司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「令和元年改正会社法に係る法務省令案等の公表 ―2021年3月1日施行への実務対応の留意点―」

2020-10-21 17:45:47 | 会社法(改正商法等)
森・濱田松本法律事務所CORPORATE NEWSLETTER
https://www.mhmjapan.com/content/files/00043268/CORPORATE%20NEWSLETTER%20(Vol.37).pdf

 邉英基「令和元年改正会社法に係る法務省令案等の公表 ―2021年3月1日施行への実務対応の留意点―」が掲載されている。

 法務省令案を織り込んだ解説であるので,御一読を。
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中小企業等協同組合法によって設立された組合が所有する事務所や倉庫は固定資産税が非課税

2020-10-21 16:31:47 | 不動産登記法その他
京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/337854

 中小企業等協同組合法によって設立された組合が所有する事務所や倉庫については,地方税法第348条第4項の規定により,固定資産税が免税となっているが,京都府京丹後市では46年間にわたり誤徴収していたという。

京都新聞記事
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/385986

 また,京都府木津川市と京田辺市においても40年以上にわたり誤徴収。

 返済は20年分らしいが,行政の過誤であるのだから,全額弁償すべきではないだろうか。

地方税法
 (固定資産税の非課税の範囲)
第348条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
2・3 【略】
4 市町村は・・・・・中小企業等協同組合法・・・による組合・・・及び連合会・・・中央会・・・が所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に対しては、固定資産税を課することができない。
5~10 【略】
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執行裁判所から財産開示手続を受けたのに出頭しなかったとして開示義務者が書類送検

2020-10-21 00:02:35 | 民法改正
神奈川新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/fecc0868a057f86dd8079f820ae5d0cdb8b08910

 執行裁判所から財産開示手続を受けたのに出頭しなかったとして,神奈川県警は20日,民事執行法違反(陳情等拒絶の罪)の疑いで,開示義務者を書類送検。

 執行裁判所の呼出しを受けた財産開示期日において,正当な理由なく,出頭せず,又は宣誓を拒んだ開示義務者は,6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(民事執行法第213条第1項第5号)。

 改正法施行後,全国初の検挙であるそうだ。
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臨時国会の提出法案は「10本程度」

2020-10-20 09:19:54 | いろいろ
宮崎信行の国会傍聴記
https://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog/e/503924309f7c743cffdf44d8b789fe8b

 「生殖補助医療による母と父の法的位置づけを定める民法特例法案」(203衆法 号)=衆法務委・参法務委

 提出されるのであろうか?

cf. 令和2年10月16日付け「生殖補助医療に関する民法特例法案,臨時国会に提出へ」
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「存立は設立登記から100年」

2020-10-20 07:04:42 | 会社法(改正商法等)
日経産業新聞(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65195590Z11C20A0X13000/

 キリンビールが1907年に設立された当時,定款に存立期間の定めがあったそうだ。

定款第五條 當会社ノ存立期間ハ設立登記ノ日ヨリ向フ壱百箇年トス但期間満了ノ際株主總會ノ決議ヲ以テ之レヲ延長スルコトヲ得

 記事では,「「絶対に生き残ってみせる」という当時の経営陣の意気を感じる一文だ」とあるが,存立期間の定めは,当時としては,珍しくない感。

 株式の名義書換において,保証人2名以上が必要(第10条)というのが面白い。

 関東大震災で一部破損したらしい焼けた跡と,訂正印が味わいがありますね。

cf. キリンビール
https://www.kirin.co.jp/company/history/group/g2.html
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簡易合併において任意に株主総会を開催した場合の株式買取請求

2020-10-19 22:54:39 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2020年10月5日・15日合併号(商事法務研究会)に,実務問答会社法第45回「簡易合併に関する諸問題」が掲載されており,「簡易合併において任意に株主総会を開催した場合の株式買取請求」について論じられている。筆者は,邉英基弁護士・元法務省民事局付。

【要旨】
 簡易合併の要件を満たす場合において吸収合併存続会社が任意に株主総会を開催したときは,当該株主総会において反対をした株主(会社法第797条第2項第1号イの要件を満たした株主)は,株式買取請求をすることができる。

 私は,簡易組織再編の要件を満たす以上,株式買取請求が行使可能となる余地はないと理解していた。

 例えば,

「平成26年改正後は,797条1項ただし書が「796条第2項本文に規定する場合」(=簡易組織再編の基準に該当する場合)を明示的に反対株主が買取請求をできる場合から除いていることから,そのような場合に株式買取請求を適法に認める余地はないことになる」(小出篤「組織再編等における株式買取請求」(旬刊商事法務2015年4月15日号(商事法務研究会)12頁)

 平成26年改正前会社法下においても,

「簡易吸収分割・簡易新設分割を行う分割会社の株主について,任意の株主総会を行ったからといって株式買取請求が行使可能になるわけではないと解されている」(藤原総一郎ほか「株式買取請求の法務と税務」(中央経済社)18頁)。

であった。

 また,小松岳志「株式買取請求権が発生する組織再編の範囲」(岩原紳作・小松岳志編「Jurist増刊  会社法施行5年 理論と実務の現状と課題」(有斐閣)130頁以下においても,「存続会社等の簡易組織再編では株式買取請求権が発生しないとされた場合の実務的な観点からの留意点」と題する項において,上掲邉英基論文と同様の問題意識から,

「現行法の「株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合(会社法797条2項1号)という文言について,任意に株主総会決議を得た場合を明確に含む形に改正し,法定か任意かを問わず株主総会が行われた場合には会社法797条2項1号の「反対株主」には株式買取請求権が与えられるという規律であると明示されるか,又は,簡易組織再編の要件を満たす以上は,任意の株主総会によって株式買取請求権が与えられることはないという規律であるのかが法文上明確であることが,少なくとも実務的には望ましい」(135頁)

と述べられており,平成26年改正前から問題点として指摘されていたところである。

 そもそも会社法第797条の見出しは,「反対株主の株式買取請求」とあるが,同条の通知(第3項)又は公告(第4項)には,

(1)吸収合併存続会社において株主総会の決議を要する場合に,その株主が反対することによる買取請求権を保障するための通知又は公告

(2)吸収合併存続会社において簡易合併の要件を満たす場合(会社法第796条第2項本文に規定する場合)に,一定数の株主が反対することによる株主総会の承認手続を保障するための通知又は公告

の双方が含まれており,本来,この二つの手続を区別して規定を置くべきであったと考える。

 ところで,上記実務問答の設例は,上場会社間の吸収合併であるが,株式買取請求に係る株式の買取りは,効力発生日に,その効力を生ずる(会社法第798条第6項)ものとされており,振替株式にあっては,振替口座簿に記録されることとなるから,簡易合併 or not は,早期に明確である必要がある。

 すなわち,簡易合併の要件該当性と,請求株主の「反対株主」の要件該当性について,早期に確認する必要がある。上場会社において,念のため株主総会の承認を得るとしても,効力発生日の直前においても「簡易合併の要件該当性」に関して判断がつかないようであれば,さすがに手続を回避すべきではないか。

 とまれ,簡易合併の要件該当性について判断が難しいことから任意の株主総会を開催する場合に,会社法第797条第3項の通知又は第4項の公告を行うときは,株式会社の実務対応としては,その旨及び吸収合併に反対であれば会社法第796条第3項の定める期間内に反対の意思表示が必要である旨を明らかにしてすべきであろう。

 そうであれば,同項が定める一定数の株主の反対がなく,そして簡易合併の要件を充足していることが明らかになったときは,仮に一部の株主から反対があり,買取請求がされたとしても,買取請求権は存しないものとして対応することができると考えられる。

 というわけで,疑問を呈しておく。

 なお,会社法第797条第2項第2号の「前号に規定する場合以外の場合」とは,如何なる場合であろうか?

 そもそも同号は,株主総会の決議を要する場合以外の場合(簡易合併や略式合併等)の手当であるから,これらの場合に反対株主の買取請求が認められない以上,抜け殻(空振りの規定)となっているように思われるのだが。

 存置の必要があるのだろうか?
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会社法等の研修会

2020-10-19 17:17:40 | 会社法(改正商法等)
今後の講師等の予定。

2020年
11月19日(木)京都司法書士会会社法研究会(Webinar)※会社法
11月20日(金)京都司法書士会洛北支部研修会(京都市)※会社法
12月 4日(金)京都司法書士会洛西支部研修会(京都市)※相続法
12月22日(火)某会会員セミナー(Webinar)※会社法
実施日未定    某市相談員研修(Webinar)※民法改正
         某会某支部研修会(某市)※会社法

2021年
 1月16日(土)某会会員研修会(Webinar)※会社法
 2月20日(土)某会会員研修会(某市)※会社法
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「配偶者居住権の被保険利益と損害保険契約」

2020-10-19 15:22:20 | 民法改正
 旬刊商事法務2020年10月5日・15日合併号(商事法務研究会)9頁以下に,竹濵修「民法改正の保険契約への影響」があり,同論文において,「配偶者居住権の被保険利益と損害保険契約」が論じられている。

 気付かなかった論点であるが,重要な視点である。

「配偶者居住権は,居住建物の所有者を債務者としてその権利を主張でき,金銭的に評価可能な経済的利益として把握され,遺産分割等においてその評価額が算定されるものであるから,配偶者を被保険者として被保険利益となる適格性があると考えられる」

「配偶者居住権の設定によって建物所有権の内容が,利用権と価値権としての所有権に区分され,異なる権利者に分属する形となっていると理解できよう。そうすると,これら両方を全体として火災保険契約で補償しようとすると,配偶者と所有者の両者を保険契約者・被保険者として,いわば共有者のような形で火災保険契約を締結し,通常の建物(配偶者居住権がない状態)の価額で被保険利益を評価して保険価額を算定する方法が考えられる。この場合は,共有者の持分割合を定めるようにして,保険事故発生時にはその割合に従って保険金を支払うことにする。この方法は,配偶者と所有者が共同することができることが前提になる。配偶者が単独で配偶者居住権のみを保険の目的として火災保険契約を締結することは,現在の保険商品の考え方からすると,難しいのではないかと思われる」

 相続開始後,保険契約者及び被保険者を変更する際には,上記を失念しないようにである。
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自筆証書遺言書制度の利用状況について(令和2年9月まで)

2020-10-19 10:09:04 | 民法改正
自筆証書遺言書制度の利用状況について by 法務省
http://www.moj.go.jp/content/001327091.pdf

 令和2年9月の遺言書の保管申請件数は,やや減であるが,遺言書情報証明書の交付請求件数は,一気に13件。

 遺言書保管所に出頭して遺言書の保管申請を行ったのに,たちまち(2か月前後で)亡くなったということ?
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生殖補助医療に関する民法特例法案,臨時国会に提出へ

2020-10-16 18:39:16 | 民法改正
毎日新聞記事
https://news.yahoo.co.jp/articles/05790169c045a75a2a6cc38e5dcc0ae1b5674106

 単なる環境整備法案ではないらしい・・・。

「自民、公明、立憲などは、不妊治療で夫婦以外の第三者の精子や卵子を使って出産した場合の親と子の法的関係を定める民法特例法案を、26日に開会する臨時国会に提出する。生殖補助医療によって生まれた子どもの親子関係について、法律上の規定はなく、法案では出産した女性を「母」、第三者の精子提供に同意した夫を「父」とする。臨時国会で成立する見通しだ・・・・・一方、国内で事実上禁止されている代理出産については、法案の成立後に2年程度かけて検討する。」(上掲記事)

 こういう大きな問題について,法制審議会の議論を飛ばして,特例法を定めてよいものであろうか。

cf. 法制審議会 -民法(親子法制)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi0350004.html

 平成13年から平成15年にかけて議論されたことはあるのだが,中間試案の意見募集をしたところで,停止している。

cf. 法制審議会 - 生殖補助医療関連親子法制部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingikai_seishoku.html -->
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法務大臣閣議後記者会見の概要「選択的夫婦別氏制度に関する質疑について」

2020-10-16 14:02:19 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和2年10月13日(火))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00131.html

〇 選択的夫婦別氏制度に関する質疑について
【記者】
 橋本男女共同参画担当相が,先日の閣議後記者会見の中で,選択的夫婦別氏制度について,12月に閣議決定を予定している「男女共同参画基本計画」に盛り込む方針を示すなど,導入に向けて積極的な姿勢を示しました。橋本氏の発言の受け止めや,改めて,制度に関する大臣の考えをお願いいたします。

【大臣】
 御指摘の橋本大臣の御発言は,次期,第5次男女共同参画基本計画策定に向けた議論の中で,女性が活躍する上で,婚姻前の氏を引き続き使えないのは不便であるとのパブリックコメントが多数あったことや,与党内の動き等を踏まえたものであると承知しております。
 希望すれば結婚前の姓を名乗れる選択的夫婦別氏制度の導入の問題につきましては,我が国の家族の在り方に深く関わる事柄でございまして,平成29年の世論調査の結果を見ても,いまだ国民の意見が分かれている状況にございます。
 他方で,家族の在り方の多様化や女性の社会進出,また女性の活躍が進む中にあって,これらに十分配慮する必要があるのは確かなことでございます。国会における議論の動向も注視しながら,対応につきまして検討してまいりたいと思っております。
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有斐閣の決算公告

2020-10-16 13:48:47 | 会社法(改正商法等)
官報
https://kanpou.npb.go.jp/20201015/20201015g00216/20201015g002160128f.html

 資本金の額を減少(4億5000万→1億円)させる手続での官報公告で,同時掲載の決算公告をしている。

 中小企業税制の適用を受けるための減資であると推測されるが,法律系の出版社なのに,毎年の決算公告(会社法第440条第1項)を行っていないようだ。

 ん~。
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家族法研究会(第7回,第8回)

2020-10-15 19:15:36 | 民法改正
家族法研究会
https://www.shojihomu.or.jp/kenkyuu/kazokuhousei

 第7回会議が開催され,「未成年者を養子とする場合を中心とした養子制度の在り方
及び財産分与制度の在り方に関する論点の整理」について,また第8回会議が開催され,「父母の離婚後の子の養育の在り方に関する基本的視座及び父母の離婚後の子の養育に関する規律の在り方」について議論がされたようである。
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不妊治療の整備を図る法案を臨時国会に提出?

2020-10-15 18:39:25 | 民法改正
FNNプライムオンライン
https://www.fnn.jp/articles/-/95858

「自民党の野田聖子幹事長代行は、不妊治療を進めるための法案を10月26日に召集される臨時国会に提出したい意向を強調した。」(上掲記事)

「不妊治療への支援拡充を目指す議員連盟」の動きであるようだ。

 法制審議会では,第7回会議において,

「生殖補助医療の現状等に関して,苛原稔(徳島大学大学院医歯薬学研究部長)参考人からヒアリングを行った。その後,部会資料7,参考資料7-1ないし7-5,厚生労働省提供資料に基づき,嫡出推定制度の見直しに伴って,医療規制の立法が行われない状況において生殖補助医療により生まれた子の父子関係等の規律を設けることの可否について審議がされたが,この問題については,当面,関連する議論の動向等を見守ることとし,適切な時期に必要な範囲で議論を行うこととされた。」

という状況である。

 単なる環境整備にとどまるということであろうか。

cf. 法制審議会 -民法(親子法制)部会
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi0350004.html
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法務省「令和元年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」

2020-10-15 09:58:32 | 会社法(改正商法等)
令和元年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

「令和2年10月15日(木)に,12年以上登記がされていない株式会社,5年以上登記がされていない一般社団法人又は一般財団法人について,法律の規定に基づき,法務大臣の公告を行い,管轄登記所から通知書の発送を行いました。
上記の株式会社,一般社団法人又は一般財団法人に該当する場合には,令和2年12月15日(火)までにまだ事業を廃止していない旨の届出を管轄登記所にする必要があります。その旨の届出等がされないときは,解散の登記をするなどの整理作業を行います(会社法第472条,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条及び第203条)。」


 令和元年度は,株式会社32,711社,一般社団法人及び一般財団法人1,366法人について,みなし解散の登記がされたようである。

 会社法(平成18年5月1日施行)以降に設立された株式会社が整理のテーブルに載りだしたためか,解散したものとみなされた株式会社数が増加傾向にある。

cf. 休眠会社・休眠一般法人の整理作業について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00082.html
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