2021/02/04
『しょぼい生活革命』内田樹×えらいてんちょう(矢内東紀)著 晶文社 2020年1月発行
この本は本当におもしろかった。
本のサイト ↓ おふたりの動画もあります。
https://www.shobunsha.co.jp/?p=5584
読む前は、「えらいてんちょう」って誰?と思いましたが、えらいてんちょう=矢内東紀さんは、内田氏によれば「まことに稀有な家庭にお育ちになりましたねえ」
矢内さんのご両親は東大全共闘の生き残り。
「父は亡くなっているが、生きていれば78歳くらい。母も東大生。兄は25歳くらい離れている。父は安田講堂事件のとき東大の院生、その中にいて逮捕された。両親はかなり特殊な毛沢東主義気味の10人か15人くらいのノンセクトコミューンを維持して、そこの子どもとして育てられた。6歳ごろまで誰が母親か知らなかった。」
私は今の時代に、まだそんな人々がいて集団生活をしていたということに、まず驚きました。
本の紹介文から。
ほんとうに新しいものは、いつも思いがけないところからやってくる!
仕事、結婚、家族、教育、福祉、共同体、宗教……私たちをとりまく「あたりまえ」を刷新する、新しくも懐かしい生活実践の提案。しょぼい起業でまっとうな資本主義を再生/ もののはずみで家族になる/ 国家が掲げる大義名分より仲間が大事/ 欲しいものがあればまずそれを他人に与えるところから/ 話はどんどん複雑にする/お金は「思いがけない使い道」に……。
世界を変えるには、まず自分の生活を変えること。熟達の武道家から若き起業家へ、世代間の隔絶を越えて渡す「生き方革命」のバトン。
これまでにも内田氏の本は何冊か読んでいたのだが、この本で内田氏のイメージが少し変わった気がします。
つまり、アカデミックな哲学者、思想家、研究者というイメージと少し違い、もっと宗教がかったといったらよいのか・・・。
「○○とは、実はこういうことなんです」と話す言葉は、ただ知識が豊かとか学識があるというだけで生まれるものでもなく、その解釈や考察には驚かされます。
ああ、そうなのだろうな、そういうことだったのね、と新しい視点を与えられます。学校教育や、資本主義についての考え方など。
「しょぼい」というのは、巨大ビジネスに対しての小さな、そこそこ生活していければいいビジネス、という意味のようです。
えらいてんちょうさんの結婚の話、しょぼいビジネスの話、You Tuberの話もおもしろかった。今の若い人は、こういうことを考えているんだと思いました。
興味深くて、刺激された本でした。