27.06.20 松 葉 NO.831
大阪駅地下街の串カツ店「松葉」が廃業します。 昭和28年15歳で大阪駅前のタクシー・ドアーボ-
イとして就職した私にとってこの「松葉」はあこがれの的でした。 15歳と言えば飯をたべた後、すぐにでも
腹が減る年代。 仕事を終えて夜間高校へ行く道すがら、松葉から発する強烈な匂いは鼻腔をくすぐり、
腹の虫をいたく刺激するものでした。 俺だっていつかはあの暖簾をくぐれる日が来ると自らを鼓舞したも
のでした。 目まいするほどの空腹で帰宅し、家で食べる「粕汁」も何物にも待替えがたおふくろの味でし
たが「松葉」への思いも相当なものでした。 成人して初めて「松葉」の串カツを頬ばった時、世の中にこん
なに旨いものはなんじゃないかとさえ思いました。 ただで食べれるキャベツも格別。
その松葉が、公共事業のために廃業のやむなき状態という。
それはそれでしかたがないことかも知れませんが、多くの庶民を「幸せにして来た」松葉のようなお店こそ、
文化遺産として末永く保存してほしいと願わずに居れません。