演習編第2回憲法に関して

2013-10-21 13:19:34 | 司法試験関連

第2回の問題で,権利設定のところで,「表現の自由構成」にした人が半分以上いました。最初「本件投稿の削除」という部分に引っ張られたのかな,と思っていたのですが,講義後の質問会で,必ずしもそうでもないみたいだったことが分かったのでアップします。

要は,教育の自由の問題だと気が付いたものの,初等中等教育機関の場合は,教育の自由は限定的なものなので,表現の自由構成にして審査の厳格度を上げようと思ったそうです。

講義でも言及したとおり,表現の自由で構成すること自体が間違いというわけではないですが,結局その「表現の自由」の本件における中身が問題になるので,それによる修正を受けざるを得ません。つまり,抽象的に権利設定をかえれば,「違憲主張する際に不利益な事情」が丸々吹っ飛ぶわけではないのです。これは当たり前のことです。

「高校世界史に関し授業の延長線上にある内容の投稿を本件ホームページでするという」表現である以上,「  」部分に関しては,結局教育の自由で問題にすべき要素が全部当てはまってきます。したがって,書く内容は変りません。かわらないどころか,どうしても表現が冗長になり,実益がないのです。

それから,適用違憲の解釈適用の指針について,前回紹介した利益考量パターンで行った人も多かったようです。間違いではないですが,正直書きづらかったのではないか,と思います。前回は,本件行為がいわゆる「侵入」にあたるのどうかかが問題となっているというよりは,形式的には文言解釈するまでもなく構成要件にあたりそうだが,それでも「起訴すべき場面なのかどうか」が真正面から問題になっていました。つまり,形式的には「侵入」行為であって,そもそも「侵入」とはどのような態様を言うかそのものが問題となったわけではないですね。今回は「教育内容の中立性」という言葉の意味そのものが不明瞭なので,ここで調整が可能となります。なので,言葉の意味そのもの,つまり文言解釈(合憲限定解釈みたいなもんである)して,その解釈後の規範に該当するかどうかを検討する,という方が書きやすいし,題意に答える形になると思います。

 

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