同里古鎮は蘇州の南、呉江にある有名な水郷古鎮です。
周庄、用直、烏鎮、西塘、南潯と共に中国江南6大水郷と呼ばれています。
現在の呉江は蘇州市に含まれ、呉江区となっていますが昔は呉江市でした。
同里の村が築かれたのは宋代ごろで、元代、明代にかけて発展してきました。
2017年に地下鉄4号線が開通するまでは、路線バスの乗り継ぎか、
バスターミナルから同里行きのバスに乗る必要があって、なかなか行き難い場所でした。
地下鉄4号線の同里駅も同里古鎮からかなり離れていて、
駅から同里古鎮までは専用バスか路線バスを使う必要がありましたが、
2021年末に智軌電車T1線が開通し更に便利になりました。
地下鉄駅を出てすぐの場所に智軌電車の駅があります。
今回、同里古鎮に行く目的のひとつはこの智軌電車に乗ってみること。
この電車は線路(レール)がありません。
工場などで使われるAGV(無人搬送車)と同じように地面に書かれた線に沿って動きます。
無人運転も可能だと聞いた覚えがありますが、実際には運転手さんが乗っています。
いつもはどうか分かりませんが国慶節期間は無料で運行していました。
また、途中駅はなく同里駅と同里古鎮の間を直通運転しています。
智軌電車の同里古鎮駅は、同里古鎮の北側にあります。
今まではバスを使っていたので南側からしか入ったことがなく、北側から出入りするのは初めてです。
古鎮の中には1000年ほど前に架けられた石橋や明代、清代の建築物が多く残っています。
宋代から栄えた水郷は富土と呼ばれていましたが、その富を隠すかのように唐代の始めには銅里と名を変え、
その後に宋代と同じ呼び方で字を変えた、現在の同里の名変わったと言われています。
水路には観光用の小舟が行き交います。
混んでいる時にはもっと多くの船が連なっているのですが、この日は休日の割に船の数は少なかったです。
観光客で最も賑わっているのが、2つの水路が交わる所に、
太平橋、吉利橋、長慶橋の3つの石橋が集まっている三橋と呼ばれる場所です。
この辺りが古鎮の中心部で、水路沿いにはお茶の店やレストランがずらっと並んでいます。
夜遅くまで多くの人で賑わっていて、店の数は昔よりずっと増えた気がします。
古鎮の西の端にある通り、陸家埭まで来ると人通りは少なくなります。
ここも食事の店がずらっと並んでいますが、昼間はいつもあまり人がいません。
きっと夜になると人が増えるのかと思います。
同里古鎮には明、清代に建てられた富豪の邸宅が残っており一般公開されています。
その中で比較的新しい嘉蔭堂には家主が収集したものでしょうか、
木彫りや木の根を加工した工芸品の数々が展示されています。
今、このようなものを作るといったいいくらぐらいお金がかかるのでしょう。
また少し変わった経歴を持つ建物が太湖水利同知署旧址です。
清代に太湖の水利や治水を目的とした役所がこの場所にありました。
現在は、太湖の水利の歴史などを展示する博物館になっています。
元々は、清代初期に建てられた陳家が暮らす豪邸でしたが、
陳家が没落した後、この邸宅を改修し太湖水利同知署が設けられました。
同里の太湖水利同知署はわずか6年ほどで太湖東山へ移され、
王家によって買い取られた役所跡はその後再び個人の邸宅として使われていました。
同里には他にも多くの邸宅や庭園がありますが、まだ全ては周りきれていません。
太湖水利同知署旧址には初めて入りましたし、行ったことのない細い路地もたくさんあります。
今回は久しぶりに少し遅い時間まで散策しました。
耕楽堂や世界遺産に登録されている退思園も覗いてきましたので後ほどご紹介します。
今年の退思園は7月から10月末までの間、夜の部(17時15分~21時)があり、
ライトアップされた庭園を楽しむことができました。