バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

絵保管倉庫の話

2020-11-17 14:50:30 | ギャラリー輝
ギャラリー新築するにあたり、当初最も悩んだのは作品を保管する倉庫のこと。
とにかく作品を出し入れしやすい倉庫にしたい。できればきちんと整理し、全作品ナンバリングして管理したい。
こういった使い勝手の良い倉庫、どれだけのスペースが必要なんだか。もちろん油絵保管するのだから、温度や湿度管理もそれなりに求められる。
ギャラリー作りより先に、この絵の保管に全財産かけることになりそうだ、などとうじうじしていても始まらない。

工務店を営む知人に相談すると、
「プレハブ物置いくつか買えばいいんじゃね?」
「物置いくつか建ててジャンル別にしまえば管理しやすいよね」
「費用抑えられるよ」
などと皆さんプレハブを推奨される。
女流画家さんの作品倉庫内装を依頼されたという人からは、「プレハブで大丈夫だよ!」と強気で勧められた。
しかし、うーん。
プレハブって暑いよね。
油絵の管理、本当に大丈夫なのだろうか?

私設美術館開いている人に作品保管方法尋ねると、
「まずは絵をどう見せるかが先じゃないですか?」さらに、
「自分は美術館作っている時が一番楽しかったですよ」と遠い目をされた。そして
「こうしたいという思いを強く持っていれば、何とかなるものですよ」
はーっとため息しかでませんでした。

アドバイスを参考にしながらも、自分とは次元が異なるという無力感。
資金が無尽蔵にあるわけではなし、倉庫作ってゲームオーバーにもなりそうだし。
託された作品をいっそのこと放り出してしまいたいと思ったことも度々でした。
心身共に負担の大きさに、負の遺産などと言い友人から叱咤されたりもしました。

どうする?とうんうんうなり、あっちこっち調べ探し周りしているうちに、2019年10月の台風被害に遭いました。

激しい雨がアトリエの壁にたたきつけ、なんと絵を立てかけている箇所の天井から雨漏りしたのです。
そこには倉庫に入らない大作ばかり40枚ほどがダーッと立て重ねられ、しかも一番奥は最大サイズの200号2点。
その大きさがゆえに気楽に展示できず、大きな展覧会でしか日の目を浴びることがない、「曲馬」と「馬上の人」。いずれも池田輝渾身の作。


「馬上の人」 F200


「曲馬」 F200(変形)


台風の被害で不通となっていた長野自動車道開通を待って駆けつけ、絵を一枚ずつレスキューし、雨に濡れた額縁に扇風機を当てて乾燥させ、なんとか全作品無事であったことが確認できたのでした。

雨でだめになったらこれも運命だと思い潔く諦めよう、などと運は楽な選択はさせてくれませんでした。
「ほれ、何でもねえから、早く飾れや」と肩越しに父の声が聞こえた気がしました。

地元の工務店担当者は気長に、根気強くプラン作りにつきあって下さり、このほどギャラリーより先に敷地内に8坪の倉庫を先に建築しています。
作品全部入るかな?という一抹の不安がありますが、整理整頓、計画収納すれば計算上はギリギリ収まるはず。
木造のしっかりした建物です。
絵の整理や清掃をその場で気持ちよくやりたいから、無垢床にしてもらいました。

その床にぺたんと座り、ナンバリングした絵を並べ直したり、額入れ作業している自分が見えます。一つ残念なのは絵には大敵だからと、自然光が入らないことです。

作っているときが一番楽しかった、ではなく、できた後がとても楽しみ!です。


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