元々、アイドルをやっていた彼女は創作作業が大好きで。
ある時期、映像コンテンツ制作スタッフへの転身を決意します。
その時、遠くの誰かが、こんなことを言いました。
「彼女には無理だ」
彼女はしばらく制作アシスタント的な仕事をして。
色々な現場を見て。体験し。
そして、また新たな道に進むことを決心しました。
それはいわゆる作家と言われる職業のようで。
フリーな立場でドラマや映画、舞台やテレビ番組などの脚本、
小説や色々な本なども書いてみたいと。
いつかそういう仕事をしてみたいのだ、と。
遠くの方から、また、誰かの声が聞こえて来ます......
「あの子には無理だ」
彼女はそんな作家になるべく、
先ずは脚本家教室に通うことにしたそうで。
ある日、真剣で真っ直ぐな眼差しで、
僕のところに退職届を持ってきました。
僕は彼女にこう言いました。
「君ならできる」
そして、こんな話をしました。
「遠巻きに君を見ていたんだけど......ね......最後だし、
少しだけ思うのは、
君はアウトプットが過多になっている感じはするかなぁ、、
なんとなく。
アプトプットしようとする意識や気持ちの方が大き過ぎるというか。
ま、あくまで外から見てる、っていう無責任、
且つ正確でないような話だけどね。
もし、これから沢山のアウトプットをしていくのなら、
もっとインプットを多くした方がいいんじゃないかなぁ、と。
特に作家なんてことになると。
本当に、沢山。
自分の心身に色々なものを入れる時間や作業を
アウトプットの何倍も多く取っていくと良い様な気はするんだよね」
「そうですか。。」
「人の頭ってさ、
その能力を100とすると大抵10%ぐらいしか
使えていないとか言われるじゃない?
都市伝説的に。
よく聞かない?そんな話。
まだハッキリしていなくて、
裏付けとか全くないようなことみたいなんだけど」
「はい。よく聞きますね」
「それで一時期、脳を100%使う方法!とか、
右脳開発!とか。
そんな触れ込みの本とかが沢山出たり、
ワークショップやらなんやら開かれちゃったりとかさ。
そんなコトもあったと思うけど。
俺、それってメチャクチャ危険なことだと思うんだよね。
理にかなってない話じゃないか?なんて、思うの。
なんでか?
だってさ、脳ってだよ、
仮に普段全開でないとしてさ、
普段から100%使っていたら、
きっとオーバーヒート起こしちゃうんじゃないかと思うんだよね。
だから通常は全開にならない様に出来ているんじゃないかと思うのさ。
脳全体は機能ごとに分かれているし、もし、
常に全てがちゃんと使われていたとしても、それは、
それぞれの部分毎に余裕を持って動いているんじゃないかとも思うんだ。
きっとそうできてるハズなんだよ。
君ってさ、車とか乗ったりする?運転とか?」
「あまり。。」
「車に乗ると凄くよくわかるんだけどね。
車のエンジンには回転数というのがあってね、、RPM。
車によって性能は全然違うんだけど......例えば、
1万回転まで回せるエンジンを、
その1万回転のまましばらく回してると、
あっという間にオーバーヒートしちゃうの。
どんな車でも。
煙吹いて、止まって、壊れちゃう。
だから普段乗っている時は
2000から3000回転ぐらいで走るのがちょうどいいんだよね。
車の能力の30%ぐらいの力。
そうすると余裕あるし、燃費もいい。
乗り心地もいい。
何より壊れない。
いつでも、色んな状況に対応もできる。
脳もきっとそういう感じでできてるんじゃないか?
と俺は思うのよ。
もし、何か!?危機的な状況に陥った時に、
瞬発的に全開で回せればいいわけで。
それが必要な時とか、にさ。
スポーツカーの様に、ブンブンと。
そんなことのためにもゆとりを持って回るように設計されてる。
それを普段から全開で回しちゃうと壊れちゃうと思うんだよね。
人間も。脳も。煙吐いて。うん」
「とてもわかりやすいです、、」
「俺も曲作ったり、歌詞書いたりとか沢山してたじゃん。
ライブとかフェスとか。
色んな演出とかさ。
映像もイロイロとやってきたし。
でさ、実感してるのはそんな脳の構造なんだよね。
何かのアイデアを “1” 出したいとするじゃん?
そうするとさ、
自分の中に10入れないと、その1が出ないんだよ。
それをメチャクチャ実感するんだよ。ホント。
10とか出したいとするじゃん?
そうすると100は入れておかないと絶対に出せないのさ。無理。
するってーと、やっぱり10%なの!?マジか?みたいな。
入れる場所はさ、意識できたり、
記憶できたりしている顕在的な領域だけでなくて、
潜在的な場所や意識でも全然いいんだけど。
とにかく、脳ってそうできてるから、
その構造がそのまま
インプットとアウトプットの比率になるような気がするんだよ」
「それ、すごくよくわかります。。」
「そうお?いやさ、これって変な話かもしれないけどね。
結構いろんなところでしてきてもいるんだよね。
特にクリエーターさんとか。作家さんとか。
ミュージシャンとか。
君も良く知っているアノ◯◯さんとかさ。
彼なんてもう何度こんな話をして来たかわからないくらい。
でもさ、本当にそう思うのだよ。俺。うん。
とにかく、何かを作るには、まず、なるべく多くのことを
頭や心に入れる作業をやった方がいいのではないかなぁ、と。
その方が良い作品が作れる。出せる。
入れたものが多ければ多いほど色んな余裕も生まれて来るし。
作品のクオリティーも数も全然違ってくる。
今の君はそんなインプットをめちゃくちゃする時期じゃないかとも思うし。
でもそれは何でもかんでもとか、
義務的にやっちゃうと全く体に入らないから、
とにかく好きなものとか、
好奇心が掻き立てられるものとかから入って、
それを徹底的に掘り下げていく......っていう形が一番自然で良いのかな。
気になることじゃないと潜在意識にすら残らないしね。
好きなことを追いかけて、そこから枝葉を広げていって。
その枝葉も掘っていくと、またさらに別れていって。
それもまた深く追いかけていってみたり。
今はそんな感じのインプットの時間を
沢山とった方が良いんじゃないか?と。
そう思うかな。
でさ、いつか、それでも、
もし何かのスランプに陥ったりしたら......コレはただ単に、
今は頭の片隅に仕舞っておいてくれればいいだけの話しなんだけど、
そんな時は、今度は、
嫌いなものを掘り下げてみるといいような時もあったりするんだけどね。
まったく何も生まれない、出口が見つからない、
スランプ過ぎて死んじゃう!なんて時。
そんな時って自分が嫌いなものの中に答えがあったりもしちゃうんだけど。
たまに。うん。
そんなこともある。あった。
ま、この話はしばーーーらく、忘れてもらって。
スランプになった時にでも!?思い出してもらえればと。
そんな程度。
とにかく、いっぱいインプットすることが大事だと思うのさ。
余計な話しをしちゃったね。ハンコ押すだけなのに。
ごめんね(^^)」
「いえ!いえ!なんかすごくよくわかります。
わかりやすかったです!
頑張ります!」
これまで、それなりに沢山、
世に広く送り出すモノモノを手掛けて来て。
それでつくづく思うのは、
無からは何も生まれないのではないか、と。
インスピレーションにしても何かしら要因や源泉があって。
「ひらめいた!」
的なものでも、仮に、
魂なんていうものを肯定したりしてみると。
その中に仕舞われていた、刻まれていた、
そんなモノモノから舞い降りているのかもしれなくて。
普段意識しないまま見聞していることも、
忘れていることも、全て、
実は潜在意識に入っていたりもして。
そんな無意識領域から来る閃きを実感できる様なこともありますし。
なんて。はい。
「無」とは永遠の研究テーマなのでしょうか、、ね(^^)
新年のご挨拶が遅すぎてすみません(T_T)
すごく腑に落ちる記事でした。
昨年から避けていた稼業を継がねばならなくなり
会社の上の立場なんて急に出来るものかと本当に不安でしたが、何故か分かるし出来る。。
自分でも戸惑いましたが、生まれた頃からずっと
インプットし続けていたものが沢山あるからだと思いました。
稼業を継ぐ事が嫌でずっとあえて逃げていました。
けれど、「嫌」の原因は何だったのか、深く探っていくと
結局その反対だったのだと思います。
女に産まれたが故に、目をかけられない。
選ばれない、期待されない。
けれど時代が変わり、自然とスポットが当たりました。
30年分の「嫌」のインプットを、やっと「好」としてアウトプット出来る事が、今では心底嬉しいです。
アウトプット過多にならないよう心がけ
今日も頑張ります!
彼女への言葉が、私への言葉のようで
勝手に、とても有り難いです(^_^)
早速ですが......
雇ってください!(*゚▽゚)ノがんばりまちゅ!
アンプリファイすると
他を
チューニングしづらく
なるような気がします
許せないモノを
許す時
信じられないモノを
信じる時
未知のアンテナに
気付くのかもしれません