黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

ノラ、クルスそして、との

2013年02月06日 14時52分43秒 | ファンタジー

 内田百(ひゃっけん)の随筆に登場する猫たちの中に、クルスという猫がいる。ノラが行方不明になってしばらくしたころ、クルスはぶらりと百の家にやって来た。少し年のいった猫で、そうとう闘いに強かったようだ。でも、百たち家族には子どものように懐いた。数年後、クルスは闘病の末、家の中で死んだ。最期を看取るのは辛いけれど、外で死なれるよりどれほど諦めがつくことか。その夜、クルスは以前とまったく同じように、百夫婦の蒲団に上がってきた。
 私も同じ経験をした。昔、我が家にいた黒猫「との」が十五才になる直前に死んで、それからしばらく、甘えたグルグルという声を枕もとで聞かせてくれた。一年近く経ったころだろうか、その声は聞こえなくなった。私たちが「との」の死を納得したのもそのころだった。(了) 

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とのの画像

2013年02月06日 09時28分27秒 | ファンタジー

 数日前、グーグルで検索していると、「黒猫とのべいの画像検索結果」というキーワードが立ち上がり、そこに、このブログに掲載した「はな」の写真が二枚だけ出ていた。その横に黒猫が写っていたが、その猫はブログに登場する黒猫「との」ではない。たまたま「との」という名の猫なのか、「とのべ」というのか、「のべい」なのか、「べい」なのか、それとも黒猫というだけで、検索エンジンに引っかかったのか。
 とのの写真は、初めて授かった子どもの写真が多いのと同じで、はなの写真よりたくさんある。しかし、写真の「との」は過去の映像であって、それを公開する気持ちにはならない。とのは、私の思い出とブログの文章世界の中で自由奔放に振る舞いながら、きっと私よりずっと長生きするはずだ。(了)
 
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