過去問題の重要性なる概念

2013-10-07 13:17:52 | 司法試験関連

「過去問の重要性」なる言葉があります。もう当たり前すぎて説明するのも面倒くさいくらい自明の理でしょう。合格者も口を揃えて「過去問が重要」といいますし,我々講師も同様です。

問題はその「受け止め方」です。非常に頻繁に見られる致命的な過ちが,「新司法試験の過去問だけやれば十分」という大きな勘違いです。特に短答式で落ちる人に見られる典型的な症状です。論文に関しても,旧司法試験の問題をやりこんだ後に(上位既修者に多い属性),新司法試験の過去問題を徹底解析するのと,とにかく新司法試験の問題だけしかやらない人ではその力量の差には大きなものがあります。また同じ「過去問をやる」にしても,「単に問題解いて論点的な解説の確認をガッツリ」,だけでは試験対策で言うところの「過去問をやった」ことになりません。処理手順を身につけることと試験委員の要望を見抜くことが過去問題検討の最大の目的です。

「アウトプット中心主義」というのがありますが,①そもそも解いている問題数が話を聞いている方が想像しているより遥かに多い,②早い段階である程度のインプット作業自体は終わらせている,というのが殆どです(彼らの主張は,いつまでもインプットをやり続けるより,早い段階で問題演習をベースにした勉強の方が効率が良い,というものです。個人的には当たり前のことなので,わざわざ「アウトプット中心」とかいう必要もないと思っています)。

要するに,基礎力が脆弱な人が「過去問題だけやれば合格できる」と勘違いしているケースが多い,という事が言いたいのです。なんでこんな風潮が蔓延しているのか良く分からないのですが,実際問題かなりの人がこの病気に罹患しています。大体,過去問題をやっただけで司法試験突破に必要な知識が網羅的に身に付くはずがありません。そんな甘い試験ではないです(そもそもそんな試験あんのかい,とも思いますが運転免許証の試験くらいでしょうか)。第7回本試験憲法で頭が真っ白になった,手も足も出なかった人は十分すぎるほど痛い経験をしたはずです。

短答の過去問題にしろ,「全7科目」で「たったの1200問強」しかありません。1日30問こなせば40日で終わる分量です。「え,1日30問!?」って思った人もいるとは思いますが,そんなもんです。「いやぁもっと時間がかかるよ先生!」,と言う人は,それは単に基礎力がないから復習に異様に時間がかかっているだけです。そのような勉強は効率が悪いと思いますし,結局網羅性という観点からは不安定感は拭い去れません。

やはり,①ある程度のインプット作業→②問題演習,という段取りが重要だと思います。結局は「急がば回れ」,です。大事な人生です,楽してギャンブルするには,かけるものが大きすぎると思います。

* でもこのブログ読んでいるような人は,「そんなこと分かってますよ~」,って人ばかりだと思いますが(笑)

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「椅子取りゲーム」に参加できているか

2013-10-04 19:22:34 | 司法試験関連

①知識がある,そして問題も解ける,②知識がある,問題は解けない,③知識はない,問題も解けない。

受験生には,以上3つの属性タイプがあると思います。①タイプは合格者であり,合格予備軍です。②タイプと③タイプが不合格者ないし不合格予備軍です。問題は,「実は不合格者の属性は2つある」という点です。

似たような話は以前からしていますが,②タイプは翌年リベンジ成功の可能性が非常に高いと言えます。知識面に問題はないので,自分の弱点を的確に把握し,的確に修正できれば合格できるからです(もっとも,「的確に」と言う部分は中々難儀ですが)。順位で言うと2100番~3000番程度のイメージでしょうか。

それ以外の人,つまり③タイプですが,この場合は正直大変です。何故なら「知識の補充」という物理的に時間のかかる要素があるからです。毎年,受け控えを決めたら夏の間が勝負,と言っているのはその為です。10月からの答練シーズンには,「知識はあるが・・・」状態に持って行きたいからです(持っていけなければ受け控えした意味がない)。

注意しなければいけないのは,司法試験は,「知識がある,ない」レベルではなく,「(知識はあるが)問題が解けるか,解けないか」レベルでの競争であるということを忘れてはならない,という点です。特に未修者はどうしても「できないのは知識がないからだ」,との思い込みが強いので,最後まで知識を追いかけて終わってしまうこともあります。このことは同時に「知識があれば受かるわけでもない」ということをも意味します。すなわち知識の修得自体は決して司法試験の「ゴール」ではない,ということです。

本当の意味での司法試験対策は,知識の修得段階が終わってから始まる,と思ってください。知識がない段階では,自分では「椅子取りゲーム」に参加しているつもりでも実は参加できていないのです。短答不合格者と受け控え層を合わせた5000人は完全に③タイプです。短答合格者5000人も3000番以下は知識修得レベルに未だ難がある層です。今年で言えば243点程度です(2000番は254点です)。因みに非公式情報ですが,280点越えした受験生の論文突破率は相当高いようです。

「基礎体力」をまずつけること=「短答突破力」をつけることは合格の為の必須要件です。如何に早い段階でこのポイントを通過できるかが「合格の鍵」といっていいでしょう。

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答練で学ぶべきこと

2013-10-04 13:44:28 | 司法試験関連

答練でなければ身につけることのできないスキル,答練で初めて認識できる自分の弱点(=未成熟な点),こうい言った点を認識しなければなりません。テキスト・教科書を読むだけでは身に付けられないスキル,気が付かない弱点なるものがあるわけです。この点を誤解してしまうと,答練受講の意味が全然ありませんので注意してくださいね。

似たような話では,「ゼミ」もそうです。自分1人でできることをわざわざゼミでやる意味はありません。ないどころか,大抵マイナスに作用します(だらだら時間だけかかるとか)。ゼミをするなら,「一人ではできないこと」をすべきです。

手段の選択をする際には,その手段でなければ(自分の目指す)目的を達成できないかどうかがキーになります。

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勝負の一年

2013-10-03 19:35:52 | 司法試験関連

今年一年は人生かける勢いで色々準備したいと思う。やったるわ。

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答練の時季に敢えて

2013-10-03 12:33:57 | 司法試験関連

短答対策の方は如何でしょうか。現役生の方は,いやぁまだまだだよ,という人も多いと思いますが,それでもいつまでもそんなことを言ってはいられませんよね。

まして既卒生の方は尚更。「いつまで同じようなことを繰り返すのか」,という話です。厳しいことを言うようですが,そもそも年が明けても短答が不安で暗記型になってしまった,論文対策に力を入れられなかった,という抗弁が通用するのは現役生だけです。「いつまでも同じことを」というのはそういう意味です。

以前,「前年同時期比で自分自身を比較する」という話をしましたが,どうでしょう?昨年10月の自分と今の自分,比較してみてください。どれだけの「上乗せ」があると言えるでしょうか。もし昨年と同じ状況だとすると,このまま昨年と同じような流れで行けば,「来年も同じ結果」になる可能性が極めて高いといえます。これには異論はないでしょう。

別に盲点というわけでもないですが,「論文対策」を頑張ってある程度力が付いてきても,短答で切られたら元もこもありません。正直毎年このパターンになってしまう人を多く見ています。これは非常に歯がゆいし,何よりも残念すぎる結末です。2度と繰り返してはいけません。

というわけで,答練が始まろうとするこの時季にあえての提言です。

「皆さん,短答大丈夫ですか?」

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最終仕上げの為に

2013-10-03 03:10:37 | 司法試験関連

「演習編」は、2100番~3000番程度で涙を呑んだ人たちには単独受講でも最適だと思います。実践力完成講義は、「講義編+演習編」でL2+L3完結という作りなのですが、この層の人たちに欠如している要素(すなわち「来季逆転」の為の修正点)は、「演習編」において修得目標としているものにドンピシャだからです。問題文の読み方、事案分析の視点の持ち方、事実の「多面的」(☜多面的ってのが重要)評価の仕方、守るための逃げ方など、この講座形態でのみ修得できる「超実践的論文突破力養成講座」です。

まぁ、一回解説部分だけでも無料体験して貰えれば良いのかなぁとも思うのですが。ある意味「一番自信のある講義」でもあるので、多くの人に受けて貰えたらと思っています。お待ちしております(もう他校で申し込んじゃった時期かなぁ)。

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出題趣旨のトリセツ

2013-10-02 20:11:44 | 司法試験関連

出題趣旨と自分の再現答案構成との比較をしましょう。問題は,「どう比較するのか」です。

出題趣旨は何と言っても,「論点抽出能力の確認作業」として使うのが一番良いと思います。「問題文の読み方」スキルによれば,試験委員が「出題趣旨」として掲げた事項は,問題文を読めば「気が付く」はずのものです。何故なら,いくら読んでも気がつけないような「作り」では問題文として成り立っていません。没問になるはずです。そこで,どの件から気が付くのだろうか,気が付かなければいけなかったのか,という精査が必要となります。

例えば,憲法で言うと,「パブリックフォーラム」にはどこで気が付くべきだったのか,「間接的な影響であること」,「事前規制なのでおそれ審査をすべきこと」,「ポポロ事件的要素」など,問題文のどの辺りから気が付くのか,気が付かなければいけなかったのか,をチェックするのです。

この作業は必須です。

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吉野クラス「演習編」のトリセツ

2013-10-02 19:17:52 | 司法試験関連

吉野クラスの「実践力完成講義 演習編」は10月13日から開講です。この講座には通常のペー論との違いで大きな点が2つあります。一つは解説時間が2倍の2時間と言う点です。問題文の読み合わせをしながら,論点抽出力,論点先読み能力,事実の評価の仕方などを学ぶ為です。もう一つは,第1タームは毎週科目別に進行する,と言う点です。以下2つ目について確認です。

通常の答練は,受験指導校の種類を問わず系統別に行うので,第1週目は,「公法系」第1回になります。そのため憲法・行政法を同時に受験します。第2回目も同様です。これに対し吉野クラスは,第1週憲法1,第2週憲法2,第3週行政法1・・・という展開になります。ある程度まとまった科目別対策を取りやすくするためこのような構成になっています。あと毎週答練を受けることでペースメイカーにする,という意味合いもあります。

この点を理解していただけると幸いです。

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神無月ということで。。。

2013-10-02 13:38:22 | 司法試験関連

神無月に突入しました。と言うわけでさり気なく,講師業6年目に無事と突入しました!なんか自分の合格も随分前のような気がしてきました。の割には,あまり進歩がないので(何もしようとしてない)最近久しぶりに色々考えています!

いや,早いですねぇ。4年目と5年目でも随分長さが違うなと感じていましたが,6年目って更に「長くやってるな」という印象を持ちます。吉野クラスも来年2月開講もので4年目になります。最近流行の!?コンパクト系ではないにも関らず,幸いにも3年連続で前年比プラスで推移しているらしいので(正確な数字は知らないのですが),ほっと一安心です。未修生の数が激減していること等を考えると,かなり嬉しい結果です。因みに4年目はレジュメを色々いじるつもりです。内容・形式共に整理・補充したうえで,「記述内容からの論文直結型」を意識しようと思います。

というわけで,皆さんのご指示の賜物で,講師業6年目突入となりました。これからも宜しくお願い致します!

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