明日、いいえ、今日参上する小学校に、非常に重たい、今まで会った子どもの中で、おそらく一番重たいと感じられる(なんせ、まだそれほど十分な行動観察はできてないし、心理査定、母親面接はこれからだから)、愛着障害の子どもがいます。担任はじめ、学校全体が手こずっているけれども、どこまでカウンセラーに任せたらいいのか、校長も決めかねている感じです。「カウンセラーに任せ過ぎて、いろいろ学校の体制に口を挟まれてもかなわない」と感じているのかもしれません。「教員がもっとやれるはずだから…」ということもあるやも、分かりません。
でもね、心理臨床家の立場から言えば、そんなことはどうでもいい、とはっきり申し上げたいですね。眼の前にいる子どもがどれだけ困っているのか?苦しんでいるのか? その子どもを助けるために、どうすればいいのか?を、近くの大人は考えるべきで、それ以外は枝葉末節、どうでもいいことです。本末を転倒させてはなりません。
校長はじめ、教員に説明するための資料作りを、さっきまでしてましたので、その一部を今日はご紹介するブログにしましょうね。
1つは、昨年の夏、心理臨床学会のために来日され、講演された、ルース・ラニウスさん等の『『心に傷を負わされた子どもを癒す』(2015)からと、昨年バーンズ・アンド・ノーブル書店で買って来た『愛着セラピーの手引き』からです。いずれも、ノートン社出版のものです。ラニウスさん等の本は、執筆が遅れたのかもしれませんが、半年以上出版が遅れて、ついこの間届いたばかりです。
愛着障害児の意識の段階に合わせて、心理療法をしなくてはならないと言うのが、ラニウスさん等の主張です。p278にその治療手順を示した表がありますが、その表の説明を挙げときましょうね。
「心理療法(カウンセリング)によって、心の傷を回復することは、まず、①安全、根拠のない信頼、希望を、心理面接の枠の中で満たすことから始めなくてはなりません。次に、②時間、物の考え、身体、気持ちに関する、心の傷のために生じる、苦しくて嫌がる感じと、変な感じの、過剰な警戒心(こだわり)を和らげてもらいます(症状を緩和してもらいます)。その次は、③心の傷の記憶をハッキリと意識できるようにして、心の傷を受けるに至った経験にも、肯定的な意味があることを意識できるようにしてもらい、心の傷をもたらした体験を「克服」してもらいます。最後に、④さらに、心がしなやかになり、成長できるように、肯定的で共感的な、様々な支援をしてもらえるようにします。心理療法(カウンセリング)は、全ての治療を通じて、お互いが「個」として大事にもし、また、大事にされるものとして理解されることが大事になります。」
もう1つは『愛着セラピーの手引き』から。
「愛着障害の子どもには、この躾やルールを重視の養育法は役立たないかもしれませんし、逆効果かもわかりません。というのも、躾やルール重視の養育法は、大きな反発や恐怖心や反抗的な態度を招くことになるからです。したがって、こういった心の傷のある子どもを育てようにする者は、子どもの気持ちに共感し、子どもの気持ちに寄り添い、子どもの気持ちを肯定的に察しながら、子どもとの、内省的で、敏感な関わりを大切にする力を、養わなくてはなりません。」
愛着障害の子どもの教育は、日本の学校が民主主義的な教育に発展するために、重要な位置を占めることになります。乞うご期待!