バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

びっしっと決まった絵

2020-11-27 18:14:05 | ギャラリー輝
 油絵手習い始めた時、最初に手にしたのはF8キャンパスでした。これが初心者が取り組みやすいサイズとのこと。
 確かに風景にしても、人物にしても構図を決めやすく、そこそこに描き込め、筆をザーっと動かすこともできるサイズですね。

 何枚か描くうちに、油絵というのは描きすぎないことがポイントであることが自分なりにわかりました。ここは枝、これは草と説明するのではなく、色や形の塊を捉え、見たまま感じたままを描けば良いのだと。

 池田輝作品記録とりは、建物取り壊しのタイムリミットもあることから、後半は追い込み作業でした。
 床一面に作品を並べバシャバシャ写真を撮り、キャンパスに通し番号振り、ノートに記録する。太陽光で写真を撮りたいので、作業できるのは夕刻まで。
 そんな流れ作業の際、「ん? これはどっちが上だ?」とか、「これは何を描いたのか?」、「描きかけ?」と思われる作品がいくつか出現しました。その際はゆっくり吟味する時間はとれないので、判別つかないままとにかく記録だけ残したのです。
 さて後日改めて写真を整理していると、「ん?」となった絵が、写真で見るとはっきりと対象が見えるのです。ただ色がザワザワ動いているだけに見えたものが海面だったり、緑の塊が森だったりと、風景がはっきりと浮かび上がってきました。
 その中の一つがこの作品。
 川岸と森。
 写真撮るときに、これは描きかけ?と脇に寄せそうになった作品です。
 こんな風景あるよね。

 
   No.828 西軽井沢運河 F8

 もう一つ、何でもない作品と思って通り過ぎそうになったもの。
 片付け中に勤務していた中学校の教職員文集を発見しました。そこには正月に仲間と三浦半島スケッチ旅行に行った紀行文が寄せられていました。
 構図決め、描き上げのくだりを抜粋します。

「小生も漁舟をと思ったが、堰堤と防波堤が広い海に太い線状で突き出すように組み合う形に興味を覚え、防波堤に決める。色づけの前に、構図の決め出しにかかるが、横の広がりりが強く、縦に伸びるものがなくて閉口した。防波堤と堰堤の角度を交差させてみたら、広がりと奥行き感が調度を成し構図が決まった。
 海の色は刻々と変わり定まらない。手前の前景、それに中ほどの中景、沖合の遠景が帯状にちがいを成す。午前中冷たく固い濃緑であった海面も午後になると白っぽくなる。太陽が西に傾く三時過ぎ、海面も防波堤も全てが赤のベールにつつまれる。
 堰堤の突端で四十歳過ぎの夫婦が朝から釣り糸を垂らしていた。釣れている様子はない。元日にキャンパスを砂地の上に立て、黙々と海に向かって描いている自分と、釣りの夫婦の光景が対話となって画中に釣りする点景人物が加わって、夕日を浴びた広漠の海景がびしっと決まって筆を止めた。」

 この絵見た。写真撮った記録がある。
 カメラをスクロールし探し出した。
 びっしっと決まった、筆を止めた作品を見つけることができて良かった。


   No.653 三浦半島カモイ港 F6

感じるままに描くだけではない。
深い。
こういうことも含め、自分なりの解釈を新しいギャラリーに展示するつもりだけど、よくわからないことはわからないまま、ありのままを展示します。
あとは見に来た人に、お任せします。


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