奥多摩・倉沢谷マイモ-ズの悪場
今年の夏は山不足
八月の山行はことごとく悪天に祟られる。
俺ってば、祟られてる?と疑わざるをえない、前厄の夏。
今日も午後から雨の予報。
それまでに何とかやっつけたいものなのだが。
倉沢谷出合
マイモ-ズの悪場を知ったのは、昨年。倉沢谷本谷に行った時のこと。
マイモ-ズとは蝸牛のことらしい。
確かに昨年、見学時の印象では、スベスベに磨かれた岩は蝸牛が這うしかないようなイメ-ジであった。
「奥多摩最難」という触れ込みが耳に残った。
アプロ-チは短いし、遡行距離も思い切り短い。
そのわり、数少ない記録では数時間を要し、技術的にも充実。
この夏の鬱憤を晴らすべくトライできそうだ。
今回のパ-トナ-はGRさんと東京のARさん夫妻。
フル装備を身に着けて、倉沢橋から日原川へと下降。ちょうど降り立ったところが倉沢谷との出合。
さてとと、覗き込むとありました。
イキナリ核心のF1。
近づいて、F1をしばらく観察。
高さ6mほどながら水量は多い。明らかに水流右を人工で行くことになろう。
水流の近くに光るものがある。埋込ボルト?(と思ったが、ヌメヌメの岩が光っていただけということを知ったのはこの後のこと。)
登攀の順序など確認し、最初のトライ。
落ち口まで泳いでいくが、先ほど確認した光るものは確認できず、退却。
ガチャ類をたくさんぶら下げ、空身なので浮力に乏しく溺れそうな勢いだ。
F1の観察
再度トライは、右壁の弱点を探る。
ギリギリ足の着くあたりに弱点を見出す。
水中の足元はえぐれていて、小ハングの様相。左に足の乗っかるスタンスが水中にあったのでそれを使い体を上げるが次の一手がない。
人工に持っていくにも支点がなく、力尽きる。
さて、どうしたものか・・・。
そこで、初っ端からアブミを動員し、後続に残置する計画とする。
ありったけのアブミを身に着け、ギリギリ足の着くあたりでハ-ケンを打つ。
そこにアブミを掛ける。
とはいっても、アブミは水中。水面マイナス点からの人工となる。
三段目に乗るとラ-プの残置を発見。これにアブミを掛け二手目。
この時点で、最初に見えたボルトと思わしきは、ヌメヌメの岩が光っていただけということを知り、ありったけのハ-ケンを集めてロ-プ伝いに送ってもらう。
F1登攀中
そこからは、ハ-ケンを打っての人工が続く。
しかし、ハ-ケンでの支点構築(というよりは打てるところの探査)に時間を要する。
中ほどにハ-ケン残置があったが、ビナは掛けられないので3ミリスリングが必要。
終盤、リングボルトがあり、残置で信用できるのは3点だけだった。
F1で後続ビレイ中
ラストのARさん
滝の落ち口よりほど高いテラス。樹木でビレイ。
このピッチ、20mくらい。
ラストのARさんに回収しながら上がってもらう。
F2は流心をいく
しかし、このころからポツポツとくる。
F2(1m)は右岸がすべすべで流心を突破するほうが楽。
F3(2m)は手前のスベスベ右壁を一段登ってトラバ-ス。
するとすぐに、右折した奥にF4(5m)。
この辺りはちょうど倉沢橋の真下。
偶然誰かが覗き込んだなら、「何やってんだろう?」と思われるに違いない。
F3は左岸
F4左岸登攀中より
左岸のリッジを人工で行く。
ここはリングボルトが打たれているが、ちょっと遠いので、これまたハ-ケンを打ちつつ8mほど上がる。
上がりきると、今度はトラバ-ス。
リングがあるところまではいいが、その先が悪い。ヌメヌメで安定した足場はない。
あと、2.3歩行けばという状況で、支点が構築できれば踏ん切りがつくのだが、それがかなわない。
さすが、奥多摩最難は伊達ではないのだ。
そのころから雨も大粒になってくる。
何とか粘って一進一退をするも、その先に見える小滝も白飛沫が幾分増してきたように見える。
大降りではないものの、この雨は強くなることはあるが、上がることはない。
後続に状況を伝えてここから退却とした。
F1懸垂下降中
ここをこえれば、ゴルジュは続くものの困難はないらしい。
あの数歩が成否を分けるのだから、面白い。
雨がなければじっくり時間をかけていろんなトライができたとも思う。
しかし、自分の引き出しが少なかったのだとも思う。
正直なところ、ちょっと悔しい。
倉沢橋から振り返る
しかし、本来のバリエ-ションとはそういうもの。
一進一退を繰り返して、その間隙に解決策を見出す。それが原点ではなかったか。
蝸牛(マイモ-ズ)の歩みでいい。またの再来を期すのであった。
sak
今年の夏は山不足
八月の山行はことごとく悪天に祟られる。
俺ってば、祟られてる?と疑わざるをえない、前厄の夏。
今日も午後から雨の予報。
それまでに何とかやっつけたいものなのだが。
倉沢谷出合
マイモ-ズの悪場を知ったのは、昨年。倉沢谷本谷に行った時のこと。
マイモ-ズとは蝸牛のことらしい。
確かに昨年、見学時の印象では、スベスベに磨かれた岩は蝸牛が這うしかないようなイメ-ジであった。
「奥多摩最難」という触れ込みが耳に残った。
アプロ-チは短いし、遡行距離も思い切り短い。
そのわり、数少ない記録では数時間を要し、技術的にも充実。
この夏の鬱憤を晴らすべくトライできそうだ。
今回のパ-トナ-はGRさんと東京のARさん夫妻。
フル装備を身に着けて、倉沢橋から日原川へと下降。ちょうど降り立ったところが倉沢谷との出合。
さてとと、覗き込むとありました。
イキナリ核心のF1。
近づいて、F1をしばらく観察。
高さ6mほどながら水量は多い。明らかに水流右を人工で行くことになろう。
水流の近くに光るものがある。埋込ボルト?(と思ったが、ヌメヌメの岩が光っていただけということを知ったのはこの後のこと。)
登攀の順序など確認し、最初のトライ。
落ち口まで泳いでいくが、先ほど確認した光るものは確認できず、退却。
ガチャ類をたくさんぶら下げ、空身なので浮力に乏しく溺れそうな勢いだ。
F1の観察
再度トライは、右壁の弱点を探る。
ギリギリ足の着くあたりに弱点を見出す。
水中の足元はえぐれていて、小ハングの様相。左に足の乗っかるスタンスが水中にあったのでそれを使い体を上げるが次の一手がない。
人工に持っていくにも支点がなく、力尽きる。
さて、どうしたものか・・・。
そこで、初っ端からアブミを動員し、後続に残置する計画とする。
ありったけのアブミを身に着け、ギリギリ足の着くあたりでハ-ケンを打つ。
そこにアブミを掛ける。
とはいっても、アブミは水中。水面マイナス点からの人工となる。
三段目に乗るとラ-プの残置を発見。これにアブミを掛け二手目。
この時点で、最初に見えたボルトと思わしきは、ヌメヌメの岩が光っていただけということを知り、ありったけのハ-ケンを集めてロ-プ伝いに送ってもらう。
F1登攀中
そこからは、ハ-ケンを打っての人工が続く。
しかし、ハ-ケンでの支点構築(というよりは打てるところの探査)に時間を要する。
中ほどにハ-ケン残置があったが、ビナは掛けられないので3ミリスリングが必要。
終盤、リングボルトがあり、残置で信用できるのは3点だけだった。
F1で後続ビレイ中
ラストのARさん
滝の落ち口よりほど高いテラス。樹木でビレイ。
このピッチ、20mくらい。
ラストのARさんに回収しながら上がってもらう。
F2は流心をいく
しかし、このころからポツポツとくる。
F2(1m)は右岸がすべすべで流心を突破するほうが楽。
F3(2m)は手前のスベスベ右壁を一段登ってトラバ-ス。
するとすぐに、右折した奥にF4(5m)。
この辺りはちょうど倉沢橋の真下。
偶然誰かが覗き込んだなら、「何やってんだろう?」と思われるに違いない。
F3は左岸
F4左岸登攀中より
左岸のリッジを人工で行く。
ここはリングボルトが打たれているが、ちょっと遠いので、これまたハ-ケンを打ちつつ8mほど上がる。
上がりきると、今度はトラバ-ス。
リングがあるところまではいいが、その先が悪い。ヌメヌメで安定した足場はない。
あと、2.3歩行けばという状況で、支点が構築できれば踏ん切りがつくのだが、それがかなわない。
さすが、奥多摩最難は伊達ではないのだ。
そのころから雨も大粒になってくる。
何とか粘って一進一退をするも、その先に見える小滝も白飛沫が幾分増してきたように見える。
大降りではないものの、この雨は強くなることはあるが、上がることはない。
後続に状況を伝えてここから退却とした。
F1懸垂下降中
ここをこえれば、ゴルジュは続くものの困難はないらしい。
あの数歩が成否を分けるのだから、面白い。
雨がなければじっくり時間をかけていろんなトライができたとも思う。
しかし、自分の引き出しが少なかったのだとも思う。
正直なところ、ちょっと悔しい。
倉沢橋から振り返る
しかし、本来のバリエ-ションとはそういうもの。
一進一退を繰り返して、その間隙に解決策を見出す。それが原点ではなかったか。
蝸牛(マイモ-ズ)の歩みでいい。またの再来を期すのであった。
sak