活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

近畿大学の中央図書館で貴重書を

2007-04-04 12:45:11 | 活版印刷のふるさと紀行
 印刷文化懇話会神田川大曲塾ーちょっぴり長ったらしいので恐縮ですが、これが
私が所属している「印刷文化史」のサークルの名前です。
 メンバーには印刷博物館関係の方もいらっしゃいますが、編集者、カメラマン、
グラフィックデザイナー、主婦、外国人の大学教授、探検家と職種は多彩、年齢はいまのところミドルエイジがやや多しですが、なかなかの異色サークルです。

 さて、このたび、その大曲塾で、近畿大学の中央図書館にご無理をお願いして、ご所蔵の貴重書を拝観する機会が持てました。どこの大学図書館でも、学外の人間では滅多に望めないことなので、近畿大学に心から感謝と敬意を持った次第です。

 さて、そこで私が対面したすばらしい本の1冊が、この『天正遣欧少年使節対話録』です。1590年、少年使節たちはマカオまで帰って来ます。この本はインドで彼らを出迎え、いっしょに日本に赴くことになったヴァリニャーノの企画です。彼らからヨーロッパでの見聞を聞きとり、対話形式でまとめたスペイン語の著作をデ・サンデにラテン語訳させ、それをドラードたちが印刷しました。リスボンで積み込んだ印刷機、活字などを使って本格的な「本の印刷」に挑戦したわけで、場所はマカオでも、日本人がはじめてグーテンベルク方式の「活版印刷」に取り組んだものといえます。

 おそらく、製本はあとで手を加えたものでしょうが、本文の印刷はしっかり見ることができました。もちろん、マスクをし、手袋をして、ケースごしに拝むわけですから手触りまではわかりませんが、「1590年に、これを印刷したのだ」と感動していると、メガネが曇って‥‥

 大曲塾に入塾したい方、歓迎です。

 
 
コメント (1)
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