エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ルターの回心

2015-06-03 08:19:48 | アイデンティティの根源

 

 ルターはアウグスティヌスの回心について、4回しか引用していなかったらしい。

 Young Man Luther 『青年ルター』p204の第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 ルターの塔での回心が、ルターが詩篇講義をしている最中だった、と言うのは全くの憶測です。反対に、1回の回心ではなくて、何度も危機があって、「詩篇」に関する手書き原稿に最初の手掛かりがあったのかもしれませんしね。特定の事件に関するルターの記憶に「これだ」というように、学者らが時期を定めるのは、難しかったのですね。

 

 

 

 

 

 ルターの回心は、「塔での回心」で言われているみたいに、この時だと時期や事件を決める訳にはいかないらしい。ですから、断続的、連続的な回心だった、との説も成り立つかもしれませんね。エリクソンは「でもねっ」と言いたげです。

 

 

 

 

 

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本物の臨床は二律背反だらけ アベシンちゃんらのウソとゴマカシだらけとは違います

2015-06-03 07:52:29 | エリクソンの発達臨床心理

 

 相手にとって、「あっ、この人は大事な人だなぁ」「本当に≪私≫の相手をしてくれる人だなぁ」という感じを抱いてもらうためには、こちら側の献身、夢中が必要です。

 The life cycle cpmpleted 『人生の巡り合わせ、完成版』、p44の15行目途中から。

 

 

 

 

 

 いつでもどこでも、お互いに価値あるものと認め合うと言う要素が繰り返される場合は、こういった、1人の赤ちゃんとそのお母さんの出会いのようなやり取りは、一番うまくいけば、いつでも、二律背反に調和をもたらします。このやり取りは、陽気で楽しいのに、形が決まってきます。このやり取りは、繰り返しているから馴染んだものなのに、いつもビックリする驚きもあります。言うまでもありませんが、このようなことは、このようなやり取りが、「自然」に見えるくらい、単純なことですし、必ずしも段取りのあるものではないし、人生の中で一番うまくいくことと同じように、恵みとして与えられることなんです。

 

 

 

 

 

 アベシンちゃんとその仲間たちの、ウソとゴマカシではありません。本物の臨床は、「陽気で楽しいのに、形が決まってきます。このやり取りは、繰り返しているから馴染んだものなのに、いつもビックリする驚きもあります。」「人生の中で一番うまくいくことと同じように、恵みとして与えられることなんです。」

 不思議でしょ。

 

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愛着障害の子どもに対するセラピーは、これだ!

2015-06-03 02:18:56 | エリクソンの発達臨床心理

 

 明日、いいえ、今日参上する小学校に、非常に重たい、今まで会った子どもの中で、おそらく一番重たいと感じられる(なんせ、まだそれほど十分な行動観察はできてないし、心理査定、母親面接はこれからだから)、愛着障害の子どもがいます。担任はじめ、学校全体が手こずっているけれども、どこまでカウンセラーに任せたらいいのか、校長も決めかねている感じです。「カウンセラーに任せ過ぎて、いろいろ学校の体制に口を挟まれてもかなわない」と感じているのかもしれません。「教員がもっとやれるはずだから…」ということもあるやも、分かりません。

 でもね、心理臨床家の立場から言えば、そんなことはどうでもいい、とはっきり申し上げたいですね。眼の前にいる子どもがどれだけ困っているのか?苦しんでいるのか? その子どもを助けるために、どうすればいいのか?を、近くの大人は考えるべきで、それ以外は枝葉末節、どうでもいいことです。本末を転倒させてはなりません。

 校長はじめ、教員に説明するための資料作りを、さっきまでしてましたので、その一部を今日はご紹介するブログにしましょうね。

 1つは、昨年の夏、心理臨床学会のために来日され、講演された、ルース・ラニウスさん等の『『心に傷を負わされた子どもを癒す』(2015)からと、昨年バーンズ・アンド・ノーブル書店で買って来た『愛着セラピーの手引き』からです。いずれも、ノートン社出版のものです。ラニウスさん等の本は、執筆が遅れたのかもしれませんが、半年以上出版が遅れて、ついこの間届いたばかりです。

 愛着障害児の意識の段階に合わせて、心理療法をしなくてはならないと言うのが、ラニウスさん等の主張です。p278にその治療手順を示した表がありますが、その表の説明を挙げときましょうね。

「心理療法(カウンセリング)によって、心の傷を回復することは、まず、①安全、根拠のない信頼、希望を、心理面接の枠の中で満たすことから始めなくてはなりません。次に、②時間、物の考え、身体、気持ちに関する、心の傷のために生じる、苦しくて嫌がる感じと、変な感じの、過剰な警戒心(こだわり)を和らげてもらいます(症状を緩和してもらいます)。その次は、③心の傷の記憶をハッキリと意識できるようにして、心の傷を受けるに至った経験にも、肯定的な意味があることを意識できるようにしてもらい、心の傷をもたらした体験を「克服」してもらいます。最後に、④さらに、心がしなやかになり、成長できるように、肯定的で共感的な、様々な支援をしてもらえるようにします。心理療法(カウンセリング)は、全ての治療を通じて、お互いが「個」として大事にもし、また、大事にされるものとして理解されることが大事になります。」

 もう1つは『愛着セラピーの手引き』から。

 「愛着障害の子どもには、この躾やルールを重視の養育法は役立たないかもしれませんし、逆効果かもわかりません。というのも、躾やルール重視の養育法は、大きな反発や恐怖心や反抗的な態度を招くことになるからです。したがって、こういった心の傷のある子どもを育てようにする者は、子どもの気持ちに共感し、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの気持ちを肯定的に察しながら、子どもとの、内省的で、敏感な関わりを大切にする力を、養わなくてはなりません。」

 

 愛着障害の子どもの教育は、日本の学校が民主主義的な教育に発展するために、重要な位置を占めることになります。乞うご期待!

 

 

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