活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

山本隆太郎さんとの思い出1

2010-03-05 09:42:53 | 活版印刷のふるさと紀行
 「奇しくも」といってもいいかも知れません。山本隆太郎さんが
お亡くなりになる前日、六本木で神田川大曲塾の会議がありました。
 私たちはあの日、山本さん、あなたをお招きして「昭和の印刷人
だれかれ」のお話しをうかがうプランをみんなでねっておりました。

 井上源之丞・大橋光吉氏に始まって北島織衛・山田三郎太氏など
あなたが取材を通して見た「印刷人列伝」を話していただくことは
すでに内諾を得ておりましたから。 問題は会場をどこにするか、
対談や鼎談形式の方が肩がこらずにおもしろい話を引き出しやすい
のではないかという意見もでました。それが、なんと、その翌々日、
当のあなたの訃報をうかがうことになろうとは。

 それにしても、昭和がだんだん遠くなり、産業としての「印刷」
が大きく変貌を遂げる渦中で昭和に活躍した印刷人をエピソードを
ちりばめた回顧談にしていただけるのは、あなたを措いて他にはい
ないと塾員だれしもが思っておりましたから残念でなりません。
 今となってはの著書になってしまった『続・銀座の四つ角』調で
語っていただけるチャンスは二度とめぐっては来ません。。残念です。

 思い出します。1996年の夏でしたか、私は長崎の加津佐からあなたに
電話を入れました。「以前、先生がヒントをくださった日本の活版印刷の
ふるさとを訪ね歩いていますよ」と。
 「そりゃいい。取材結果をウチの『印刷雑誌』に発表してください」
それが1997年12月号から1999年1月号までの連載となり、のちに『活版
印刷紀行』として印刷学会出版部から出版されることになりました。


 
コメント
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