「一文字エキスポ」というのはどうでしょうか。
たとえば、「義」のホールには、主義の階、意義の階、正義の階、談議の階、等々が設けられます。
主義の階の売りものは「ホームルーム民主主義」(命名・関川夏央)
意義の階では「意義なし」という名のティールームがいつも満席
正義の階では「味方ファッション」に人気が集まり
談義の階ではなぜか「小田原提灯」がみやげ売り上げのトップを飾ります。
「天然総研」というのはどうでしょうか。
太陽の観測はされていても、政府にその情報は上がらないと聞きました。
この種の研究では部門間の交流もないそうです。
地球の生命にかかわることの研究がばらばらに行われ、コーディネーター役がいなければ、北極の氷が解けると地球全体の海面水位が上がるなどという珍説が、もっともらしい顔をして横行するのも仕方がないでしょう。
「捨郷検定制度」というのはどうでしょうか。
故郷を捨てて逃げ出したい人の住民登録移転は、3年間仮受理とし、自己実現が立派な目標であったかどうか、実生活あるいは論文で合格しなければ正式に受理されません。
逃げた先でもみくちゃにされ、ゴミになってしまわないうちに、帰っても白い目で見られない裏付けになります。
「インコンビニ研」というのはどうでしょうか。
そこでは不都合の研究を専門に行っています。
たとえば、不都合極少の公共空間のデザイン。
人の集まる場所は、最初の気分がいちばんだいじです。
見てほしいが先に立ったデザインとは違ったものができあがります。
「美しいプラットフォーム探し」というのはどうでしょうか。
そこで電車を待っていると、心が落ち着くような、美しいプラットフォームのある駅を見つけましょう。
駅ビルにはたくさんの店を入れられるので、いろいろ工夫されても、プラットフォームには、なかなか手が加えらえません。
これまでと眺めが変わったのは、せいぜい檻に入れられた感じのする落下防止柵ぐらいのものです。
あこに立つと、いい歳をしてベビーサークルに逆戻りのような、ばかにされた気分になります。