司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

改正会社法概説(3)~募集株式が譲渡制限株式である場合等の総数引受契約~

2013-12-07 05:06:26 | 会社法(改正商法等)
○ 要綱
第3部 その他
第3 その他
1 募集株式が譲渡制限株式である場合等の総数引受契約
 募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合(第205条)であって,当該募集株式が譲渡制限株式であるときは,株式会社は,株主総会の特別決議(取締役会設置会社にあっては,取締役会の決議)によって,当該契約の承認を受けなければならないものとする。ただし,定款に別段の定めがある場合は,この限りでないものとする。
(注)募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合(第244条第1項)であって,当該募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき等についても,同様の規律を設けるものとする。


会社法改正法案
 (募集株式の申込み及び割当てに関する特則)
第205条 前二条の規定は、募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
2 前項に規定する場合において、募集株式が譲渡制限株式であるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 (募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則)
第244条 前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。
2 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、同項中「の引受け」とあるのは、「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」とする。
3 第一項に規定する場合において、次に掲げるときは、株式会社は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、同項の契約の承認を受けなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
 一 募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式であるとき。
 二 募集新株予約権が譲渡制限新株予約権であるとき。


附則
 (募集株式に関する経過措置)
第12条 施行日前に旧会社法第199条第2項に規定する募集事項の決定があった場合におけるその募集株式については、新会社法第205条第2項、第206条の2、第209条第2項及び第3項、第213条の2並びに第213条の3の規定は、適用しない。


 この場合においては,株主総会議事録(取締役会設置会社にあっては,取締役会議事録)が添付書面として要求される(商業登記法第46条第2項)。

cf. 商業登記法
 (添付書面の通則)
第46条 【略】
2 登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
3・4 【略】

 なお,公開会社でない株式会社における割当先の決定(会社法第204条第2項)については,特に改正なしである。

cf. 平成24年9月2日付け「会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(2)」

 このような改正論点について,どのように実務を行うべきか。

 公開会社でない株式会社であり,かつ,取締役会設置会社である株式会社においては,割当先の決定(会社法第204条第2項本文)について,定款の別段の定め(同項ただし書)により,株主総会の決議を原則としつつ,取締役会の決議に委任することができるものとし,総数引受契約の承認についても,同様の規律を採用すべきである。

 例えば,次のような規定を置くことが考えられる。

定款
第○条 当社が募集株式の発行等を行う場合には,会社法第204条第1項の規定による決定は,株主総会の決議によって行う。
2 前項の規定にかかわらず,株主総会の決議によって,当該決定を取締役会に委任することができる。
3 募集株式を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には,株主総会の決議によって,当該契約の承認を受けなければならない。
4 前項の規定にかかわらず,株主総会の決議によって,当該承認の決定を取締役会に委任することができる。
※ この場合の株主総会の決議は,原則として,いずれも特別決議である。

 上記は,現行の会社法下においても,もちろん採用可能である。

 このような定款の別段の定めを置けば,募集株式の発行の手続に着手する前から新株の引受先が既に決まっている場合には,発行に関する株主総会の決議と同時に条件付割当決議を行い,引受先が決まっていない場合には,割当先の決定を取締役会に委任する決議を行うという運用が可能となる。

cf. 平成24年9月2日付け「会社法制の見直しに関する要綱案についての考察(3)」
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全銀協「経営者保証に関するガイドライン」を策定

2013-12-07 05:03:51 | いろいろ
「経営者保証に関するガイドライン」の策定について(経営者保証に関するガイドライン研究会)
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2013/12/05140000.html

「本ガイドラインは、保証契約時等の対応として、

(1)中小企業が経営者保証を提供することなく資金調達を希望する場合に必要な経営状況
(2)やむを得ず保証契約を締結する際の保証の必要性の説明や適切な保証金額の設定に関する債権者の努力義務
(3)事業承継時等における既存の保証契約の適切な見直し等

について規定しています。

 また、保証債務の整理の際の対応として、

(1)経営者の経営責任の在り方
(2)保証人の手元に残す資産の範囲についての考え方
(3)保証債務の一部履行後に残った保証債務の取扱いに関する考え方等

について規定しています。」
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改正民法(婚外子法定相続分規定の削除)が成立

2013-12-07 05:00:13 | 民法改正
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/articles/TKY201312040558.html

 平成25年12月5日,参議院で可決,成立した

 公布の日から施行である。


○ 民法の一部を改正する法律案
 民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
 第九百条第四号ただし書中「、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし」を削る。

附則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)
2 この法律による改正後の第九百条の規定は、平成二十五年九月五日以後に開始した相続について適用する。

理由
 民法の規定中嫡出でない子の相続分を嫡出である子の相続分の二分の一とする部分は憲法違反であるとの最高裁判所決定があったことに鑑み、当該部分を削除する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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