雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森17 高畑勲『「ホルス」の映像表現』

2010年03月19日 04時01分04秒 | 本と映像の森
本と映像の森17 高畑勲解説『「ホルス」の映像表現』アニメージュ文庫、徳間書店、1983年10月31日初刷、定価379円+税=390円、212ページ

 宮崎駿さんと高畑勲さんのコンビの始まりの一つが、1968年(昭和43年)公開の東映アニメ「太陽の王子・ホルスの大冒険」で、高畑勲さんの長編演出の第1作です。
 このアニメに、宮崎さんもスタッフの1人として参加します。

 高畑さんの解説は、アニメの映像を追いながら、冒頭の少年ホルスと銀色狼の格闘しーんから始まります。

 ホルスは父親と住んでいた「村」を悪魔グルンワルドによって崩壊させられ、そこから逃げだした孤児です。

 「太陽の王子」という表現は、エジプト神話の太陽神の息子で鷹の神・ホルスの名前からきています。
 エジプト神話は、このアニメのストーリーとは関係なのですが、まあ少年ホルスの能力から言っても、悪魔と真っ向から対決する資格と決意のある人間ホルスを「太陽の王子」として表現したのか、と思います。

 ホルスと対照的な主人公が、ホルスとともに別の村に入り込む少女ヒルダと、その村の少年ポトムでしょう。
 ヒルダは実は人間の娘ですが、悪魔の妹と思い込まされています。
 テーマは「村を守るのか」です。あるいは「村は守るに値するか」です。
 
 ホルスもヒルダも、脳天気な「正義の味方」ではなく、悩める主人公なので、ぼくも感情移入ができます。

 ホルスは、ヒルダの策動もあって村から追放されて、さまよいます。
 ヒルダは「兄」の命令で、ホルスと村を2つに裂きますが、自分自身が2つに裂けていく少女です。


 そういうストーリーの内容とともに、アニメ撮影の技術が微細に語られて、すごくおもしろい本です。
 
 20年以上前の本なので、いま新刊で出ているかは不明です。

 アニメ映画は、DVDで買うなり、借りるなりできると思います。
 

 

 

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