ものを作るとき、これでよいという作り方もあれば、これならよいというのもある。
もう少し程度が下がって、これぐらいでよいのいうのもある。
リコール騒ぎになるのは、これぐらいでよいとしておいたものに多いのだろう。
家電や車にはこれぐらいでよいが多い。
洗濯機の脱水の力が弱くなったと、家の者がこぼす。
糸くずフィルターというのが槽の中に2箇所ついていて、網の袋に毛くずが溜まるようになっている。糸くずフィルターという名だが、洗濯中に繊維からはずれていくのは、糸より細かい毛状の繊維くずが多い。
脱水力低下は溜まった毛くずのせいだった。
この糸くずフィルターが「これぐらい製品」で、掃除するために引き出そうと思ってもなかなか出てこない。
どういう力の入れ方をしたのか、こじ開けたのかわからないが、フィルター・カバーをはずそうとしたら、上端でカチッととまる部分が壊れてしまったという。
Webで手に入るから補給は簡単だが、そうたびたび壊されてはたまらない。
実際にやってみると、確かにばね部分を下に押し下げながら手前に引き出さなければならないので、指の力がなくなってきた老女にはこれは難儀なことなのである。
力不足の指先を助ける道具を作ろうかと思い立ち、出来上がったのが写真のものである。
カーテンつり金具のあまっていたものの先を、フィルター・カバーの把手に合うように削って、古歯ブラシの柄を切って取り付けた。
捨てようかと思っていたものがまた息を吹き返した。
こんなのはエコでもなんでもない、ただのリサイクルの実践である。