青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

越中黒部&能登半島一周ツアー その4

2006年05月11日 23時18分07秒 | 日常
(写真:通行止め)

宿泊者のみに許された、禁断の秘湯。
つか、Kenshin氏がブログで後追っかけしてるのは、早く書けというプレッシャーだと理解することにする(笑)。

続き。
部屋でダラダラしていると、ようやく仕事が一段落した宿のおばちゃん(女将と言う感じではないので変更w)から、「お風呂どうされますか?」と言うコールが。
ここ鐘釣温泉旅館には、いわゆる宿の内風呂と言う物は存在しない。黒部川の河原に自然に湧くお湯を囲っただけの、素朴かつ豪快な露天風呂が売りものの宿である。当然その辺りは事前リサーチ済みである。

だが、おばちゃん曰く、自然任せのそんな露天風呂の現状は、
大露天風呂は、今年の冬の雪で埋もれたまま(公式ソース出てた)
●本来宿泊客以外にも無料開放しているが、今年は河原の立ち入りを断っている
●河原まで降りる遊歩道も、つい3~4日前に重機を入れて無理やり整備した
●整備したと言っても応急処置であり、足場がかなり悪い
●危ないので、温泉までは宿の人間を付ける
●それでも行くなら、タオルだけ持って裸足で来いや
温泉と言うものはビバノンノ♪で入るもんであって、何でそんなバイオレンスな状況で…とおばちゃんの話を聞く全員の顔は好奇心でニヤけているのであったw

ともあれ宿の裏手から、全員裸足にビーサン(笑)で(やっぱ海の家かもここw)案内人のオヤジに連れられてまずは遊歩道を歩いてゆくと、ここで一応道は通行止めに終わっている。のだが、我々はオヤジに促されるままにトラロープをくぐってさらに先へ進む。ここからは河原の取り付きまで急な階段を降りて行く事に。「ぁしもときぃつけ」のオヤジの言葉。防護用ロープも雪で切れたままの階段を降りる降りる降りる。ついぞ最後はこんなハシゴまで出現する始末w
写真では高低差が判り辛い部分があるのだが、崖のわずかな隙間に作ったビニルトタン張りの脱衣所らしきものが…っつか、周りは岩場と泥かぶった雪しかないじゃねえか!服どうするの?
「服はそこの板っ切れの上に(ry」
脱衣所と言えども1畳あるかないかのそんな場所で男3人が服を脱ぐのだが、ちなみに服を脱ぐ位置から下を見るとこんな感じw。と言うか、男が服を脱ぐときはだいたい片足になるシーンがあるじゃないですか、あの体勢が一番怖かったね(笑)。なんかあったら崖下の湯船まで半ケツのまま墜落と言う悲惨コースが待っている訳で(笑)。
異常なシチュエーションがもう可笑しくてしょうがない我々、何とか板っ切れの上に服を脱ぎ捨て、ともかくご入浴
土嚢を積みまくって何とか形にしました!と言う感じの露天風呂の足元は単なる川砂。冬の間に積もった落ち葉やらワンカップの空き瓶やら誰が使ったか分からん軍手とか、湯船(?)の中は壮絶な状況で、川にそのまんま浸かっていると言う感じでイマイチ爽快感に欠ける(笑)。ビーサンを履いたままの入浴だが、意外にも川底からは青みがかった透明なお湯が結構な量でポコポコと湧いており、お湯自体はきれいなお湯である。
思い思いに湯浴みを楽しむ我々。「いや~、貴方とは色々な場所行ったけどこのシチュエーションは一番キてるねw」とへんしうちょからはお褒めの言葉(笑)。本当の露天風呂(?)はこんな状況で雪の下に埋没しており、「こらあかん」と言う状況(笑)。いつオープン出来んのかね?

一時間ほど遊んで(笑)、夕食の時間。
質素と言えば質素、山の宿と言えばこんなもんと言うメニュー。ご飯がいっぱい食えればそれで良い。つか、この旅行中はみんなよくメシ食ったよなあw
夕膳を運ぶおばちゃん登場。
「お風呂どうでしたか?」
いや~、どうしたもこうしたもないっす。堪能しましたっす。
どうやら露天風呂での大声が聞こえていたのか、「不便で足元悪いからどうかなって思ってたけど、若いっていいわねえ~w」とか言われました。

結構良く喋るおばちゃんの今年の鐘釣話ダイジェストは、
●トロッコ開通して4月下旬に来たら、倉庫が1つ雪で潰されていた
●お目当ての露天も雪に埋もれ、とても開けられる状況じゃなかった
●必死こいてみんなでさっきの露天風呂を掘り起こし底の泥を払ってハシゴを掛けた
●何とか体裁が整ったので、今日から泊まりをオープンさせた
●露天があんな状況なんで、泊まりは当面2組まで
(ちなみにもう一組我々と同い年くらいのカップルが宿泊していたが、オンナ連れであの露天に特攻するとはかなりいい度胸していると思いましたw)
●だから、我々が今年の鐘釣の一番風呂だそうだw
●それもこれもみんな私がかけた電話のせいであるらしいw
おばちゃんナイスファイト(笑)。
この自然厳しい黒部で、長く宿を守る誇りか。素晴らしい職業意識をありがとう!

食堂にはストーブが置いてあるがそれにしても日が落ちてくると寒い。まだまだ冬から抜けきれない黒部である。部屋はもっと寒いのかねえ、なんぞ言いながら部屋に戻ると布団が敷かれていた。3つ並んだ布団の上になんか置いてありますね。

おばちゃん、いくらなんでもこれだけじゃ寒いって(笑)
一同爆笑。

例えるなら、交通事故で瀕死の重症に陥りICUに担ぎ込まれたのにオロナイン塗られておしまいだった、と言う感じか(笑)。優しさは感じるが、なんかズレてましゅ。
>素晴らしい職業意識をありがとう!
ちょっと撤回させてもらおうか(笑)。
鐘釣の夜は更ける間もなく、ハードな行程に一同眠りに落ちるのであった。

翌朝
今日も天気は昨日に増して良い様子。身支度を整えて山を降りよう。
さらば鐘釣のおばちゃん。さらば、黒部に生きる人。

続く。
コメント
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