『行政法』
まず,「基礎体力」という言葉がやたら出てきたので驚きました(笑)私は,論文試験と短答試験の関係と言う部分で,短答力は,論文突破の基礎体力がどれくらいあるか,という意味で考えるべき,というお話をしてきました。基礎体力がなければ,バットにボールが当たっても遠くまで飛ばせないよと。基礎体力=磐石な基礎があって初めて新司法論文対策だよと指摘して参りました。ある意味当たり前の事だとは思うのですが,行政法はやはり他の科目に比べ,この点を指摘したくなる事情,すなわち「基礎力の欠如」が目立つのでしょう。これは行政法の採点実感等で辛らつな表現があった(例:修了認定を厳格にすべきである等)こととリンクしていると思います。また,訴訟法部分に比べ実体法部分の力がガクンと落ちる,という指摘部分も関係してきます。2009年版フレーム講義やオープンスクールでは,採点実感等を踏まえ,「行政法は要求される知識レベルが上がってくると思われる」「
行政法Ⅰの範囲の論点を整理すべきである」的な指摘をしてきましたが,そろそろ,行政法も他の科目同様,ある程度知識力を試される論文試験に移行していくのではないでしょうか。論点についてのお決まりの論証も必要となりましょう。「論証パターンは行政法では要らないよ」という時代では無くなっていく可能性があります。基本論点についてはコンパクトに論じたうえで,仕組み解釈や事実評価を問う,というスタイルに進化していくと予想します。「せめて基礎体力は早いうちにしっかり養ってもらいたい」と言う指摘もあります。
「優秀答案」は,「事案の分析が的確であるもの」,「具体的な事例に即してきちんと書き分けているもの」,「法文の理解が正確であるもの」という要件が呈示されています。事案分析や書き分け論は,新司法試験ではもはや常識ですね。原告が4人出てきたら4人の属性,置かれた状況に差異があります。事案の特殊性です。これを無視したらお話になりません。「不良答案」のところでは,「具体的な事実を見ないで書いているとしか思えないようなもの,目の前にある事実との関係は一切無く,自分が教わってきた抽象的な原告適格の最高裁判決のテーゼのみを書いて,原告適格が認められるとしているような類のものが多い」「事実の分析が無く根本的な能力が身についているかが疑問に思われるようなものまである」「実体法の解釈を的確に行える能力があるのか疑問に思われるようなものまで」,「・・・その間の思考の過程が全く追えないような答案である」という指摘があります。まぁ,憲法と同じだな,という感じですが,公法系は受験生的には,鬼門・手ごわいと言うのが良く分かります。ちなみに「仕組み解釈」という言葉だけ振り回したって駄目ですから注意しましょう。自分はどう仕組み解釈をするのかしたのか,の思考過程を示さないと駄目です。
「実体法の方は・・・だから本当には理解していなかったというところがそこで露呈するというのが毎年見られる傾向である」「実体法に関する法的思考力が一番大事なところであるし,それこそ問いたいところである。しかしその部分では多くの受験生が低いレベルで競い合っているとするならば・・・」。実体法云々というのは,救済法だけやっておけばいいだろ,という受験生傾向に対する警告の意味合いと,個別法の解釈を試すぞ,という事を指しているので注意しましょう。正に仕組み解釈の能力のことを言っています。原告適格,処分性,訴えの利益,裁量論などで,どのように個別法を仕組み解釈をするか,できるかが問われています。もちろん行政法Ⅰで当然扱うような基本論点の理解も大前提です。ケースメソッド論文マスターの行政法のテキストはこれに完全対応していますのでご安心下さい。というかそういう事しかやってません。「新規の行政法規にぶつかった時に,決してめげることなく,それを読み解き,目の前にある事実に当てはめて結論を出すということを自力で出来るようになって,法曹界に出て行っていただきたい,そのような能力を見たい」との指摘がありますが,正にこの事が試されている,試したいとうわけです。救済法はあくまでも手段に過ぎません。
最後に「実体法で差がつかないと訴訟法の基本的な知識の有無で差がついてしまうこともありうるので,出題に当たっては更に工夫したい」というのが気になりますね。訴訟法部分で差がつくようにもするのか,実体法部分で差が付きやすいように工夫してくるのか。ただ「基礎力不足」を肯定する事になるような問題にはしないでしょうから,単純に簡単になる=レベルを下げるという事は無いでしょう。実体法部分の現場思考型を強め,誘導を効かせてくる事は予想できますね。仕組み解釈の具体的作法が今後何よりも重要です。それには個別判例の深い理解が不可欠です。
まず,「基礎体力」という言葉がやたら出てきたので驚きました(笑)私は,論文試験と短答試験の関係と言う部分で,短答力は,論文突破の基礎体力がどれくらいあるか,という意味で考えるべき,というお話をしてきました。基礎体力がなければ,バットにボールが当たっても遠くまで飛ばせないよと。基礎体力=磐石な基礎があって初めて新司法論文対策だよと指摘して参りました。ある意味当たり前の事だとは思うのですが,行政法はやはり他の科目に比べ,この点を指摘したくなる事情,すなわち「基礎力の欠如」が目立つのでしょう。これは行政法の採点実感等で辛らつな表現があった(例:修了認定を厳格にすべきである等)こととリンクしていると思います。また,訴訟法部分に比べ実体法部分の力がガクンと落ちる,という指摘部分も関係してきます。2009年版フレーム講義やオープンスクールでは,採点実感等を踏まえ,「行政法は要求される知識レベルが上がってくると思われる」「
行政法Ⅰの範囲の論点を整理すべきである」的な指摘をしてきましたが,そろそろ,行政法も他の科目同様,ある程度知識力を試される論文試験に移行していくのではないでしょうか。論点についてのお決まりの論証も必要となりましょう。「論証パターンは行政法では要らないよ」という時代では無くなっていく可能性があります。基本論点についてはコンパクトに論じたうえで,仕組み解釈や事実評価を問う,というスタイルに進化していくと予想します。「せめて基礎体力は早いうちにしっかり養ってもらいたい」と言う指摘もあります。
「優秀答案」は,「事案の分析が的確であるもの」,「具体的な事例に即してきちんと書き分けているもの」,「法文の理解が正確であるもの」という要件が呈示されています。事案分析や書き分け論は,新司法試験ではもはや常識ですね。原告が4人出てきたら4人の属性,置かれた状況に差異があります。事案の特殊性です。これを無視したらお話になりません。「不良答案」のところでは,「具体的な事実を見ないで書いているとしか思えないようなもの,目の前にある事実との関係は一切無く,自分が教わってきた抽象的な原告適格の最高裁判決のテーゼのみを書いて,原告適格が認められるとしているような類のものが多い」「事実の分析が無く根本的な能力が身についているかが疑問に思われるようなものまである」「実体法の解釈を的確に行える能力があるのか疑問に思われるようなものまで」,「・・・その間の思考の過程が全く追えないような答案である」という指摘があります。まぁ,憲法と同じだな,という感じですが,公法系は受験生的には,鬼門・手ごわいと言うのが良く分かります。ちなみに「仕組み解釈」という言葉だけ振り回したって駄目ですから注意しましょう。自分はどう仕組み解釈をするのかしたのか,の思考過程を示さないと駄目です。
「実体法の方は・・・だから本当には理解していなかったというところがそこで露呈するというのが毎年見られる傾向である」「実体法に関する法的思考力が一番大事なところであるし,それこそ問いたいところである。しかしその部分では多くの受験生が低いレベルで競い合っているとするならば・・・」。実体法云々というのは,救済法だけやっておけばいいだろ,という受験生傾向に対する警告の意味合いと,個別法の解釈を試すぞ,という事を指しているので注意しましょう。正に仕組み解釈の能力のことを言っています。原告適格,処分性,訴えの利益,裁量論などで,どのように個別法を仕組み解釈をするか,できるかが問われています。もちろん行政法Ⅰで当然扱うような基本論点の理解も大前提です。ケースメソッド論文マスターの行政法のテキストはこれに完全対応していますのでご安心下さい。というかそういう事しかやってません。「新規の行政法規にぶつかった時に,決してめげることなく,それを読み解き,目の前にある事実に当てはめて結論を出すということを自力で出来るようになって,法曹界に出て行っていただきたい,そのような能力を見たい」との指摘がありますが,正にこの事が試されている,試したいとうわけです。救済法はあくまでも手段に過ぎません。
最後に「実体法で差がつかないと訴訟法の基本的な知識の有無で差がついてしまうこともありうるので,出題に当たっては更に工夫したい」というのが気になりますね。訴訟法部分で差がつくようにもするのか,実体法部分で差が付きやすいように工夫してくるのか。ただ「基礎力不足」を肯定する事になるような問題にはしないでしょうから,単純に簡単になる=レベルを下げるという事は無いでしょう。実体法部分の現場思考型を強め,誘導を効かせてくる事は予想できますね。仕組み解釈の具体的作法が今後何よりも重要です。それには個別判例の深い理解が不可欠です。