BRAFF!!/Ruby Braff
(Epic LN3377)
(Epic LN3377)
一風変わったカバーですよね。モノクロ,陽気な老婆が陽気に笑いながらクラッピングしています。その傍らのドレッサー前でトランペッターを吹く白人小男。50年代初頭のアメリカ家庭なら何処でもあったようなショットです。中間照明のライト,レースのカーテン,ダブルハングの窓,花柄の壁紙,アメリカを強く感じる室内です。そして,右上に本当に控えめに"BRAFF"の赤い文字。Ruby Braffが控えめな男だったかは知るよしもないですが,このカバーは大きくロゴが使用されていないところ(むしろEpicのロゴがやたら大きく感じてしまいます。)とりわけ異色だと思います。
演奏は中間派,スウィング系の楽しいセッションです。三つのセッションから構成されていますが,美しいトーンのブラフのトランペットは勿論、幾多の中間派の名手のプレイが一度に味わえる御得用盤でもありますよ。A-1の"Stardust"での叩き付けるように刻まれるSteve Jordan(g)のリズムギターが実に気持ちよく、これに乗ったブラフの美しいトーンのプレイにまず心を奪われてしまいます。ピアノのDave McKennaも好演ですね。続く"Here's Freddie", "Indian Sommer"はリズムにFreddie Greenが加わりますが,彼のリズムギターは良くバウンドするスタイルで柔かく、彼がはいるだけで一転してベイシー風になります。ピアノはベイシー風となると,この人Nat Pierceしかいませんよね!Don Elliottのバイブも聴かれますが,これがなかなか余韻のある響きできもちいいですよね。B面はスタイル的に影響を受けたと思われるサッチモ風の"Moonglow", ほかにも"How Long Has This Been Going On", "S'Wonderful"等の佳曲がチョイスされ中間派ならではのリラックスした味が楽しめます。この他にもColeman Hawkins(ts)やLawrence Brown(tb)らのソロも中間派ファンにはたまりませんね。
所有盤はエピック,黒の縞模様が周囲にはいったyellow labelのモノ盤です。演奏、カバーとも捨て難い味の一枚と言えます。