なんで、今の日本には、こんなにウソとゴマカシが溢れているのか?
儀式化 ≠ 神経症(不安障害)!?2013-07-27 01:37:10 |&n...
シャオリーベングイズ。こう言われても、何のことかしら? と思う人が大半でしょう。これは「小日本鬼子」の中国語の音写です。かくいう私も、山崎豊子さんのことを、亡くなってから「クローズアップ現代」(2013,11,19)が取り上げる番組を見るまで、このシャオリーベングイズの存在も、その意味も知りませんでした。
これは、中国東北部、旧「満州」に入植し、敗戦後難民となった入植日本人が、逃げる中で自分の子どもと生き別れたり、中国人に託した子どもたちのことです。「中国残留孤児」。しかし、山崎豊子さんは、その呼び方の欺瞞性を感じて、「戦争孤児」と呼んでいます。中国に「残留する」意思を持った戦争孤児は1人もいないからです。戦争の犠牲者の最たる存在が、この「戦争孤児」だというのが、山崎豊子さんの見方です。
山崎豊子さんが、テープに残されたインタヴュウが、先の番組で流されました。そこで山崎豊子さんは
「中国大陸のそこここで、自分が日本人であることも分からず、小学校さえ行かせてもらえず、牛馬のごとく酷使されているのが、本当の戦争孤児ですよと。私はこれまでいろいろ取材を致しましたが、泣きながら取材をしたのは初めてです。」
と、声を詰まらせながら、述べておられます。また、
「敗戦によって中国に置き去りにされた子どもたちが、その幼い背に大人たちの罪業を一身に背負わされて、シャオリーベングイズ(小日本鬼子)、日本帝国主義の民と虐められ、耐えてきた事実。日本の現在の繁栄は、そうした戦争孤児の犠牲の上に成り立っているものであることを知ってほしい。『大地の子』だけは、私は命を懸けて書いてまいりました。」
この声も泣き声です。
山崎豊子さんがどんな思いで、小説を書いていたのか、ハッキリ分かりますね。そこにあるのは、不条理の中でも最大の不条理、すなわち、戦争に対する激しい憤り、その最大の犠牲者である戦争孤児に対する思い。それは、歴史の真実、戦争が、いかに人間の不幸をもたらすのか、その不幸がいかに長い間続くのかを知ってほしい、そして、そんな戦争は2度と起こさないと決心してもらいたい、との願いがあることが、ハッキリ分かるでしょう。
私どもは、いまだからこそ、山崎豊子さんの小説やエッセイを読み、そのメッセージを「歴史の教訓」として生きたいものですね。