ろう者と聴者が共につくるデフ・パペットシアター・ひとみ30周年記念作品「森と夜と世界の果てへの旅」~それは、遠くて、近い、誰かの、私の物語~を10月23日(火)を宮崎市民プラザオルブライトホールへ観に行った。
原作は、エイモス。チュツオーラ(ナイジェリア出身)の「やし酒飲み」
ストーリーは、主人公ジュジュマンは、やし酒が大好き。やし酒名人のヤシオーが死んだのち、ヤシオーに会うために、世界の果てまでの旅に出る。途中、いろんな苦難に不思議な出来事に遭遇しながら、生きるという物語。途中、家族ができたり、恐ろしい赤ん坊が生まれたり・・アフリカの民話や民間伝承を基にした独特の世界観・・が表現されている。日本の古事記にも、黄泉の国へいくという話があり、民間伝承とはいえ、相通じるものを感じた。
人間の持つ深いこころの闇や愛情、善と悪など、目に見えない存在が人形たちによって舞台で表現される。主人公ジュジュマンは、ピンチも何度も訪れるが、乗り切って生きていく。
「・・・そもそも人間をやっていること自体、なにかなんやら。妙ちくりんな連中が飛び跳ねて悪さをする世界で、そんな世界の住人がたまたまいろんな仮面を被っているだけ、と思えば、ふうむ!と納得できなくもない」とパンフレットに書かれたあったが、奇妙な物語も人間世界の縮図なのかもしれない。
また、人形の動きも人のぬくもりを感じる箇所が随所にあった。印象的な場面は、奥さんの両親と死者のまちで出合った時、一緒についていこうとする妻、ひきとめる主人公。顔がライトのあたる角度でいろんな表情を見せたり、手の動きだけで想いが伝わってきたりと、人形劇の面白さを改めて感じた。
舞台は白に貴重にしたもので、深い闇や印象を表現していたし、ジャンベの音(木をくりぬいたものにヤギの皮をはられたもの)や鐘のような音も心地よく響いた。