1.上腕三頭筋の解剖
上腕三頭筋は、内側の長頭、外側の外側頭、深層の内側頭の3種からなる。前腕の伸展作用があり、停止はどれも尺骨肘頭である。
2.上腕三頭筋腱付着部症とは
加齢やオーバーユース、多大な外力等により、上腕三頭筋の収縮が強いられると、肘頭の上腕三頭筋腱付着部に力学的ストレスが加わり、虚血や微小断裂が起こり、痛みを訴えるまでになる。
3.針灸治療
上腕三頭筋腱の肘頭付着部上の圧痛点(清冷淵付近)や、上腕三頭筋内側頭の肘部付着部あたりに圧痛点を見出し、運動針を行う。
ただし、このあたりの圧痛硬結を触知するには、触診と施術を行いやすく、患者にあまり負担のかからない姿勢が好ましい。「図説四肢と脊柱の診かた」には、下のような図が載っている。
しかし、これは患者は座位なので、肘以外の部の診療を同時に行うことがしづらく、置針ができない。この対策として筆者は、患側上の側臥位にて肩関節90度外転、90度回外、肘関節90度屈曲位(下写真。モデルはわが娘)のようにするとよいことを発見した。上肢は基本的に骨支持なので患者にあまり負担がかからず、脊柱の診察も同時に行えると思う。