。
で、これが究極まで進むと、めんどくせー。日本の会社も買収しちゃえとなる。
究極の金の生み出し方は、
1.自社株の価値を上げる
2.高くなった自社株と交換して、企業を買収する
3.買収先企業価値を上げる
4.買収先企業を売り抜ける
なお、この方法で、売り抜けたお金を売上に組み入れると、あなたは、ホリエモンと同じことをやっている。
つまり、ホリエモンの方法は、究極のお金製造方法で、一歩間違えると違法、でもちょっと手前だと超あたまいい方法という紙一重なもんだ。
てなわけで、もう一つの理由。
パッケージソフトをつくって世界制覇するより、ネット企業をやって、海外企業を買収していったほうが、お金が早く、多く儲かるし(パッケージより、全然儲かると思う)、早く世界進出できる。
なので、お金儲けがしたくて、コンピューターをやる人は、パッケージより、ネット企業をやって、海外進出する。
でも、ネット活用の流れは、はじめの代理店的な政策を取っていた人にも大きく刺激を与えている。ただし、それらの人が勘違いしているのは、ネットはコスト0って思ってることだ。
そんなことはない。では、ネットにはどこにお金をかけるべきなのか(設備にちょっと、広告にいっぱい)なんかについては、今度、機会があったら書こうと思う。