雨の下に廷は、"テイ"、"いなずま"、"いかずち"です。
いなずまは、まっすぐにのびるいなびかりで、いかずちは、横にのびてひろがる雷鳴の余韻、雷鳴のとどろきとされています。
いなずまも、いかずちも、"ず" は "づ" でなければ言葉の意味にそぐわない気がします。
「図」の読みを "づ" でなく "ず" と書かせる、おかしなかなの使い方は、何十年か前に愚かにも珍重されながら行われた日本語衰退運動のおかげです。
内閣告示まで出してそうされてしまったいまでは、なんともいたしかたありません。
稲妻の走りまわる態を、廷に居ながらに見渡せるような、ゆったりした場はもう望めなくなりました。
写真をお借りしておきながら書きにくいことですが、探し回って見つけた稲妻の写真も、貨車のようにつながった集合住宅の上を、何棟かにわたって伸びており、雨の下に廷の感じは、いまのせせこましい世には味わうことが難しいようです。