合格者減と給付制度復帰運動

2010-04-16 12:43:31 | 司法試験関連
ここにきて,日弁連が修習生の貸与制度に関して反対の論陣を強く張っている。

「単純かつ純粋に」貸与制度を給付制度に戻す運動であれば,非常に喜ばしい話である。ただ警戒しなくてはいけないこともある。

そもそも貸与制度に切り替わった根本的な理由は,「合格者を3000人規模にするのなら,そんな金は出せない」という財務省の都合による。ただの財政難ではない。合格者が1500人から3000人に増えるなら無理だ,という理由である(もっとも,旧大蔵省時代から,修習生とキャリア組の初任給が同等扱いということにはカチンと来ていたらしいが)。

今のところ最高裁サイドは貸与制の準備を粛々と進めているようだが,警戒すべきは,「合格者減」と「給付制度復帰」をバーターでやられないようにということである。

「貧乏人が法曹への道を断たれるから給付制度にすべき」という主張と「3000人に給付は財政的に無理」という主張との丁度良い落としどころは,「人数減らすなら給付にしても良い」だからである。特に日弁連新会長は,「1500人規模まで減らすべき」派である。給付制度復帰と合格者減を関連付けていると見るのが素直であろう。新会長決定後急に日弁連が貸与制度への具体的な反対行動を開始したのも奇妙な「偶然」であろうか(日弁連は貸与制の問題点を指摘する意見書を公表してきたが、導入反対に向けた本格的取り組みはなかった。だが、日本弁護士連合会は15日、給費制の維持を訴えていくために緊急対策本部の設置を決めた)。

うがった見方かもしれないが,警戒すべきではある。最悪なのは貸与制度のまま1500人規模になることである。そうなったら完全に制度の後退であろう(喜ぶのは財務省だけ)。増員路線は維持しつつも当面2000人程度で様子を見つつ給付制度復帰,が現状では望ましいのではなかろうか。


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