私の針灸治療院は、施術室が8.25畳大、待合室(玄関含)が4畳大と、治療院としてはミニマムサイズである。ここで開業すること、すでに18年となった。狭いながらも、長らくやっていいると、知恵も出てくる。本稿では、大してカネもかからず、自分なりに考え改良して、使い勝手がよくなったアイデア事例を紹介する。
1.ベッドサイドのワゴン
1)ベッドサイドにワゴンは必ず必要となる。当院ではスペースの関係で、小さな2段式ステンレス機械卓子(45×30×75㎝、23000円)を使っている。価格が安く、温かい雰囲気づくりという観点から、家庭用の木製ワゴンを使う者もいるが、灸治療のことを考えると、焦げる心配のないステンレス製が推奨できる。
2)当院では下段をタオルを置くスペースに改造している。大型カメラ店で現像用の樹脂性トレイ(外寸45×37㎝)を購入し、ワゴンに組み込むため、四方に切り込みをつくった。
3)以前はワゴン上段にティッシュを箱ごと置いていた。しかしスペースを食う上に、ティッシュを引き出すときに、箱ごと持ち上がることもあったので、現在はワゴン上段の板の裏側に、百円ショップのティッシュケースを両面テープで取り付けて使用している。
4)ワゴン上段の裏側には、本立て用のコの字型のプラスチック部品を両面テープで取り付け、額マクラを収納している。通常の角マクラは仰臥位・伏臥位で使用するが、側臥位になると、角マクラだけでは低く感じるので、角マクラの上に額マクラを重ねて使う。
2.赤外線灯
1)1灯式タイマーなし、熱量調節ボリュームなしのシンプルな赤外線灯を使っている。 患部を温めるというより、寒い時期に、露出部を冷やさない意味で使うことが多い。
赤外線ランプを、遠赤外線ランプに取り替えてみたこともあるが、遠赤外線ランプはスイッチを入れても温まるまで数分を要し、光が出ないのでスイッチを切り忘れることもあったので、現在では赤外線ランプに戻している。
2)赤外線灯の支持棒に、カルテ置きを自作した。100円ショップで買った鉄製の格子(26×32㎝)を、2つに折り曲げ、一方をネジで固定した。もとの取り付け部位は、床から1メートルの処だったが、どうしても自然に下に落ちてきてしまう。ただ下に落ちても別に使い勝手は悪くないので、現在はその状態で使用している。
3.低周波治療器
1)低周波治療器にも、さまざまな製品があるが、価格の安いもので十分である、というか電池式でコンパクトなものの方が使いやすい。ただし鍼通電コードは、軽量リングコード(ノーベルパルス用)がベストで、通常のワニ口コードは使いにくい。
2)以前は、低周波治療器を使わない時は、コード4本を低周波治療器にグルグル巻きにしてワゴン上段に置き、使う時はベッド上に移動ていたが、患者の姿勢では、その置き場を確保するのが難しい場合があり(その場合、本来私が座る丸椅子に置いた)、片付ける際にもいちいち重く、手間がかかって不便を感じていた。
現在、ベッド中央部分のベッドサイドの壁(石膏ボード)に、専用のフックをとりつけ、低周波治療器底ネジに、ホームセンターで買った金具を挟んで、壁かけにしている。またその上部には、コードを畳んでおくため、ホームセンターで買った樹脂性のL字金具(断面1.5×1.5㎝)をノコギリでカットし、両面テープで留めた。
いちいち低周波本体を移動する必要はなくなり、コードも負担少なくなって耐久期間が長くなった。