本と映像の森 240 テレビで爆笑問題がゴルゴ13のアジトを訪問
次女のIさんが録画していた爆笑問題の太田さんと田中さんが、狙撃犯・ゴルゴ13の秘密アジトを訪問した画期的な記録を見ました。
もちろん、「さいとうたかをプロ」の事務所です。
漫画家・さいとうたかをさんがすごいのは、画期的な「組織でのマンガ執筆システム」を創造したことです。
つまり、中心的な漫画家とその「アシスタント」という形ではなくて、漫画家も含めてみんなが同等の「スタッフ」だという形を確立したのですね。
番組では、作画スタッフを、建物スタッフ、乗り物スタッフ、人物スタッフ、自然植物スタッフという形で、ようするにマルクスさんの言う「分業システム」ですね、紹介していました。
さらに、一ヶ月に2回の連載の「1話」ごとに、さいとうプロの外にそれぞれの分野の専門家の企画スタッフがたくさんいて、台本を、それぞれ書いているんですね。
それは、手塚治虫さんのような、一人の漫画家がすべて台本からコマ割り、ペン入れをやって、数人のアシスタントで仕上げるような「個人的」システムとは対極にあります。
だから、さいとうたかをさん本人へのインタビューでは「手塚さんへの対抗意識は、ぼくはぜんぜんないですね。まったく別物ですからね」という回答は、なるほど、と思います。
そして、「さいとうさんが亡くなったら、どうなるんですか」という問いに対しては、さいとうさんは「それは、ぼくのいないところで、続けるなり、やめるなり、好きなようにしてください」という意味の答えていたのが、小気味いいですね。
標的をぜったい外さない天才暗殺犯・スナイパーというありえない設定を成り立たせるためには、物語の政治的・経済的・社会的・自然的背景を、リアルにしないと、ゴルゴがリアルな人間に見えないという、さいとうさんの指摘には納得です。