山野颯想

山野走、山野歩、山野逍遥など、山野にかかわる事柄を中心に記載しています。

裏六甲・不動岩(心地好い緊張感と安堵感)

2012年06月09日 | 岩登り
Sii234_3                                                                          ◆撮影:2010年6月6日、道場駅より不動岩への路にて (ブタナ)

201263日(日) 

T山の会』

<裏六甲・不動岩>

■参加者:Abeちゃん、BAさん、MOくん、yusun

心地好い緊張感と安堵感

中高年四人組の登攀である。このメンバーのとき、リーダーであるMくんは僕のパートナーとして必ずBさんを指名するのだが、その理由は明らかだ。「yusunは墜落する可能性が高い」と考えているからで、リードする僕が万が一墜落したときに止めることができるのは、体重が50kgに満たないAbeちゃんでは無理という判断なのだろう。

午前中、Bさんと東壁を攀じるとき、微かな雨粒が我が肌に触れるのを感じたがそれは瞬時のことで、時間の経過と共に、岩登りに夢中になる間にいつしか止んでいた。そして漸次好天へと変化し、午後に入ると高積雲が天空を覆い始めていた。岩壁にテイカカズラの白花があった。

午前中に2本(3ピッチ)、午後にも2本(3ピッチ)の登攀であった。なかでも、最後に登った東壁ルンゼルートの左側の壁は僕にとって手強いそれとなった。墜落するかもしれないという感覚は皆無であったが、此処で落ちることはできないという意識が明確に働いた。1ピッチ目最後の一枚岩、その岩を左へと廻り込めば比較的容易に登れそうであったが、この一枚岩を無性に直進したくなった。何とか棚上に手がかかったのだがスタンスがない。両手で懸命に体を引っ張り上げようとするが、最後のピンにランナーをセットしてから5m以上登っているので、もしここで墜落しようものなら15mくらい墜落するのは明白であった。マントリングで棚上に身体を置いたときには、我が胸は躍っていたし顔面から汗が溢れ流れ出していた。また左手に痙攣が生じた。3本目の中央稜菱形ルートを登ったときには、このような心地好い緊張感と安堵感を味わうことはなかったゆえ、心底より堪能することとなった。

このルートに取りつくとき、右手岩隅に供華があるのに気づいた。それはすっかり枯れていたのだが、M くんが言うことには、今年に入って事故があり60歳台の方が亡くなったのだという。帰宅した20時、天空にまん丸い月があった。

コメント
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