平成21年度重要判例解説 吉野の独り言(刑事訴訟法編)

2010-04-08 16:29:21 | 司法試験関連
刑訴①
 超ド級に重要な判例。この判例ベースで出ても全然驚かない。強制処分・任意処分の判断基準と違法収集証拠排除法則という「最強デュオ」である。前者も関連判例の言い回し等しっかり復習しておきたい。昭和51年決定は超重要である。後者については関連判例も含め緻密な分析をしておきたい。解説5は参考になるところ。ケー論受講生の方は,本試験第1回過去問題の解説部分や補助レジュメの該当箇所の復習をしっかりやっていただきたい。昭和61年型(承継型)と平成15年型(影響型)について特に入念に。ところで本決定の事案は,昭和61年型なのではないか,だとすれば何故「同一目的・直接利用」という言葉遣いをしていないのかと不思議な感じもするところである。最高裁の思考が示されているわけではないので以下完全に私見であるが述べてみたい。本判例は,厳密には派生証拠の問題ではなく,第1次証拠の証拠能力が問題になっているだけ,という評価が可能である(本書解説5にも言及あり。他の文献においても事案の特殊性として紹介されている)。したがってわざわざ「同一目的・直接利用」という言葉を借りる必要性を感じなかったとも評価できよう。また,本書解説5にあるように,「手続の一体性」に基づく評価をしたのではないか,と考えれば(言い回しを考えると十分ありうる),そもそも2つの手続があることを前提とする「同一目的・直接利用」という言葉は,本件事案の処理として適当ではない,と考えた可能性もある。だとすれば,ケー論講義で紹介した平成19年高裁型(一体型)に近い事例と言うこともできそうである。以上はあくまでも推測。
注意点が一つ。あまり類型論ありき,でもいけない。重要なことは,「事案の分析」であり,自分なりに「この型なのではないか」,と当たりをつけたら,その類型で使いやすい言い回しを答案にねじ込んでいけば良いだけである。一番まずいのはそういう思考で問題文の事実関係を見ようとしないことである。試験では複数の事例の適切な類型化そのものを求められるわけではない。「類型論」はあくまでも事案分析をする際の「ツール」に過ぎないことを忘れないようにしよう。

刑訴②
 短答向き。弁護人は上手い事考えたな,とは思う。

刑訴③
 短答向き。個人的には,公訴事実を長々と一筆書きすることを良しとする風潮は,裁判員時代を迎えた今改めた方が良いのではないかと思う。変更後の公訴事実の過失部分は,一般人が理解できる文では無いと思う。

刑訴④
 短答でもどうかと思う判例。解説4を読めば十分かな。

刑訴⑤
 伝聞判例。だが,優れて実務運用的な判例である。試験ではどうかなと。やはり321条1項2号なら後段の方でしょう。ケー論第5章の復習をガッツリしておいて下さい。

刑訴⑥
 短答向きですかね。

刑訴⑦
 憲法判例⑧と同じ判例。

刑訴⑧
 短答向き?この際,短答対策として351条以下の読み込みをしましょう。寺崎先生の「刑事訴訟法」第5編第2章上訴以下が非常に分かりやすいです。

刑訴⑨
 細かい。もっとも再審は何かと最近話題性のあるところ。非常救済手段をまとめて短答で聞いて来る可能性はある。
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