語り部の民話を聞いた後に 折角来たから
遠野の居酒屋でも散策しようとたくらんだ
が その後に少し飲みながらのミーティングがあった
同行の仲間に楽しい人が多くて時間が過ぎるのも忘れた
少し遅くなったが居酒屋散策の想いは消えずにちらつく そんな時には
大徳寺小関宗園和尚の言葉が浮かぶ「いま行かなくていつ行くのだ」
S高校を退職したばかりのTぁか橋さんを誘って出かけた
外は暗くて駅前がどこかもわからない 踏切の向こうから
仲間としゃべりながら 自転車を引きやってきた若者に尋ねた
一緒の仲間と離れて居酒屋まで案内してくれた
駅前には居酒屋が点々としていた 賑やかな店があったが席がない
少し歩くと赤ちょうちんが見えた 焼き鳥と書いてある
ドアを開けた中はホールが広く 薄暗くカラオケの灯りが輝き
サヨさん似のおばあさんがカウンターの中からほほ笑んでいる
「なんだここはスナックだったのか」というと
一人だけの客が 「んだ オレも居酒屋と間違えただあ」
ということで気があった Tぁか橋さんはその客の横に座り話しこんだ
大槌町で家を流されたこと いま着ているシャツは逃げるときにきていたもの
ズボンはもらったもの 震災後はじめて飲みに来たこと
弟の子供の面倒をみることになったが兄弟の子でも預かると苦労があること
近くの親戚は皆知らん顔して一人も来ないと愚痴ったりもした
それでも優しい人で犬の分までは配給がないので
支給された自分の食べ物を愛犬に分けたやったことや
避難した共営住宅の人達はみな仲良くしてくれることが嬉しいと語った
スナックは焼き鳥もあった 30年前焼鳥屋から始めたが
カラオケブームでスナックに衣替えしたと しわくちゃの顔をして言った
カラオケブームには乗ったがそのころは若かったのだろう
ブームが去ったのを気がついていない それはだまっていた
以前hanaさんから送ってもらった遠野ホップの地ビールがあった
懐かしく頂いた さほど飲まないがあまり遅くなると明日にさしつかえる
早々店を出た 外は雨になった 駅まで急ぎタクシーで支援センターに帰った
部屋は消灯して皆が寝ていた 頭を踏みそうになった 耳栓をして寝た どんどばれ