高いビルの 下から眺める空は
雲も 飛び交うものも
そこに ないとき
いっそう 高く見えます
淡麗って どういう意味
野暮な質問の 代表格です
淡麗という言葉は 正しいですか
野暮の上位に置かれてもよい 質問です
野暮の上位に置かれてもよい とは
文法的に 正しいですか
カッコ付きの生のような こういう質問や
極上と書かれた 缶から出てくる液体が
なぜか のどに突き刺さります
この言い方は もちろん
文法的に 破たんしています
工夫は 手のうち
こうしました などと
わざわざ 言わなくてよい
大雨の ときに
壁と壁との 隙間から
水が 入り込まなければ
いつも 乾いていると
あたりまえの 自慢話など
聞かせる必要は ない
______渋谷のスクランブルでは 人びとは勘を頼りに行きかい
______模様替えした駐車場では 人びとは線を頼りに前進後退
______もし一人でも 強情か あるいはおつむの緩い人が現れれば
______その周りの何台かは たちまち迷惑 さあどうしましょう
______古い線を塗りつぶさずに ただ重ねて書き込むのは
______上書きモードが どこにでも通用するという
______感性と知能の バランスの崩れが バレてしまったその結果
~~~~~ 「蛇蝎のごとく」という外題の作があった 向田邦子に
~~~~~ この言葉の響きは 悪さより強さの印象がつよい
~~~~~ 嫌われものというよりも しぶとく強い
~~~~~ そんな感じが つよい
~~~~~ 蛇蝎 の二文字を つなげて見れば
~~~~~ 蝎は何のことと 聞くほどでもない つけたし
~~~~~ 龍虎 と並べて言う印象に似ている
~~~~~ トラさんには気の毒だが 虎はつけたしの感
~~~~~ イメージは 蛇か龍に湧き そこで終わる
~~~~~ これほど剥き出しにされようと そこから先は崩せないと思わせる
~~~~~ 小さな崖面に張りついて 頑張り抜く
~~~~~ それこそが 蛇蝎の心意気 である
分かれ道に 案内役が立っている
左へ行かせたい そぶりで立つ
それでも今日は 天気が良いから
行ってみよう 右へ
天気と左右とは もちろん
直接には 無関係
左に行くと 家に向かう街道に近すぎる
もう少し歩きたいから 右に行ってみよう
赤いうしおの 打ち寄せる渚には
もとの色を 取り戻そうと
藻も草も いっしょになって
手を伸ばそうと しています
おおむかし アラビアの人々は
文字を 考えついたとき
浜辺の こんな汐模様を
見ていたのでは ないでしょうか
カレンダーは ゴールデンウイーク
初日の潮は 赤くなっていた
「しお」の字は 朝か夕べ
なぜ 昼は字にしないのだろう
お母さんに 連れられて
友達とぼくは 海岸にきたけれど
お父さんには 休みはなくて
昼間は「しお」の色など 気にしてはいられない