27.06. 04 ヤ ド カ リ NO.816
大きくなりたい願望に憑つかれた「ヤドカリ」が、次々により大きな貝殻へと住み替えを続ける。
大きなお宿にふさわしく自分の体をより大きくしようと日々頑張ります。 お蔭で彼はどんどん巨大化する。
だが、結局のところこの作戦にはきりがない。 どんなに大きくなったところで、必ず自分より大きな貝殻
を目にする。 大きさを競うことは実に不毛の戦いだと彼は思い知り絶望する。
巨大ヤドカリはすっかりやる気をなくして、失意のうちにお宿を捨てる。
だが、ヤドカリが肌一貫で生きていけるわけがない。 柔らかなおしりは擦り切れて、出血多量で死に至る。
(志賀直哉「ヤドカリの死」) 樹木が天に向かって永遠に伸び続けることは出来ないし、動物の身体
が限りなく大きく成り続けることが出来ないのも自然の摂理でしょう。 つまり巨大化することは死に至ると
いうことではないでしょうか?
政治家の皆さんは誰もが成長・成長とばかり言ってますが、人間だって成長するのは20歳くらいまでで、
そのあとは身体的には成長しないばかりか衰退がはじまる。
人間は20歳を過ぎれば成長は止まるが、それからは「成熟」しなければなりません。 自然現象のみな
らず社会現象である経済だって、そういうことが言えませんか? もうそろそろ日本も成長の方はこれく
らいにして、国民のみんなが小さくてもいい、幸せに暮らせる世に「成熟」させるべきではありませんか?
若いものと同じように、いつまでも成長しようとすると生活習慣病になる。