U.S.A./Sylvia Telles
(Philips P630.453L)
(Philips P630.453L)
ボサノバはアストラッド・ジルベルトに代表されるような気ダルイ、アンニュイなボーカルがと特徴的なのかも知れません。小野リサさんなんかもこのライン上にいるのかな?シルビアの場合はよりエモーショナルで力強いホットなボーカルが特徴的であり,アメリカンジャズからサンバカンソンまで幅広くこなしてしまう独自のスタイルである意味ボッサの枠をこえてしまったシンガーと言えるのかもしれません。 本日はよりアメリカ色が強く出た一枚をアップしますね。
伴奏がBarney KesselとJoe Mondragonのギター/ベースの編成を考えると一枚の有名なボーカルアルバムに行きついてしまう。『ジュリー・ロンドン/彼女の名はジュリー』である。多分にこのアルバムを意識し、アメリカでのセールスを意図したUSA録音であったに違いないですよね。ケッセルの伴奏は4曲で聴けますが,いずれも抜群の唄伴です。また,ジャジーなカルビン・ジャクソンのピアノとベースのアル・マッキボンを相手に唄うシルビアのボーカルも収録されています。打楽器を一切廃してブラジル色を希薄にした企画でアメリカ受けを良くした姿勢が垣間見えます。収録曲ではA-1"Sabado Em Copacabana(土曜日のコパカバーナ)", B-1のジャクソンのピアノがいい"Cancao Que Morre No Ar(宙に消え入る唄),ケッセルのすばらしいギターソロも聴ける”Manha De Carnival"がアルバムの白眉です。このカーニバルの朝はジャズバージョンの中でも屈指の名演に挙げていい出来だと思います。
所有盤はカバーがぼろぼろですが,一応ブラジル・フィリップスのモノラルオリジナルです。音はケッセルのギターの音の厚さやジャクソンのピアノの輪郭もクッキリしておりなかなかの好録音ですよ!