活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

想説/活版印刷人あれこれ20

2009-09-25 11:22:06 | 活版印刷のふるさと紀行
 神田川大曲塾の9月の勉強会は塾生でもある金子栄輔さんの『日本人の東アジア認識』というタイトルのレクチュアでした。
 タイトルを見ると、いかにも今日的な東アジア諸国提携論みたいですが、さにあらず、「地理書から読み解く」というサブタイトルがついています。
 
 金子栄輔さんは塾生のなかでも異色の人で、株式会社カネコの社長として印刷企業の経営にあたるかたわら、日本大学大学院の総合社会情報研究科で国際情報を専攻されました。その博士論文がそのまま今回の勉強会のタイトルになったわけですが、パワーポイントを駆使した大変興味ぶかい内容でした。

 「いったい、日本にもたらされた世界地図や地理書が日本人の世界観にどのような影響や変化をもたらしたのか」がレクチュアのテーマでありました。
 とりわけマテオ・リッチの『坤與万国全図(こんよばんこくぜんず)』が日本人に与えた衝撃について詳説されたのが、印象的でした。

 ここでお断り、「想説/活版印刷人あれこれ」から、若干、逸脱した内容ではないかと疑念をお持ちになるかもしれませんが、かねてから私は日本に活版印刷をもたらした天正遣欧使節と地図の存在の有無、あるいは彼らがどのような世界観を持っていたのか、彼らの頭のなかに世界地図はあったのかについて知りたいと思っておりました。

 1590年に帰国した彼らが翌年、豊臣秀吉にローマ土産として献上した品物の中に、アブラハム・オルテリウスの世界地図があったことは知られていますが、1582年日本をあとに出航したとき、彼らの手元に、はたして、世界地図はあったであろうか、彼らの世界観は?と疑問に思っていたからです。
金子さんのレクチュアにからめてそのことについて次回触れたいのです。
 
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする